「ラゴ、災難だったな」

 ザンは病室に入るなりベッドに横たわっているラゴに呟いた。
 ラゴの体は痛々しく包帯が巻かれ、顔の半分も包帯とガーゼで覆われている。右目は失っていると事前に聞かされた。

「…なんですか」

 掠れた声。喋りにくいようで少々呂律も回っていない。

「見舞いだ。ほら」
「……」

 薔薇の花束をラゴに見せるザン。

「研究は打ち切りらしい。まぁ仕方が無い、軍というのは結果が全てだ」
「…もう帰ってください」
「そうはいかんよラゴ」
「!?」

 いきなりザンの手がラゴの顔の怪我へ伸びた。

「あれは実験事故ではなく、お前が事故に見せかけたんだろう。こんな傷まで負って。」
「ぐっ…ぁぁ……!」

 ザンの手が傷口を圧迫する。

「理由を吐け」
「なっ……んで、お前に…!」

 涙ぐみながらもザンを睨むラゴ。

「理由によっては黙ってやる」
「……」
「信用しろ」

 手を離すザン。

「…ロザリーが、銀河連邦の技術だけじゃ満足できなくなったんです。いや、連邦の中じゃ思ったものが作れない。
 でも研究データを持って連邦を出るわけにもいかないし出来るわけもない。
 だから事故に見せかけてロザリーを逃がしたんです」
「なるほどな…。バカだな、俺に相談すればよかっただろ」
「貴方の手は借りたくない」
「こういう時だけ強情だなお前は」

 ため息を吐くザン。

「好きな女を自分の手で守ってやりたい気持ちもわかるが、死に掛けたんだぞお前?死んだらどうする気だったんだ」
「覚悟は出来ていました」
「まぁいいか。生きてるんだからな。これからのことを考えよう」
「罰は受けるつもりです」
「事故で通せばいいだろう?お前には監視が付くだろうがその監視は俺がやってやる」
「また何か企んでますね…」

 ニッコリ微笑んだ後ザンは表情を嘆きの表情に変える。

「いやな、また部隊追い出されてさ……」
「またですか」
「なんでだろうなぁ……ちょっと全裸で艦内歩いただけなのに」
「…わかりました、僕がついてアンタの奇行を止めますよ」
「奇行!!?どこが奇行!!!?」

 まだ色々と苦労しないといけなさそうだな…と、ラゴはため息を吐いたのだった。




 END

↓↓↓当時のあとがき↓↓↓
超初期設定。 ザンはアホになったりイケメンになったり時たま冷酷になったり。本性は冷酷ですがそれはお仕事上のお話。軍人なので情け無用。という設定だった。完結編ではどうなるのかはお任せ状態。
↑↑↑ここまで↑↑↑