ダイジェスト版
ラミレスは自機のコクピットの中で作戦待機中である。
傭兵として生きており、戦争のある場所を渡り歩いている。
今日は銀河連邦軍に雇われて降下作戦だ。
惑星シュテルプリヒへ鎮圧に向かうのだ。
傭兵と兵士を乗せたシャトルが大気圏に辿り着く。
「降下開始」
号令と共に順番にシャトルからロボが発進していく。
ラミレス機も宙に飛び出す。
「……」
首にアンプルを打ち込む。
仲間は皆ヤっている、もちろん悪い仲間だ。
薬で高揚感を得て戦うというヤンチャな仲間。
雷が飛び交うのが見えた。
雷飛竜に跨るエルフの軍。
原始的だ。
しかし陸上には相手方のロボもいる。
「ヤんならナマだろうガよ!」
ラミレス機は両手に細身のブレードを持ちエルフ軍に襲い掛かった。
ラミレスが戦場で高揚感に浸っていると空気が歪んだような感覚に違和感を覚えた。
「ナぁニ?」
警告音が鳴り響く。
瞬間、機体の腕が切断される。
後ろを見ると魔法陣、魔法陣の中から赤い機体がゆっくりと出てきていた。
他の機体もそうだった、背後から襲われている。
そうして赤い機体はラミレス機の腕を斬り飛ばしたのだ。赤い機体はそのままラミレス機を刺す。
「ぎゃあああああ!?!?」
コクピットがひしゃげて金属が悲鳴を上げる。
「ぶっ殺してやルぅぅ!!!!」
『きゃ―――』
ラミレス機は残っている腕で相手の動体へぶち込むように殴る。そして腕に装備している銃で弾丸を撃ち込み、怯んだところで相手を抱きしめるようにして捕まえる。
そうして別の武装の弾薬も使いながら2機は大地へ落ちていった。
学校から帰ると叔父のフレッドおじさんが淀んだ目で宙を見ていた。
「…フレッドおじさん?どうしたの?メアリーさんは?」
「……事故、で、子も…死産で」
「え…」
フレッドの虚ろな目がラミレスを捉える。
「ああ、ここにいたのか■■■■」
それは生まれる子の名前だったはず。
自分の名前はリチャードだ。
フレッドは優しくラミレスを抱きしめる。
「私がいるからな…大丈夫…大丈夫だよ…」
「………」
ゾっとした。自分の子に仕立て上げている。狂気だ。
メアリーはどこにいるのだろう。
本当に死んだのか?なぜ死んだのか?どうして事故にあった?
明るく笑って抱きしめてくれるメアリーが母のようで好きだった。
今抱きしめてきているこの男は、なんなんだ。
おぞましい狂気の塊にラミレスは思えた。
事故だ、本当に偶然。目の前ではなく近くで起こった事故。
たまたま偶然、気が触れているフレッドの前に人の頭が転がってきたのだ。
酷い衝撃の強い事故だったのだ。
首を見て、フレッドはまた自分の子を呼びながら首を抱きしめるのだ。
その時ラミレスは「ああ、何でもいいのか」と思った。
心が黒く塗りつぶされるような感覚がした。
この男は何でもいいのだ、今まで自分を代わりにしてきたくせに本当はどうでもよかったのだ。
周りの人たちが慌てたようにフレッドを囲み始める。
その日からフレッドの異常に気付いた周りの者たちは治療をしてくれて、回復した。
自分も上辺だけ息子として接した。
弱かった、フレッドがいないと何もできない子供だった。
そうしてフレッドは回復した。
そして以前のように、メアリーと過ごしていたころのように接してくる。
自分のこの真っ黒な心は誰が直してくれるんだ?
「うっ…」
コクピットの割れ目から這い出るラミレス。
腕が痛い、折れている。
まだ残っているアンプルを打ち込む。
「くそがぁ…!」
相手の機体を蹴る。
「どんな顔してやがんだァ?クソ野郎!」
相手のコクピットを今強制的に開いて乗り込む。
頭から血を流し気を失っている金髪の女だった。
「…メアリー?」
メアリーに見える。
メアリーは微笑んでラミレスを抱きしめようとしてくれている。
なのでラミレスはメアリーの元へ向かった。
すべて幻覚だ、アンプルが見せる幻覚。
女パイロットの血で興奮したのかもしれない。
腕の痛みが腹立たしかったのかもしれない。
メアリーに似てもいない女をラミレスは犯した。
途中からお互いにアンプルを打って、昂ぶりが収まるまで。
まだ薬で酩酊している女を捨ててラミレスはその場から離れた。
身体が気持ち悪い。
湖まで駆けて、飛び込む。
腕が痛い、身体が冷える、水が氷のように冷たく突き刺さるように痛い。
薬のせいだ、感覚が研ぎ澄まされ過ぎていて。
「メアリィー!!!メアリー助けて!!!メアリーお母さん助けて!!!!」
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
薬を打ち過ぎた。
「ボクをここカら出しテ…」
◇◇◇◇
「ここカラ出しナさいよ!!」
ラミレスはドアを叩く。
『出さないわよ。逃がさない』
女―――過去に犯したあの女パイロットのルチアがドア越しにいう。
『あなたは私の夫となった。ここで住むの、そしてテネブレのパパとして生きるのよ』
「誰が生きるか!」
『態度を改めないのならまた拷問しようか?しばらくそこで考えることね』
ルチアの足音が遠のいていく。
「くっそ!しくじった!」
もう一度ドアに拳を打ち付けてラミレスは座り込む。
家族なんていらない。
父親とかなれない。こわい。
どうにかして逃げてやる。
癖でアンプルを入れているポケットに手を伸ばし、ないことに気づいて息を吐く。
落ち着かない。
薬でトリップしたい。
何も考えられなくなるか、気持ちよくなれるのに。
「……」
そのままラミレスは寝転がる。
床からじんわりと冷たさが伝わってくる。
不快であったが、どうでもよかった。
浮かんだのを並べたので、ちょっと過去に匂わせていた設定とズレがあるかも。