正史B

悪い親子

 なんやかんやで全ての事件が終わり、宇宙は平和による静けさに満ちる。

 ―――たぶん満ちている、多少戦争しているところは残っているが、宇宙は広いので誤差だ。

 ラグナロク部隊は一時活動停止、つまり休暇を与えるということになった。
 部隊からの離脱や転属があるため、再編などの采配による時間を取るための処置だ。
 ちなみに艦長やカルロに休暇はない、上官階級の者たちは事後処理云々の報告で忙しいのだ。
 ブラック銀河連邦軍である。
 とくにカルロは並行世界の闇落ちした自分が攻めてきたというラノベのような状況のため「お前自身は大丈夫か?」と爆発物かのような対応をされた、可哀想。この後も検査などが待っているらしい。可哀想。
 それだとインサニアとかクラレンス博士とか…という話になるがインサニアは実家パワーで逃げれたしクラレンス博士もキュルテンと共に逃亡した。
 軍の犬であるカルロだけ逃げれなかったわけである。
 そして実家パワーにあやかってしまったインサニアは父親のラミレスと共にリゾート惑星にいた。
 大変不本意である。なぜ男、しかも父親とこんな星に…と不満だらけ。実家はラミレスを逃がさないため、ついでにインサニアを可愛がりたいため金に物を言わせて惑星一つ(といっても小惑星である)を貸し切った。
 それぐらいのパワーがある実家だ。

「なんで俺も?親子水入らずのが良くない?」

 インサニアと一緒にホテルの廊下を歩きながらマークが首をかしげる。

「親子水入らずがいやなんだよ!…お前暇そうだったし、他の者を巻き込めないし」
「たしかに休暇にやること何もなかったけどさぁ…うーん…インサニアは泳がないの?」

 普段通りのがっつり着込み具合。
 戦艦内は空調が整ってて暑い寒いはなかったが、この星だと暑かろう。

「泳がない」
「せっかく来たのに…ホテルにいる人たち全員インサニアのところの人でしょ?恥ずかしくないって」
「嫌だ」

 頑ななインサニア。
 ホテルの従業員はすべてインサニア家のメイドと執事、警備は鉄道員に入れ替わっている。
 これはラミレスが従業員を人質に取って逃亡しないようにの処置と監視のためだ。
 みな戦闘が出来る。物騒。
 ビーチに出ると騒がしそうにしている男がいる。
 パラソルの下、綺麗なお姉さんたちに囲まれてはしゃいでいるラミレスがいる。
 もちろん普段の格好ではなくちゃんと水着、際どい水着である。漂白した?ってぐらい白い肌にはムダ毛など一切ない。見せつけるための身体をしている。インサニアと大違いである。マークはインサニアの裸をみたことはないが。ちんちんのサイズしか知らない、マークは最悪な気分になった。

「楽しんでてずるい!私もしたい!」

 インサニアがダダこねし始めるが、あの綺麗なお姉さんたちは普通のお姉さんたちではないだろう、ハニトラ専門の暗殺者か何かだ。マークはそう思う、そういう『匂い』がするので。
 お酌専門の綺麗なお姉さんたちはもっと甘い匂いがするので。
 ただまぁインサニアは女の人なら何でもいいタイプなので気にしないだろう。
 ラミレスもそうなのかもしれない、変なところで似ているから。

「あークソガキ来ちゃったァ…」

 ラミレスは立ち上がり海に向かって歩み始める。泳ぐらしい。

「女どもに甘えてなクソガキ」
「うるさい…お前も甘えてただろ…」
「インサニアも一緒に泳げばいいのに」
「嫌」

 スン…となってインサニアはラミレスが座っていた椅子に座る。
 マークは呆れながらラミレスのあとに続いた。

「アナタ泳げるの?あの星の海ってモンスターいるでしょ?」
「海は入ったことないですよ、湖があってそこで泳いだことがあって…」
「湖?あぁ、あの年中冷たいとこ」
「そうです、詳しいですね。俺たちの星で産まれたんじゃないのに」
「観光」

