生前のインサニアはこういう男だっただろうか?

 アルディラはふと思いついたその疑問を考えながらインフェルノを眺めていた。
 生前からの眼光は変わらぬものの、髪は触手のように地まで伸び肌は死人の色。
 格好は好んでいた白衣を捨てて軍服を着込んでいる。
 言動はインサニアだった頃より子供じみている。

 あぁ…、とアルディラは納得する。

 気まぐれさも白衣を捨てたのも全部エリザベスの影響だ。
 暇つぶしに悪魔の怪しげな本を読んでいるのもエリザベスの趣味。

「…なんだアルディラ」

 鋭い眼光がこちらに向く。
 アルディラと呼ばれると心が痛む。
 カルロ=ストゥルニと呼んで欲しい。生前のころのように。

「別に何も」
「ぼんやりと眺めるな。気分が悪い」
「申し訳ございません」

 とりあえず謝っておく。

「そうだ」

 ニヤリ、と牙を剥き出して笑みを浮かべるインフェルノ。
 こういう笑い方のときは決まってロクでもないことだ。

「口が暇そうだな!」

 読んでいた本を虚空へかき消し、目の前のテーブルを蹴り飛ばして脚を開く。

「え、えぇーなんですかいきなり…」

 いつもの突拍子もない命令にドン引きしているとインフェルノは笑みを消して睨んできた。

「できないのか?」
「やりますやりますから痛いこと止めてください」

 アルディラは泣きそうな顔で呟き歩み寄った。

(こういうのはマークの仕事だろ、なんであんたマーク殺したんだよ。
 あぁマークが抵抗したからか、畜生へんなところだけ強情なんだから…なんで全部受け入れなかったんだよ…)

 自分は受け入れ―――いや、受け入れたわけじゃない。
 ただ、見たかった。
 インサニアの中身を見たかった。パンドラの箱の中身に興味があった。
 幼い頃から見たかったもの。―――だから命乞いをして、結局箱の中身は何もなくて自分は化け物になってしまった。
 そして結局インサニアの世界は見せてもらえていない。
 死んだ方がよかったのか、化け物になって生きることを選んだ方が良かったのか…どっちが正解だったのかはさっぱりわからない。

「吐きそう」
「吐いてもいいが、それをすればどうなるかわかってるだろう?」
「うう…」

 涙ぐみながら、インフェルノのナニを取り出して舌を伸ばす。
 正直、男性経験なんてない。
 インフェルノの暴行は慣れれば大丈夫だが、こういうのはまだ慣れない。

「んぐ!?」
「まったく貴様は下手すぎる。下僕ならご主人様を満足させるべきだろうが」

 頭を掴まれ、無理矢理押し込まれる。

「んっ…んぐっ…!うぐっ…!」
「誰が私の服を掴んでいいと言った」

 ズボンを掴んでいた手を引き離され、仕方なく毛の長い赤い絨毯へ爪を立てて苦しみを耐えた。

「舌先と根元を使えと何度言ったら解るんだ?えぇ?」
「っ…!!」

 涙を流しながらインフェルノに堪えるように奉仕を続ける。

「出すぞ。零すな」
「っ〜〜〜!!」

 喉の奥で熱を放たれ、咳き込むのを堪えながら喉に詰まるそれを飲んでいく。

「はっ…あぁ、…はぁ……」

 解放されて唾液の糸を引かせながら息をつくアルディラ。

「酷い顔だな。」
「か、可愛くなくてすみませんね…げほっ…」
「次はお前から私のこれをハメろ。いつも犯されてばかりでは飽きるだろう?」
「はぁ?!」
「できるよな?」

 インフェルノの笑顔が怖い。

「わ……わかりましたよ…やりますよ……」

 犯されるのに変わりはない。
 アルディラは諦めモードでズボンを脱ぎに掛かった。

「あぁ、いれやすいようにしとこう」

 呟きながら指を鳴らすと同時に、アルディラから喘ぎ声のようなものが漏れる。

「いっ…な、あぁ…!?」

 下半身からぞわぞわとした感覚が這い上がってくる。湧き上がってくるのは急激な快感。
 直接神経を刺激されているような内部からの耐え切れそうもない強すぎる快楽。
 脚の力が抜けそうになり踏ん張るが、カクカクと震えて今にも倒れそうだ。

