ラミレスはいかにも治安の悪そうな裏路地を歩く。
まだ死んでるのか生きてるのかわからんものが転がっていないだけラミレスがいた場所よりマシであろうが。
カツカツカツとヒールの足音を立てながら歩く、その音はいかにも機嫌が悪いですよといった荒々しさが混じっていた。
雑居ビルが乱雑に並ぶそこ隙間を通って階段を上がっていく。
途中でワイヤートラップが仕掛けられていたので軽く身体にフォースを通して跳んでやり過ごす。
あいつらどうやってここ通るんだ、と思ったが仕掛けた本人はまだしもクラレンスなら重力魔法で天井歩いてそうだなと思い至った。
目的の部屋のドアを蹴り破って入っていく。
「乱暴なノックだなぁ、鍵壊れたんじゃないか?」
ボロボロのソファに腰かけたキュルテンがラミレスに言う。
「知ルカ。フレッドおじさんは?」
「今天国に入り浸ってると思うよ。」
立ち上がって狭い部屋の中を歩きドア代わりのカーテンを開く。
その部屋は風呂場になっていて、キュルテンの後に続きラミレスも入ると湯船の中にクラレンスがいた。
身長に合わぬ大きさの湯船から脚が出て、腕もだらりと垂れているがその手には飲みかけの酒だ。
クラレンスの顔はぼんやりしていて焦点はあっていない。
完全に薬でラリってイってる最中である。
「ジャック、親戚の方がお目見えだけど」
クラレンスの顔の前で手を振るキュルテン。
「ジャック、ジャック」
湯船の中の水を掬ってクラレンスの顔にかけるキュルテン。
「あ…?」
「ラミレスが来たよ」
耳元で囁くキュルテン。
クラレンスは少し頭を持ち上げて、笑う。
「リチャー…ド…?ワタ、シのアカチャン?抱きシめテ、アゲル…」
「そんなふにゃふにゃした体で抱けないだろ」
逆にキュルテンに抱き上げられるクラレンス。
「だめだな、戻ってくるのに時間かかりそう」
「ハァー、クソが。文句言うタめに待つのクソすぎるんダけど」
「まぁ罵ることぐらいはできるよね。またそっちのラボのハッキングしたのかな?」
「ソウね、クソデータ送り付けてキタからヤメロって言いに」
「ジャックの親切心からのプレゼントだったと思うよ」
キュルテンはクラレンスの首筋にキスをし始める。
「…?う?」
「こいつラリったら不感症にでもなんの?」
「そうだよー、なにしても解ってないから面白くて」
微笑みながらキュルテンはクラレンスの秘所に自身のナニをぶち込む。
クラレンスはぼんやりした顔で揺さぶられる。
「あは、このままベッドにいこうか」
「きゅる、う?うっ…っぁぅ…?」
完全に感覚がないわけでもなさそうで、違和感はあるらしく腰を捩らせ快楽の刺激に困惑している感じがある。
自分が大きく開脚しキュルテンと繋がってる様をラミレスに見せつけていることは気づいていないようだ。
楽し気にキュルテンはベッドまで歩くがラミレスは楽しくない。
なんで叔父のセックスを見なくてはいけないのか。
顔を顰めながらラミレスは窓を開き窓際に腰かける。
空気が悪すぎる、薬物とアルコールと血の匂いがまじりあっていて、マークの甘い匂いが恋しくなった。
もう帰ろうかなとも思ったが、クラレンスに会いにきたのにこのまま帰るのもなんだか癪なのである。
「きゅるて、ん…さけ、おさけぇ…」
「はいはい」
キュルテンはサディスティックな目つきで酒瓶の中身をクラレンスの顔に浴びせ始める。
「あ、う…あ、あぁ…」
手で防ごうとする動作は行っているが手が上がっていない。
次第に口を開いて受け止めるようになる。もちろん綺麗に受け止められてはいない、口の周りをびちゃびちゃにしている。