 短く答えて海に入っていく。

「…観光でそこに行くかな?」

 道なき道を進んで辿り着く場所だった。田舎すぎてマークは嫌だった思い出の湖でもある。


    ◇◇◇◇


 海を楽しんだあとマークはビーチに戻るとインサニアは仕上がっていた。
 お姉さんたちといちゃいちゃしている。普通にいちゃいちゃしている、口説き落としたかのように。羨ましい。
 なぜインサニアはモテるのか?永遠の謎である。

「マークも飲むか?」

 普段聞いてこなさそうなことをきいてくるインサニアの目はちょっと柔らかい。
 酔ってるインサニアというのも貴重かもしれない、お酒が強くてなかなか酔わないからだ。
 強めの酒を注がれまくった可能性がある。
 マークは端っこに座ってカクテルを1杯頂く。美味しい。

「シャドー、その赤毛すっごくお気に入りみたいだけどサ。そんなに具合イイノ?」
「イイが?」

 咽るマーク。

「ふーん」

 ラミレスの視線がマークに向かい、マークは顔を赤くする。

「あ、あの。ここでそういう話は止めて欲しいかなって!」
「ソう?誰も気にしないワヨ」
「俺が気にしてますけど!」
「…マーク、部屋に行くぞ」

 ムラムラしてきたらしいインサニアがマークに行って立ち上がった。
 お姉さんたちをお持ち帰りすればいいのになぜかマークである。酔っているからだろうかとマークは心配になったのでインサニアの腕を掴んで一緒に部屋へ戻り始める。
 躓いてはいけない介護のためで腕を組んだが、もうなんというか第三者からは恋人のそれである。

「……」

 ラミレスもついていく。
 ラミレスはこの大人になってもクソガキな息子が心配だ。
 自分の息子なのにちょっとバカなのがとても不思議なのである。(天然という言葉を知らない)
 母親の育て方が悪かったのだと思った。かといって自分に育てる義理はない。ないはずだ。
 ちょっとヤってデキただけだ、降ろせばよかっただけの、その程度の存在だ。
 降ろさず産んだのも解らないし、いらなかったら殺せばよかったのにとも思う。
 でもインサニアは育ってここにいる。なんでか解らないが。
 母子ともにラミレスの理解できない何か別次元の存在に思えていた。

「…なんでラミレスさんも部屋に入ってくるんですか?」

 焦るマーク。

「いいジャなイ。今からヤるんデショ?気になってるのヨネ、具合トカ」
「え、それはどういう…」
「マーク」

 ラミレスにかまうなと言わんばかりにインサニアがマークに抱き着いてくる。
 完全に酔っている、こんな甘え方をしてくることはないから。

「インサニア、ダメだよラミレスさんが見てる」

 よしよし頭を撫でながら訴えるがインサニアはマークをベッドに押し倒した。

「ラミレスの話なんかするな!お前は私のだぞ!」
「え、えぇ〜…いや、待って!シャワーも簡単にしか浴びてなくて…!ひゃっ」

 水着を剥ぎ取られナニを扱かれ始める。

「い、インサニア!?なんか、悪酔いしてない!?」
「ちょっト薬盛ったからネ」
「いつ!?」

 マークはラミレスを見る。

「女に頼んで。そいつよりワタシのがモテる」
「どういう親子の張り合い方してんですか!?変な薬ですか!?違法ですか!?」
「ソウね…興奮しやすくなるヤツよ、まぁ…違法?」
「イン、サニアッ!待って、本当に、やぁ…!?」

 ナニが捻じ込まれる。
 大学時代にレイプされた時を思い出した、あれも薬とアルコールでおかしくなっていた。
 あの時は痛くて仕方がなかっただけなのに、今はもう体が反射的に反応して、脳に刻まれた快楽を思い出して、気持ちよくて仕方がない。
 マークの脚を掴み上げて、激しく打ち付ける。
 不意にマークは気づいた、いつも手袋をしてゴムをしているのに、今日は素手でゴムなし。
 ナマのインサニアのナニが中を掻き混ぜているのだ。

「ひぐっ…!」

 腹の底からゾクゾクしてきてマークのナニから大量の先走りが流れ始める。
 本能的に脚をインサニアの腰に回そうとする。掴まれているので無理だが。
 その変化にインサニアも興奮を煽られて一度目の射精を中で果たす。

