相互束縛時空

『愛しあっている』

 インサニアはマークを愛している。
 何をするにも、何をしても、可愛く見えてしまうし彼を誰にも渡したくはないとも思っている。
 部屋に閉じ込めてずっとセックスをしていたい。(インサニアは知らないがマーク側もそう思っている)
 だがそれは現実的ではなく、同棲で我慢していた。
 そこにバイスが入ってきた。
 入ってきたという表現は間違いか、マークが連れてきたのである。
 顔はインサニアにそっくりで血縁を思わせ、その金色の瞳はマークを連想させる変な男。
 あとから解ったが別の世界からやってきた自分たちの息子らしい。
 マーク成分が混じっているなら、まぁいいかとインサニアは思った。
 自分そっくりだったら追い出しているが、中身は比較的マークに似ている。
 なんか妙なところで卑屈になるのがちょっと自分の血を感じるので卑屈さを無くさせればいいと思った。
 マークはさっそくバイスを自分の息子のように可愛がりはじめ、そういうプレイだと思うことにして自分もバイスを可愛がることにした。
 バイスはマークの距離感に困惑していたが慣れてもらうしかない。自分も初めはそうだったから。
 最初は二人でバイスを甘やかし、快楽漬けにした。手っ取り早いしマーク成分があるのでこいつもすけべにちがいないとインサニアは思ったのだ。
 困惑しっぱなしのバイスであったがやっぱりすけべであることは間違いなかった、受け入れ始めた。


  ◇◇◇◇


 インサニアはバイスを膝の上に乗せて脚を広げさせ、アナルに指を挿入して刺激を与え続けていた。
 潤滑ゼリーの付いた指サックを使っているので負担なくスムーズに潜り込んでいる。

「バイス、声出してもいいぞ」

 声を手で抑えているバイスに耳元で囁くとバイスは首を横に小さく振る。

「そうか?遠慮しなくてもいいのに、お前の喘ぎを聞きたいが?」

 潤んだ目でバイスはインサニアを見てきて顔を背ける。恥ずかしいらしい。
 いつもなら指ではなくディルドで散々イかせてしまうところだが、マークが優しくしないと親を思い出しちゃうからダメだというのでインサニア的に手加減している。
 バイスの感じる所を擦り続けているとバイスは力が抜けてしまう、腰を持ち上げてかろうじての四つん這いの状態になっているバイスの中を指の数を増やして掻き回す。
 バイスの甘い声がマークに似ていて興奮する。
 声質が違うのに甘ったるい喘ぎが似ているのが面白いのだ。もっと喘がせたくなってくる。

「っ…お、かあさまっ…おかあさまぁ…もう、もうっ…!」

 バイスの腰の痙攣が始まる。
 射精も何度かしているがアナルでも達したのだ。
 シーツをぐしゃぐしゃに握りしめて嬌声の声をあげるバイスの背中を眺めインサニアは興奮した。

「お、おかあさまぁ…」

 涙を流しながら弱々しく顔を向けてくるバイスに愛しさを覚えてインサニアは抱きしめ、キスを繰り返す。
 お互い求めあうキスだ、これは互いに『愛し合っている』。
 バイスのこともマーク同様愛せるかもしれない、とインサニアは思う。
 インサニアのことを母と呼ぶのには慣れないが。男なので。


   ◇◇◇◇


 インサニアに調教のようなスキンシップを受けていたバイスはそれに慣れてきていた。
 調教みたいになるのは仕方がない、というのがマークとバイスの共通認識である。
 インサニアはバイスの意志で服を脱いでくれるのを待っているようだがバイス的に恥ずかしいので出来るわけがない。
 マークは「そんなのできないよねー」なんていうので出来なくてもいいっぽい。
 なので普段から受け身である。インサニアに誘われればそっちへ転がっていくようなことばかりだ。
 そこに嫌悪はないし、拒絶の意志もない。気恥ずかしさだけがある。
 ストレートに愛をぶつけられることになれていないから。

「ふっ…う、んぅっ…」

 バイスはインサニアに抱き着いて喘いでいた。
 最初の頃は後ろからインサニアに抱きしめられていた。今はバイスから抱き着いてお尻を弄られている。

「あっあ、あぁっ」

 感じる部分をグリグリ圧迫されてバイスは短く声を上げながら腰を前へ逃がす形になって股間をインサニアの腹に擦りつける。
 その刺激にも反応してしまってバイスの声が甘ったるくなる。
 インサニアは強めにアナルへ刺激を与えているくせにバイスを抱き締めているもう片方の腕で背中を優しくあやす様にとんとん撫で叩くのでバイスの脳が破壊されそうである。
 はしたなく腰が動いてしまう、インサニアの腹に擦りつけて感じるその刺激を追ってしまう。

「腰っ…おかあさま、腰、とまら、ない…うごくの、あっああぁ…」
「いいぞ、そのまま私の腹で扱いて。」
「あ、あぁぁぁ…!ひ、ぃっ…」

 バイスの腰が痙攣を起こす。
 ぎゅうううっとバイスに強く抱き締め上げられるインサニアだが特に苦に思うことなく、優しくバイスの背を撫でる。

「イケて偉いな?もっとイくか?」

 ゆるゆると首を横にふるバイス。
 しかし抱き着いたままなのでインサニアは落ち着くまでその状態でいてあげる。
 バイスの腕の力が抜けてきたところでインサニアはバイスを寝かせる。

「セックスしたくなったらいつでも言え」
「いえ、あの…大丈夫です…」
「遠慮しなくてもいいのに」

 インサニアはバイスの唇にキスをして手を握ってやる。
 疲労困憊であったバイスはそのまま意識を落としていく。


 マークがバイスから緩く聞きだしたり零した言葉から推測したが、どうも性的虐待のような目に合っていたらしい。
 あっちのマークはバイスを『インサニア』に仕立て上げようとしたようだが、無理だろうとインサニアは思う。
 中身が完全にマークっぽいのに、なれるわけがない。あっちのマークは外面しか見ていなかったのだろう。
 もしくは外面だけでも整えようとしたのか、バイスに投薬していたようだし本当、バイスの中身はどうでも良かったのかもしれない。
 薬物による後遺症はないようだ、さすがあっちのマークも薬の扱いが上手い。


 ―――俺はヤだよ、幼児の頃から劇物飲ませるの…可哀想だよ


 珍しく嫌悪の表情を浮かべたマークがそう呟いていた。
 でも投薬してたのは別の世界のお前なんだよな、と思うが本人には言うまい。怒られそう。


「寝ちゃった?」

 小声でマークが問いかけてきた。手には桶とタオル。バイスの身体を拭いてあげるのだろう。

「ああ。尻で達するのも慣れてきた」
「いやそれは別に…開発しなくてもいいと思うんだけどなぁ」
「向こうでヤられてたんじゃないか?犯されてたわけじゃないだろうけどもイカせるためにとか、あるだろ」
「……向こうの俺、最低すぎる」

 顔を顰めつつバイスの身体を拭い始める。

「いっぱい良い思い出作ってあげようねインサニア」
「ああ、そうだな」
「返事だけ良いよね」
「お前が全部やるからな」
「それはそうなんだけど…もっとインサニアも参加していいんだよ」
「無茶をいうな…」


END