「ちょ、…待って…キツ、い…これ、ヤバ……」

 耐え切れず倒れこみ、耳まで赤くして涎を垂らしながら訴えるアルディラ。
 込み上がってくる箇所は下半身のみの快感なのだが、全身に力が入らなくなってくる。
 触ってもいないのに勃起してしまったその先端からは先走りが垂れ始め絨毯を濡らしている。

「がんばれよ」
「き、鬼畜…あの、脚、もって…も…持たせて……」
「仕方ないな許可する。」

 アルディラはインサニアの脚にすがるように抱きつきながら、快楽に震える下半身に力を込める。
 だめだ、力を込めると全身に快感が走り抜ける。

「あっ…あぁ…はぁ……」
「何がしたいんだ」

 座り込んでしまうアルディラに呆れた視線を向けるインフェルノ。

「立ち、たいんですけどっ…」
「がんばれ」
「っ………引っ張ってくれませんか」
「うぜぇ」

 手を伸ばしてくるアルディラに呟きながらインフェルノはアルディラを引っ張り上げる。
 膝の上にたどり着いたアルディラは落ちないようインフェルノに抱きつき、そのまま動けなくなってしまった。

「おい、遊ぶな」
「ちがっ…こ、これいじょう…動くと…」
「あぁ?動くとなんだというんだ?」
「…イク」
「私が許可するまでイったりしたらぶっ殺すからな」
「ですよね…」
「さっさとここにいれればいいだけだろうが」

 インフェルノの手が尻へ伸びて、指が侵入する。

「ひぎっ!?」
「どうしたできないのか?」
「やめっ・・・あっ…あっ…いれ、いれる!から、触らないでっ…!!!」
「命令するな」
「ただのお願いですからっ…!!!あっ…やめ、あっ……」

 耐え切れずイってしまうアルディラ。

「………」

 腹部を白濁まみれにされてインフェルノの目つきが変わった。
 インフェルノに投げ飛ばされ、強く床に背を打つアルディラ。

「ぶっ殺す」
「や、め…!ゆ、許し…」

 虚空からインフェルノの刀が現れ、鞘から抜かれたその刀の切っ先をアルディラの腹へ突き立てる。

「ひっ…ィ…!?あ、あぁぁ…!?」

 激痛ではない。
 想像していたものと違う刺激にアルディラの思考は完全に混乱する。
 刺された箇所から快楽の刺激が伝わってくる。

「い、インフェルノさまぁっ!!いたい、痛いのがイイっ…!!痛いのがぁぁぁ!!!」
「貴様は痛みに抵抗力があるからな!こっちのが面白いだろう!?」

 笑みを浮かべながらインフェルノは引き抜いた刃を今度は振るった。

「ぎゃああああああ!!!!」

 腕が飛ぶ。やはり激痛ではない。
 快楽に変換されてアルディラの頭の中は絶頂を迎えた。

「ひっ…ひぎっ…」

 アルディラの表情は恐怖に強張りながらも恍惚を感じさせる笑みが混じっている。
 嬌声じみた声とその赤く火照っている肌のせいでその涙も口から流れる唾液も全て恐怖からではなく快楽から来ているようにしか見えない。

「やめっ…あぁぁ…やめて…」

 なくなった腕を押さえながら哀願するアルディラを見下ろしたまま、インフェルノは三度目の刃を下ろす。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 その悲鳴は完全に、痛みからの悲鳴ではなく快楽からの悲鳴だった。

「イったなアルディラ!腕を切られてこうやって刃で抉られると射精するのだな貴様は!変態だな!アハハハハハ!!!」

 アルディラの身体に突き刺したままの刀をねじるように動かしながらいう。

「痛いのがいいんだろう!?痛いか?どうだ?痛いか!!?」

 ガッガッ!と何度もアルディラを蹴るインフェルノ。
 アルディラは何か叫んでいるが完全に舌が回っておらず、何を言っているのかわからない。
 その表情も限界が近いらしく目が虚ろだ。
 しばらくして動かなくなったことに気づいたインフェルノは足を止めアルディラを見た。