キュルテンがわざとそうしているのだから仕方がない。
「はは、はははっ」
楽しそうに笑いながらキュルテンは腰を打ち付け始める。
「はっ…はぁ…あぁ…んぁっ…」
クラレンスの上げる声が艶っぽくなってくる。
感覚が戻り始めているのだ。キュルテンはクラレンスに酒瓶を抱かせて両脚を掴み上げて本格的に腰の動きを強める。
クラレンスは酒瓶に嬉しげな笑みを浮かべてちびちび飲み始めている。
「はぁっ…んっ…んぅ、ぷはっ…ん?…んぅ!?んっん、ううっ」
ぎゅううと瓶を握りしめてクラレンスは唇を噛みしめる。
ビクビクとクラレンスの腰が震え始め、キュルテンの上がる笑い声がラミレスには不快だった、フリッツ=キュルテンを思い起こさせて。
あの男も笑いながら犯すので不快だった。
「キュルテン!?な、にっ…!?」
「セックスしてって言うからしてるんだよ?」
「いって、ない!」
「言ってた、俺のが欲しいって言ったじゃないかジャック」
普通に嘘をいうキュルテン。ジャックは睨む。
「言ってたものね?ラミレスも聞いただろ?」
「知るカよ」
「ひぃ、リチャードくんっ!?あ、だめ、リチャードくんの、前ッッ」
「見られながら盛大にいこっか」
「無理ぃぃっ!!!」
否定しながらクラレンスは達して自分の腹を汚す。
「イったじゃないか。はは、素敵だよジャック。そのまま血にまみれてくれたらもっと素敵なんだけど」
指先で…爪を首筋に押し当て喉を掻っ捌くような動きて首を引っ掻く。
「今日はラミレスがいるからやらない」
「毎日ヤってるみたいにいうな。クソ、下半身動かない…」
「ラミレスが君に文句をイイに来たから聞いてあげなよ」
「…文句?お小遣い稼ぎ用のデータ送ってあげただけだよ?」
「うるせぇ!ハッキングすんなって言っテんの!あとそういうのイラナイ!ほっとイて!」
「遠慮しなくてもいいのに…」
困り顔のクラレンス。
善意で行っているのだ、この男は。
「リチャードくんは大切な家族だからね、本当に遠慮しなくていいから」
「ワタシのハナシ、理解シロ!!」
「無理じゃないかなぁ、ジャックは心配性だからね」
クラレンスを抱きしめてキュルテンはラミレスを見る。
「こうやって体で解らせた方が早いよ」
「な、に…キュルテン、よせ、動かすな」
「ラミレスの自立のためにお小遣い押し付けるのやめよーねー?」
「いやっ!やめない!」
「変な意地張るンじゃねぇーわよ!ジジイ!」
思わず叫ぶラミレス。
「だって、リチャードくんは私のせいで苦労して、だから、私が面倒を、んぅ!あ、うぅぅ!」
キュルテンにしがみついて刺激に悶えるクラレンス。
「おい」
ラミレスはクラレンスの髪を掴んで顔を上げさせる。
「ワタシをみろ、ガキじゃねーだろ。見えてねぇーのか?フレッドおじさん」
「りちゃーど、くん…」
クラレンスの暗い瞳。
自分と同じ暗い瞳は。
やっぱり現実(ラミレス)を見ておらず、昔からずっと変わらない瞳で幻覚(リチャード)を見ている。
ラミレスは諦め、クラレンスから手を離した。
◇◇◇◇
「おかえりウォレスさん。…あれ?」
ラミレスはマークを抱きしめたかと思えばそのままおっぱいの谷間に顔を埋めてしまう。
「どうしたの?」
「お前、良いニオイね」
「ありがとう?」
戸惑いつつマークはラミレスの背中を撫でる。
「酷い匂いの場所にイタノ。忘れたイのよ」
「うん、解った。」
マークは優しく微笑んで、背中だけではなく頭や手を撫でた。ラミレスが落ち着くまで。