「あ、あっあ・・あぁぁぁ…」

 マークは涙をぼろぼろ零しながらその熱が腹の奥に打ち付けられるのを味わう。味わったことのない感覚だった。脚がぎゅうっとインサニアの腰に回る、腰が上下に揺れて催促しているかのようだった。

「可愛い顔するネぇ…ふーん」

 ラミレスが覗き込んでくる。

「男なのニ不思議、女ジャないの?うーん、謎」

 言いながらラミレスはインサニアからマークを引きはがし、マークの腰を引き寄せる。

「な、に…?んぐぅ!」

 腰がつき上がる。ラミレスに犯されている。中にまだ残っているインサニアの精液を掻きまわされて興奮する。

「や、あっ…!いんさに、あ…のっせーえき擦り込まれ…るぅ…!!」

 マークは目の前にいるインサニアの手を掴み息を吐き、舌先から唾液を零す。

「ええ、中に出されたの掻きマワされて興奮してンノ?そういう趣味かァナルホド解った」

 インサニアにキスをされ始め身動きが取れなくなるマークをこれ幸いと緩くじわじわと中を探るように擦る。

「んぅ、ぅ!…ぅぅっ…!」

 良い所が当たるたびにマークはビクつき唸るがインサニアがキスを止めてくれない。
 舌が乱暴に口内を掻き回してくる。普段はそれほどでもなかったが、今日はインサニアの唾液も流れてきてマークは懸命に飲み込んで自分の舌を絡めさせようとするが、下からの刺激もあってうまく舌が動かない。

「中でダしてやるヨ」
「ひっ」

 インサニアから引きはがされ、ラミレスの腕が首に回る。息苦しい。
 首を圧迫されながら激しい上下運動。ラミレスの腕を外そうともがくがラミレスは手慣れたものでより腕に力を込めて締め上げていく。苦しさにパニックを起こす体だが、そのまま快楽に従って絶頂する。
 それが気持ち良くて、絶頂の感覚が長く感じられた。
 ぐったりと俯せに倒れ込むマーク。
 ラミレスのものも中に出されて、より熱く感じた。

「マーク…」
「ぃぁ…まだ、きもちイイ、のが…きてて…ンっぁああああっ…!」

 抵抗もできずマークは再びインサニアに犯され始める。

「ほら、しゃぶって」

 ラミレスは震え続けているマークの髪を掴んで顔を上げさせて唾液たっぷりの口にナニを突っ込む。

「んぶ、ぅっ…ぅ…!」
「そうそう、舌使って。上手ネぇ?」

 舌で追い出そうとしているのだが、それを解っていてラミレスはからかう。
 ラミレスの白い肌に爪を立てて抵抗をするが、ラミレスも笑いながらマークの頭を動かし喉の奥まで責める。
 その苦しさで体に力が入るのか、中に侵入しているインサニアのナニを締め上げているらしい。
 いつもより締まる中が気持ちよく、インサニアは再び達して中を穢す。

「マーク…そんなにラミレスのが美味いのか?」
「んぅ!?」

 インサニアの声にマークは戸惑う。ナニのせいで声が出せない。
 尻に衝撃が走った。インサニアが叩いたのだ。

「ンゥっ!ぅ、ぅっ…!」

 ゾクゾクとした快楽にマークは混乱する。

「マゾなんダ?カワイー」
「うぐ、うっぅ…」

 喉の奥で出されてマークは苦し気に呻きながら藻掻いた。

「シャドー、交代。こいつの具合まぁまぁイイじゃナイ?ほら、ワタシらの咥えてずっと悦んでるし」
「ちが、あ、あぁぁぁっ」

 否定しようにも身体は正直すぎた。スムーズにラミレスのものを飲み込んでしまう。
 インサニアのもののみで慣らされて教え込まれているはずなのにラミレスのものでも悦んでしまう。
 そのまま同じというわけではないのに、インサニアと同じものだと身体が誤認してしまうのだ。
 愛しく思ってしまうのがインサニアを裏切っているようで胸が苦しい。

