バイスは学校内では大人しく、控えめな模範的な生徒をやっている。
下手に目立つのは良くないのだと理解していた。
あくまで平均的な、普通の一般人。
そう、一般人。
父親が裏社会で顔が通っているけれど、一般人。
「アラ、バイス学校帰り?」
「外では話かけないでくださいよ」
ちょっと買い物でもして帰るかとマーケットを覗いていたら父ラミレスが声をかけてくる。
格好は普段の格好ではなくてヨクヨウ系(中華)の格好。変装なのか趣味なのか私服なのかわからない。
丸縁サングラスをしているので変装のような気もするが、買い物かごを持っているのがシュールすぎる。
「お菓子買ウとこダッタ?こっちに入れとけ一緒に買ってヤル」
「ああ、はい。どーも。買い物とかするんですねお父様」
「ちげぇーよ、お前のママに付き合ってンだよ。気分転換したいとか言い出して」
「そういえばなんか、テレビみながら手料理に燃えてきてたのでやりたくなったんでしょうね」
「影響受けやすすぎダロ…」
呆れてるラミレス。だがチョロママに付き合うチョロパパだよな、とバイスは思いながら母を探す。
ママの格好はラクヨウドレスだ。スリットから覗く生足がえっちすぎる。
あの服の中にあのえっちな裸体が隠されているのだと気づいて思春期バイスはドキドキと興奮してしまう。
お尻の形がくっきりしている、履いてないか紐パンだろう。ブラはつけているだろうか。母はノーブラ派である。
そんなハレンチな母を外にだすとは父は気が狂っているのではないか?
そういえば狂っていた、気がおかしかった。
「お前失礼ナこと考エてない?」
「別に?お母さまにちゃんと下着はつけさせましたか?」
「一応ね?ワタシの手で付けたけどネ?」
「くやしぃ…」
妻を着せ替え出来る、夫の特権に嫉妬するバイス。
「おまたせー、悩んだけどこれにするー」
ラミレスのかごに抱えていた食材を入れるマーク。
「あ、バイスぅ!奇遇だね、お菓子買いに来たの?いっぱい買ってもらおうね」
「それは大丈夫です」
抱きしめられなでなでされてちょっとくらくらしてくるバイス。
ママの色香がすごい。
支払いを済ませて一緒に帰ることになってしまった。
この姿をクラスメイトに見られないことを祈るばかりだ。説明が面倒なので。
このえっちなママを独り占めしたいので。
「あ!ここのスイーツ食べようよ、映える上に美味しいんだって」
「お前呑気ねー。ワタシに監禁されてる身ナノ忘れないデヨ?」
「解ってる解ってる」
ニコニコしてるマーク。
現状怪しい二人に誘拐されてる学生みたいな見た感じになっているのではないかとバイスは思っているが。
母とデートは初めてなので素直に一緒にスイーツを食べ始める。
「んふふ、幸せ」
「はい、僕もです。ねぇお父様?」
「は?…ん、ソウネ」
しゅん…とマークがなるので同意するラミレス。甘すぎる。
スイーツを堪能した後、ラミレスの運転で車で帰宅だ。歩かなくて良くて楽でいい。
「バイス、今日の俺の格好どう思う?似合ってた?」
「はい、似合っています」
「そっかー、ラミレスさんと合わせコーデをお願いしたんだよね。
女の子の格好って実際はよくわかんないからさ。でね、ラミレスさん一時期女の人の格好してたんだって。すごく上手なんだよ」
「言うな言うな」
ラミレスが苦虫を嚙み潰したような顔で言う。
女装癖ではなくメアリーを追い求めすぎてメアリーの行動を模写していただけだ。
化粧をしてメアリーの服を着ていただけだが、周りの娼婦のお姉さま方が手ほどきをしてきたので妙な知識がついちゃっただけなのだ。
あれはラミレスの心が壊れそうだ、と心配になって相手をしてくれていたのだろう。もうその時点で壊れていたのに。
「バイスに知られるの恥ずかしかった?ごめんね?」
「まぁイイけド…」
「揶揄うことはないですよ。お父様にはもっとお母様の魅力を上げていただく勤めがあります」
「すけべな格好させてお前のベッドの中に投げ込むぞガキ」
「夜のお相手はお任せください」
「任せないよ!?」
慌てるマーク。
「ご遠慮なさらないでください、僕はいつでもお母様をご満足させるつもりですので」
「親子だからだめだめ」
首を振るマーク。いちいちかわいいなぁとバイスは思う。
「お父様、お歳で腰を痛めたら遠慮なく僕に替わって頂いていいですからね」
「クソガキ…」
視線だけ交わしバッチバチな親子。
ママが可愛すぎるが故の争いだ。
「みんな仲良くしようよ!そのバイスとのえっちは…その、だめ、だけど…」
赤くなってもじもじするので脈がありすぎる。バイスはそう判断する。
「だって親子、だし…親子…親子だよ…」
ぶつぶついじいじしている。えっちなスイッチが入ってしまったようだ。
これは今日の晩御飯は遅くなるなぁと思うバイス。
お菓子を買っておいてよかった。