休日
休日だ。
休日は何をするでもなく映画鑑賞をしたり大ファンであるラクリマ=カンツォーネの歌声を聞き入ったりと部屋に引きこもっていることが多い。
外へ出てもそんな感じであるが…。
マークはヘッドフォンをつけてラクリマの歌声に聞き入っていた。
「マーク」
なのでいつの間にか侵入し後ろから声をかけてくるインサニアに気づかなかった。
「マァァァク」
「うひゃああ!?」
抱きつかれて飛び上がるマーク。
「な、なななっ…!?びっくりしたー、インサニアか」
ヘッドフォンを外しながら振り返って呟く。
「ラクリマの声で自慰行為とは変態だな」
「してないよ」
「しないのか…」
「お前はしてるのか」
「私はラクリマの夫だぞ?」
さも当然、といった風に答えるインサニアにマークは思わず頭を抱えた。
自分もしているから他人もしているという考え方を持っているのだ、インサニアは。
「何か用?」
「用がないから来た」
「暇なのね」
苦笑するマーク。
暇つぶしに自分の所へ来てくれるのは嬉しいような哀しいような、複雑な気分である。
友達として接してくれている…と信じたいのだが、ときたま奴隷としか思われていないような不安に襲われるからだ。
「休日というのは厄介だな。暇な時が一番厄介だ」
そういいながらベッドに腰掛ける。
「マークは多趣味だから暇なんて感じないだろう」
「感じるよ、人間だもん。インサニアは無趣味すぎるだけだと思うんだけど」
「趣味ぐらいある」
「え、そうだったっけ…?」
首を傾げるマーク。
長い付き合い…とまではいかないものの、それらしいものが思いあたらない。
インサニアは急に立ち上がりマークに歩み寄る。
「な、なに…?」
「……」
顔をつかまれそのまま唇を奪われた。
ジタバタもがけばもがくほど、インサニアの舌がマークの舌を弄ぶ。
「っ…んぅぅ……」
涙目で顔を真っ赤にさせて、マークはとうとうそのキスを受け入れてしまう。
しばらくしてキスから解放されるとマークはぐったりとイスの背もたれに体重をかける。
「感じやすいな、相変わらず」
「ちがっ、その、あれだよ!インサニアがえろいの!!」
情けない反論をするマーク。
「続きをやろうか?どうしようか?マーク」
「えっ」
「私は暇なんだがマークは忙しそうだな?」
「お、お前」
ニヤニヤしているインサニアを睨み上げる。
「その気にさせといてなんだよそれ!」
「勝手にその気になったんだろうが。いきなりキスされて感じてる方が悪い」
「うっ……」
正論というか何というか…確かに強引なキスで感じてしまっている方が悪い…? いや、そもそもキスをしてくる方が悪いはずである。
「いきなりキスとかするからだろ!暇だからって理由はナシ!」
「それをナシにされると困るんだが」
「だいたい俺はインサニアの愛人でも何でもない、ただの友達なんだぞ。」
少々頬を赤らめて呟く。
「言っておくが私は男嫌いだぞ」
「それぐらい知ってるよ…」
「つまり私はマークを男として認識していない」
「………」
◆◆◆◆
「カルロー!!!」
「何だマーク」
泣きながら部屋に飛び込んでくるマークに、特に驚くこともなく返事を返す。
もう慣れた。どうせインサニアと喧嘩でもしたのであろう。
インサニア相手に勝てる者は…いるだろうか、とにかく泣かされたのは間違いない。
「俺は男らしいよな!」
「あぁ、農業で鍛えたその身体は男にしかみえないな」
「農業いうな。インサニア酷いんだよ、俺のこと男だって思ってくれてなかった…!」
「なんだそりゃ…」
呆れた顔をしながらカルロは呟く。
マークは袖で涙を拭いカルロを見る。
「どうやったらインサニアに男って見られるようになるかな?」
「そうすると俺みたいに嫌われるようになるぞ?」
「ハッ…そ、そーか…そうだよね、男嫌いアレルギーでちゃうよね…困ったなー…でも、俺ってそこまでなよなよしてないよね?」
「してない…と言いたいがインサニアと一緒だと女子っぽい時が」
「まじ!?」
「諦めてアイツの嫁にでもなったら?」
「ヤだよそんなの!あいつの嫁になったら大変だよ!体力続かないよ!」
「あいつって誰だ?」
インサニアが後ろに立っていてぎょっとするマーク。
「ぎゃー!後ろに立つなよびっくりする!」
「マークが鈍いんだ。来い」
マークの腕を掴んで引っ張っていく。
「痛いよインサニア!どこへ行くの」
「私の部屋」
簡潔な答え。
しかしその答えの意味はつまりアレなので、マークはちょっと気が遠くなった。
「自分で洗えるってば…!」
頭からシャワーを浴びせられるマーク。
インサニアの部屋にあるシャワー室に連れ込まれたマークは強制的に身体を洗われていた。
