「バイス、ラミレスさんどこにいるの?」
マークはバイスの部屋に顔を覗かせて声をかけてくる。
「はい?お父様ですか?」
学生服を脱いでる途中だったバイスは手を止める。
「あ、帰ってきたとこだったんだ。ごめんね。自分で探すよ」
「いえ、構いませんが。見かけないのならラボにいるのではないですか?」
「…ラボ?」
首をかしげるマークにバイスはしまった…という顔をする。
知らないということは父は教えてないのだ、理由はたぶん反応に対応するのが面倒くさいとかそういう感じ。
「お父様のラボは、地下ですね…。ええ、お父様の寝室からエレベーターがありますので…」
「す、すごい…秘密基地だ…!」
「一応この家は隠れ家なので秘密基地みたいなものなんですけどね」
「俺なにも教えてもらってないんだけど…」
「はしゃぐからじゃないですか?」
「そんなことないのに。でも教えてくれてありがと!探してみる!」
「はい」
ウキウキでラミレスの寝室へ向かうマーク。
「エレベーターだよねぇ。んーっと」
部屋の様子と家の間取りを考える。
「この辺かなー。ラミレスさんだからスイッチはー…」
ラミレスならリモコンかもしれない。
しかし非常用の物理的なスイッチもあるはず。
屈んで床を見る。
パっとみは継ぎ目が解らないが、長方形に可動できる部分がある。
踵で強く叩けば床板が稼働してスイッチを押せるのではなかろうか。
マークは靴を履くことも許されていないので手でグッと押し込む。
「かっっった…」
でも押せた気がするのでしばらく待つと壁が開く。
「すごい!」
おめめがキラキラなマークはエレベーターに乗り込む。
そこに罠が張られていたら死んでいるところである。
実際ラミレス不在時はトラップが発動するので大変危険だ。
地下に降りて扉が開く。
様々なモニターや機械があり、紙の書類や作りかけなのか分解されたのかわからない武器などがあったりする。
「秘密基地だ!」
「……なぁーんで降りテきテンのよ」
椅子に座ったままマークに振り返るラミレス。
「ラミレスさんいないからどこにいるのかなって思って。すごい、ラボだ!へぇ〜」
特に不用意に触れることなく見回しながらラミレスのもとに歩み、そして気づく。
眼鏡のラミレスに。
「かっっっこいい!」
「…なんでもかっこよく見えるビョーキ?」
眼鏡をはずそうかなと手をかけるとマークがしゅんとするのでそのままにするラミレス。
ちなみにインサニアやバイスがその場にいれば「老眼だ(ですよ)」とマークに真実を告げてくるのでいなくて良かった。
「眼鏡かけてると知的な感じがします!」
「…普段は?」
「チンピラ?」
「…はぁ、まぁいいや。こっちにオイデ」
ラミレスは膝をぽんぽん叩いてマークを膝の上に座らせる。
柔らかいマークの尻。さすがにここでセックスは危険物が多すぎるのでやらないが。
「お前の好きソウなノ、これか?みてなサイ」
武器のカタログにしているタブレットを持たせてラミレスはマークの頭のつむじあたりに顎を乗せて作業用モニターに視線を戻す。
「それハねぇ、ワタシが作った武器ネ。依頼受けたら作って売ってるの」
「へぇ!すごーい!あ、これハンスさん使ってる銃に似てる」
「あのクソバカのはソれのカスタマイズよ」
「へぇー」
楽しそうに眺めているマーク。
かわいい。いちいちかわいい。
マークの腰に腕を回してマークの頭に顔を埋めてマーク吸いをする。
シャンプーの香りと甘い匂いがする。
(疲れてるのかな〜?)
マークはそう思ってあえて反応せず吸わせる。
自分を放置してここに籠ってるということはお仕事の依頼で煮詰まっているのかもしれない。
カタログをデスクの上に置いて腰に回っているラミレスの手をなでなでして緩んだところで片手を両手で掴みもみもみし始める。
大きい手だ。インサニアのようにしなやかさと綺麗な指の長さがあるが剣を扱っている関係で皮膚は硬め。
綺麗な爪だなーちゃんと手入れしてるんだなーと関心しながら指を指先でさすさすしてぎゅっと指を絡める。
「…大きいなぁ。俺の手、やっぱりちょっと縮んでる」
「胸はでかくなったジャない」
「そ、それは…まぁ…」
「寒くない?ここ上より温度低めの設定ナンダけど」
「ウォレスさんにくっついてるんで大丈夫」
「寒くなったらいいなサイよ。女の身体って冷え性なんでショ?」
「この身体、割と丈夫なんですよねぇ。そういえば病気になってないな…」
「元に戻ったら反動で全部来たりして」
「こわいこといわないでくださいよぉ!」
「身体がボロボロになってモ面倒見てヤるヨ」
「そうですか?じゃあいいのかな」
マークは大人しくラミレスに身を委ね手をにぎにぎし続ける。
「ふふ、早く終わらせてお前ヲ犯シ潰したいワ…」
さすがに鎮静剤を打つことができないので我慢して呟くラミレス。
薬でラリって酒を飲みながら仕事をするのはクラレンスぐらいなのだ。
「お手柔らかに…?」
無理しないでね、と思いながらマークは呟き、ラミレスの指先にキスをする。
「わざと煽ってル?」
「ちょっとだけ?」
ラミレスを見上げながらにへっと笑い、誤魔化す様にラミレスの頬にキスをして邪魔にならないよう再びカタログを眺め始める。
(こいつっ…こいつぅぅ…)
さっさと仕事を終わらせる、と意気込むラミレスであったがマークで気が散っていつもより仕事の仕上がりが遅くなったのであった。