第■基地はセクターοにある小惑星を要塞化した拠点の一つである。
主要惑星はない区域だがセクターγ(正史Aで不死王がいる場所)とセクターξ(惑星シュテルプリヒがある)に隣接している関係で警戒のため基地が置かれていた。
その基地に停泊した銀河連邦軍の戦艦部隊から物資が運ばれていく。
「閣下、一つだけ不明瞭な積み荷のデータがありますが…」
戦艦のブリッジに入ってきた兵士が高官に一礼して確認をする。
「極秘任務により運んだ特機だ。パイロットもまだ到着していないので開封せずにその状態で待機させろと指示が出ている。運び入れて問題ない」
高官はそう答え、了解して退室する兵士を見届けてから背後に隠れていた娘に目を向けてにっこりとほほ笑む。
「おお、愛しい娘。これでよかったかな?」
「うん!おとうさまだいすき!」
幼げな娘は満面の笑みで高官に抱き着く。
「インフェルノさまがお目覚めになるまで、わたしを支えてねおとうさま」
甘え声は本当に可愛らしい。
娘は己の我儘で父の職場についてきていた。
離れたくなかった。
そして高官はそれを許すほど甘い父親でもあった、公私混同。銀河連邦の一部の高官はそのようなものだ。
罪は一欠け分ほどであろうに、運が悪かった、それだけであった。
インフェルノと出会わなければ彼女たちは生きたままこの基地に辿り着いていたはずなのである。
「 だ る い 」 「 な ぜ? 」 「 この 世界の空 気が なんか 違 う?」
インフェルノは特機に偽装した箱の中で独り言をつぶやく。
まどろんでいる。頭が働かない。それが少し懐かしい。仕事中、眠くてよく寝ていた記憶がある。
生前の記憶がぽろぽろと思い出されてインフェルノは思わず胸を掻きむしる。苦しい、生きていたころの記憶が苦しみを与えてくる。
インサニアはエリザベスに地獄へ引きずり込まれ、そこで地獄の生物に凌辱されながらエリザベスと同化し、癒えるために仲間を殺していった。
しかし苦しみは癒えず、そのまま転移兵器であるゲートオブカロンで強制的にあの世界から弾き出されてしまった。
辿り着いたのは似て非なる世界。
パラレルワールドというものだろう。
「…ルシファーの気配が薄いんだ」
地獄が遠い、自分が存在するこの世界に何か薄い膜に遮られているような感覚とでもいうのか。
この身体は地獄由来だから、地獄からの魔力が足りていないのだ。
インフェルノはこの世界にリヴァイアサンがいて、リヴァイアサン周辺の魔力や地獄からの魔力を食べていることを知らない。
アルディラがなんとかするだろう、そう思いながらインフェルノは眠る。
>>ここからIFのお話(インフェルノ×マーク)