普段はこんなことしないのだが、カルロの部屋にいたためだろう。
どうもインサニアは妙なところで神経質で『男の匂い』が気になると言い出す。
ちょっといただけで匂いなんて移るわけないのだが、気になるらしい。
しかし男二人で狭いシャワー室にいるのは少し哀しい。インサニアはまったく気にしていないが。
一通り洗い終えた後、インサニアはマークに詰め寄ってキスをする。
「あっ……」
インサニアの手がマークの腰から尻へと下がっていく。
体が強張る。
無意識にインサニアから顔を背けてしまう。
「イヤならイヤだといえばいい」
「い、いやじゃない」
耳まで真っ赤になりながら声を絞り出すマーク。
「やっぱりお前、私に惚れているだろう?」
「そんなわけないだろ!」
「じゃあどうして私の相手を…淫乱なのか?それとも変態か?」
「どっちも違うよ…! ただ、その……」
口篭るマーク。
自分でもよくわからない。
インサニアは好きだ、ただそれは友達としてであって恋愛対象の『好き』ではない。
「私はお前が理解できない。お前は私に強姦されてるんだぞ?」
「それは最初だけじゃないか…。そのね、俺さ…お前に逆らえないっていうか…俺でもよくわかんない…ごめん」
「何故謝る…?」
「これだけはいえるよインサニア。俺、お前のこと嫌いじゃないし、お前にこういうことされるのも苦痛じゃない」
「そうか。やっぱり変態じゃないのか?」
「お前な……」
インサニアの素直に思ったことを口にする癖は直して欲しいと思った。
「この趣味はどうにかならない?」
全裸で両手をベッドに繋がる手錠で拘束された姿のマークはインサニアに呟く。
手錠の長さはそれなりにあるのでマークはベッドの上で体育座りだ。
「心躍らないか?」
「お前だけだよ…このサディスト」
「喋ってないで咥えたらどうだ?」
「……」
ムードとかそういうものは一切ないインサニアの発言に涙しながら、マークはインサニアのナニへフェラを始めた。
「ねぇ…」
「何だ?」
上目使いのマークに視線を向けることなく、インサニアは雑誌を眺めながら返事を返す。
「ゴム越しで感じてるの?って聞こうと思ったんだけど…なんで雑誌読んでるんだよ」
「興奮の足しにしようかと」
言いながら雑誌の中身をマークに見せてくれる。
その中身に思わず呻くマーク。SM本を素の顔で見せられても困る。
「つまり…興奮しないんだ?」
「そうでもない。『足し』だといったろ?で、何だ?ゴム越しがどーのこーの」
「うん、感じてくれてるのかなって思ったんだけど感じてなさそうだな…」
「だからそうでもないと言っただろう。お前の基準がわからん」
(それはこっちのセリフだっつーの!!)
心の中でつっこむマーク。
その心中を悟ったのかどうかはわからないが、インサニアは雑誌をおもむろに捨てる。
「どうもお前は言葉で伝えても理解できないようだな」
「そんなことないって…え?なに?」
インサニアがマークを押し倒し、その脚を広げさせる。
「今日は特別だからな、二度目はないと思え」
言いながらマークのナニにゴムをつける。
「待ってインサニア!一体なにを…」
マークを無視して、インサニアはマークのものを咥えた。
「!!!?」
意外なことをされて混乱するマーク。
「インサ…!?」
インサニアの舌がマークの感じるところを探し出して刺激してくる。
「やっ…!?はぁっ……あぁぁっ…!」
脚を震わせて悶えるマーク。
腕が自由であればインサニアの頭を掴み抱え込んでいたかもしれない。
残念ながら両手は手錠で届かずガチャガチャと鈍い音を上げるだけであった。
「あっ……」
「……」
イキそうになるマークを察して動きを止める。
「どうだ?」
「どうって……なんで雑誌を読むのか理解できない」
半泣きで答えるマーク。
「マークは異様に感じやすい」
「そ、そんなことない!」
「ふん…まぁいい、納得しただろう。始めるぞ」
「うん……」
◆◆◆◆
翌日の医務室にて。
「うぅぅ…腰が痛い…」
マークは腰を押さえて呻いていた。
「鍛えたら?」
「無茶いうなよっ…」
カルロにつっこむマーク。
「まだマシだと思え」
インサニアは椅子に座り資料整理をしながら呟く。
「お前を顔射で悦ぶ変態に調教してやってもいいんだぞ」
「結構だよ!何その変態っぽいプレイは!!!趣味なの!?そーゆーのが趣味なの!?」
「マーク専用に決まってるだろ…?」
何言ってるの?といっているような目をマークに向けて呟くインサニア。
「あーもうこのサディスト!!!」
マークの苦労は絶えない。
END
↓↓↓当時のあとがき↓↓↓
エロを目指したんですが全然エロがないです。
困った困った。
↑↑↑ここまで↑↑↑