「イ、ン…!」

 マークはインサニアのナニを求めて口に咥える。ゴムなしで口でするのは初めてで怒られるかと思ったがインサニアは怒ることもなくマークの頭を撫でてくれる。
 その手が心地よくて、脳が熱で蕩けそうな感覚がした。

「あア?こいツ…シャドーの口に咥えただけでイった?ヤッバ」 

 マークの濡れたナニの先端をラミレスの指先が這う。
 ラミレスを締め上げる中は痙攣を起こしているのかと思うぐらいにヒクついて震えている。
 これはドライで達しているのかもしれない。ナニからは勢いよく吐き出されてからとろとろと精液が垂れ流れ続けている。

「男の身体ってカテェから好きじゃないんだけど、お前はなんか柔らかくてイイわね。
 だからシャドーも気に入ったのカシラ?」 
「違う、マークはなんかわからんが気持ち悪くならないだけだ。柔らかいのは私の調教のおかげでは?」
「はぁ?おまえ突っ込んでるだけダロ?えらそーなんだよ。こいつフェラもクソ下手じゃねーか」
「これでいいが?」
「お前の感度の問題カ?雑すぎヨ。かわいそー、ただの穴扱い」
「穴扱いしてるのはお前もだろうが。マークはこれでいいんだ」
「ワタシならもっと従順に調教するケド」
「うるさい、文句あるならもうやめて出て行け」
「ハァー?親として指導してやってるだけだろ。」
「う、ぐ…」

 マークがインサニアの脚を叩く。インサニアは視線を落とすと苦しいらしく涙目上目遣いのマークの顔。
 ラミレスとのやり取りを中断してマークの頭を掴み喉奥まで激しく犯した。
 苦し気な声とは裏腹にマークの表情は嬉しそうなのである。
 ゴムなしだからだ。インサニアの精液を直接飲めてマークは今までにない興奮を覚えていた。

「はっ…いんさにあ、はぁ…いんさにあ…」

 熱を飲み込んだ後、マークはインサニアの柔らかくなったナニに舌を這わせて丹念に舐め始める。

「なんかそっち求められると腹立つなー」
「ひぅ!」

 ラミレスはマークをインサニアから引きずり離し角度を変えてより深く貫き始める。
 いつもインサニアに突かれている部分を犯されてマークはシーツをぐちゃぐちゃに掴みながら悶える。

「イ…ちゃう、いんさにあっごめ、イっちゃう、おれ、いんさに…以外、でぇ…イクぅ…!」

 マークの身体が跳ねる。

「さっきからイってるだろ」

 冷静なツッコミを入れるラミレス。マークはちょっと意識が飛んでいるのか荒い呼吸のままぐったりしている。
 マークからナニを引き抜き、ラミレスはベッドの上で胡坐をかく。

「…シャドー、お前なんで服脱がなイノ?」
「……え?」

 なんでその話題に?とだいぶ薬が抜けたインサニアは首をかしげる。

「きたねぇー身体シテルノ?」
「失礼な…ただ、恥ずかしいだけだ…」
「くだらなさすぎる…脱げや」
「嫌だが」
「ワタシのようにこの美しいカラダを見習いナサイ」
「嫌だが」

 交わることを知らぬ会話。

「そういや赤毛は下の毛の処理してるのネェ」
「剃れって指示した」
「…だろうなって思っタワ。こんなに可愛がっテるんだからペット?」
「愛人」

 交わることを知らぬ会話。

「なんかラミレスでイってるのムカついてきたな…」

 インサニアは寝ているマークに被さる。

「シャドーが下手だと思う」
「女相手じゃないからこうやってただけだ」
「ほんとにぃ?」
「うるさい」

 すぐうるさいっていうなこの子…とラミレスは心の中で突っ込む。
 レスバトルが下手なのかもしれない。偉そうな態度でゴリ押ししてきたんだろうなとほぼ正解を導き出すラミレス。
 息子が睡姦を行っている様子を眺めながらどう付き合っていけばいいんだと考える。
 脳裏に息子を生んだあの女の姿がチラつく。
 気を失ったあの女を犯したのだ、腕を折られた痛みで腹が立って犯していた。ちょうど目の前の様子が過去と被る。
 汚れた身体を洗い流すときのあの湖の水の冷たさに腹が立った記憶もある。
 何もかに苛立っていた、もしかすると息子もそういう時期があったかもしれない。
 めちゃくちゃなことをする、そういう血なのかもしれない。