「意識を落としたか。面白くないな!これからだろうが!!」

 インフェルノの影からずるりと触手が現れてアルディラの体に巻きついた。


   ◇◇◇◇


 アルディラが気付くと、そこはインフェルノの寝室だった。
 インフェルノのベッドに自分は寝かされていた。切られた腕はもうくっ付いているしあの地獄のような快感も襲ってこない。
 しかし自分の腹の上にインフェルノが跨っていたので心臓が止まりそうになった。
 動く心臓なんてもうないけれど。

「え、えーと…これから一体ナニを…?」
「もう少し口の聞き方を覚えろよアルディラ」
「…ご主人様一体何をするのでしょうか」
「気持ちよくて楽しいことに決まってるだろう?」
「それってインフェルノ様のみって解釈でよろしいでしょうかね!?」
「後ろ向きだな?貴様も気持ちよくしてやる」
「さっきみたいにですか?頭が混乱してわけわかんなくなるんですけど」
「それがいいんだろ。今からすることは違うが。
 なぁアルディラ、お前はどうも私のことをインサニア=テネブラルムとして見すぎている」
「はぁ…まぁ、外見が外見なんで…」
「私はインフェルノであって、インサニア=テネブラルムもカルロ=ストゥルニも全部ひっくるめて私」
「えぇ…理解はしてますけど」
「してない。造形なんて擬似的なものだ」
「うわ……」

 インフェルノの触手が足や腕に絡まってくる。

「見てみろアルディラ、この肉体なんて偽りだ。こんなこともできる」

 いいながらズボンが溶け、腹の上で脚を開く。
 思わず絶句するアルディラ。
 頭では可能だと理解はしているのだが、視覚的なモノの衝撃は強い。
 インフェルノに性器が両方備わっていた。今の一瞬で作ったのだろう。
 一部分じゃなくて全身を幼女に作り替えてから見せて欲しかったと思うアルディラ。インフェルノは鬼畜である。

「私を味わえ?」

 笑いながらインフェルノが手を突き出してくる。
 その手に視線が行く。手のひらが横に割れたと思った。
 違う、口ができたんだと理解したときインフェルノはその手でアルディラの口を塞いだ。

「んむっ…くっ…あっ…」

 手に生まれた口から伸びる舌がアルディラの口内を派手に犯しているらしく、ぐちゅぐちゅと音が聞こえる。
 逃れることも出来ず、ぶるぶる震えるアルディラに満足そうな笑顔を向けるインフェルノ。
 手の間から唾液が流れてくる。

「どうだ?苦しいか?もっと苦しめ?」

 手をぐいぐい押し付けながら、インフェルノはアルディラのナニを下半身で咥え込んでいく。

「ッ…!! っ!!!!!」

 目を見開き、反射的に首を振ろうとするアルディラだがインフェルノが許さない。

「気持ちいいか?幼女以外の味はどうだ?ん?」

 手を離すとアルディラは熱で呆けた表情で熱い息を吐く。

「気持ちいいのか?」

 涎でどろどろになった手を舐めながらインフェルノは問いかける。

「は…ぃ……」
「ほうそうか。じゃあもっと気持ちよくしてやらなくてはな」
「ひっ!」

 触手がアルディラのアナルへ侵入していく。

「中で出したらぶっ殺す」
「無理っ…!無理だから、どけっ!早く退いてくれ!!!」
「命令するな」
「っ…ひィっ…!!!」

 触手にイカされてしまうアルディラ。

「出すなといったのに、最悪だ」

 立ち上がるインフェルノ。瞬時に男性体へ戻っていた。

「ゆ、るして…お願い……」

 これから行われるであろう暴力に恐怖で怯えるアルディラ。

「おお、そうやってずっと許しを請うがいい。私の気が変わるかもな?」

 インフェルノの髪が伸びてアルディラにまきついていく。

「やめ、やっ…くるし……」

 ジタバタ暴れるアルディラだが、インフェルノはアルディラを踏みつけて逃がさない。

「全身の骨という骨をじわじわ砕いてやるからな」
「ひっ…ぃ……」



 一日中アルディラの絶叫とインフェルノの高笑いが響くのであった。




 おわり

当時はカルロ×インサニアとインフェルノ×アルディラの脳内だったんですよね。