正史B

中身のない会話

マークの性癖がとんでもないのでは?という気づきを抱き始めているインサニアと理解力のあるバイス、そして何も自覚してないマークが喋ってるだけの身の無い会話。



「お前ってどこまで妄想してるんだ?」
「何が?なんの妄想?」

 インサニアの質問に首を傾げながらコーヒーを啜るマーク。
 マークの手には女性向け流行雑誌、インサニアの手にはエロ雑誌である。

「お前の性癖が捻くれているのは理解してるが、どこまでなのかイマイチわからん。」
「いや俺は普通だよ、こういうティータイムにエロ本読んでるインサニアが異常だよ?俺らの前だから流されてるけどさ」
「これはただの紙だ。紙幣もただの紙、私には同じ価値だ…」
「……どっちも好きってことだね?いやまぁそれはいいんだけど。
 俺の性癖って、本当に普通だと思うよ?えーっと…匂いを嗅ぐのはギリ許容範囲では?」
「それはもう既にヤってることになるからな。妄想の話を聞いている」
「妄想ねぇ…」

 目を細めて首をかしげるマーク。

「漫画を基準にしましょう。」

 バイスが話に入ってくる。

「満員電車痴漢ごっこエッチ」
「いや、病院で近いことはされてた気がするなぁそれ」
「あれは人が来ないところでちゃんとヤってただろ。そのためのヤり部屋だぞあれは。
 私はリスクの高いことはしたくないな…貸し切りだったらヤるが」
「俺は痴漢ごっこちょっといいかもって思うけど、場所がなぁ…バールでやったら車掌さんに射殺されるよねははは」
「ははは、そんなことできるのマジのバカしかいないだろ」
「こわい国ですね…僕はバールの列車に乗ったことがないので…」
「今度里帰りしたら乗ろうよ!路面列車で街巡り楽しいよ!」
「はい。楽しみにしておきます。
 痴漢OKということは公然わいせつなえっちは平気でいらっしゃる?」
「ラミレスならヤってる状態で街の中歩いてくれるんじゃないか?」
「ヤりそうで怖いんだけど!いや、そこまではちょっと妄想したことないし!妄想が楽しいのは自分の人生が破壊されないからだよ?」
「それはそうだな…」
「ラミレスお爺様は、人生破壊して回ってるので無敵の人すぎますね」
「更生させたい…薬抜きをしたい…あの薬はだめだよ、本当…」

 頭を抱えるマーク。
 薬を抜いたら真っ当な人間にならず廃人になるだろうなとインサニアは思うが何もいうまい、と静観である。

「カーセックスもアリなんだなぁ。私は嫌だが」
「インサニアって場所の好みあるでしょ?公衆トイレでえっちとかぜったい嫌でしょ?」
「衛生面で嫌すぎる」
「マーク先生は好きそうですよね」
「妄想の中ではそうだね。実際はどうかなぁ、インサニアのおちんちんが爆発しそうなときの応急処置で駆け込むぐらいじゃない?」
「爆発してたまるか。そんなことは起きない」
「だよねー」

 うんうん頷くマーク。

「人目が無ければ青姦とかいけると思うよ。インサニアが嫌がるだけで。…いや待って。別に俺はそういうのでしか満たされないとかじゃないからね?念のためにいうけどね?妄想の中の話だよ?」
「ええ、ええ、存じ上げています。そうですねぇ、じゃあ”お父様”を基準に…」

 バイスはそう呟いて過去の記憶を振り返ったらしい。
 目から光が消えて最初に出会った頃のような死んだ目になっていく。

「バイスくんダメ!自己犠牲はだめ!いいから!俺はそっちにいかないからさ!俺は俺の性癖の道を歩むからね!」
「そ、そう…そうですか、そうですよね。」

 マークに抱きしめられるバイスの瞳に光が戻ってくる。

「俺は正しい性癖の道を歩むから」
「はい…」
「性癖は性癖だと思うが?」
「他人を巻き込まない自己完結型の性癖ってことだよ!」
「ほんとか?私を巻き込むんじゃないのか?」
「それは…まぁ、そうかも」

 えへ、と笑うマーク。

「公然わいせつじゃないことで巻き込めよ…」
「ちょっと自信ない…」
「おいっ!!!」