「う…?や、いんさにあ…?」

 気づくマーク。とろんと熱で蕩けさせた黄金色の目でインサニアを見上げて、腕を回しキスをねだる。
 とても色気がある。あの普段ふわふわお人好しほわほわ能天気をしていてスイッチがはいるとオタクの早口みたいな言い回しで変なことを言っている男が。
 変なフェロモンが出てるとしか思えない。ラミレスは男に興味はない、男に酷い目に合わされてきているし。
 でもマークはそういうの関係なく入り込んでくるような、そのような感覚。
 そう、入り込んでくるのだ、いともたやすくこの男は。恐ろしいことだ。
 インサニアより先に出会っていれば誑しこまれていたのは自分だったかもしれない。


    ◇◇◇◇


 翌日。
 インサニアのママであるルチアがやってきた。ラミレスを回収するためである。
 ルチアは美しい、美魔女である。それがビキニを着て日本刀を持って部屋に入ってきたのだからインサニアは変な声を上げながら目を手で覆っていた。でも指の間から見ているので「そんな漫画みたいなことするんだ…」とマークは引いていた。
 グラマスなルチアはラミレスにニッコリ微笑みかけ、鉄道員に拘束を命じてそのまま隣の部屋のお風呂へ連行していった。水に濡れるから水着であったらしい。

「はーーっ…?母さんの水着姿…ほぼ下着では?いやほぼ全裸…?」
「インサニア、ほんとにお母さんに欲情するのよくないと思う、気持ち悪いって思われるよ…」

 興奮しているインサニアにいうマーク。

「父さんが母さんを独り占めしてるのずるいずるい!!!!」
「テネブラルム様、ルチアさまはケジメをつけさせるため拷問を行っておりますのでしばしの御辛抱を」

 執事がインサニアに説明を行う。

「お風呂場へいったということは水攻めの拷問をしている…ってコト!?」

 青くなるマーク。

「そのまま死んでくれないかな父さん」

 容赦ないインサニア。
 数時間後、ルチア(もう水着姿ではなく普通の格好)と憔悴したラミレスが戻ってきた。
 ラミレスの額と両手は包帯が巻かれている。

「あのぅ…治療しましょうか?」
「ありがとう、でもいいの。本星に帰ったら治させるから」
「母さん僕も一緒に帰る」

 インサニアがむぎゅっとルチアの胸に飛び込んで抱きしめる。マザコンモードだ…。

「だめよテネブレ。貴方のお休みは短いでしょ」

 ルチアは慣れた様子で優しく言い聞かせながらインサニアの首根っこを掴み上げてソファの上へ落す。完全に猫扱いである。
 これでもインサニアのマザコンを直そうと懸命に接してきた。でも全然治らないのである。
 厳しくしても叩いても直らない。斜め45度の角度で叩いてもダメだった。

「シャドーと一緒にいる!ルチアと一緒にいたくない!」
「あぁ?ふざけたこと言うな、私は母さんと一緒に居たいのに居たくないとはなんだ!
 母さんとえっちなことするんだろう!?許さないからな…!絶対に許さない…!!」
「……」

 ルチアはインサニアの態度に頭を抱える。ラクリマさんを連れてきた方がよかったかな、などと思ったりする。
 ふざけたことをぬかしているが嫁には弱いのだ我が子は。

「また、会いに行くから今日は我慢してテネブレ」
「……ん」

 不満げなインサニア。絶対「またっていつ?明日?」とかふざけたことを考えているに違いない。

「じゃあ連れて帰るわね、あなたたちはしばらくここで楽しんでなさい。」
「はぁい…」


(…あれ?リゾート地でインサニアと二人っきりで遊んで帰ってきたってなると誤解されるのでは?)


 マークはすごく今更な気づきをしていた。今更過ぎる…。
 あと誤解でもなんでもないことはマークは気づいていないのであった。