治療を受けて回復したラミレスは自分が知っていること全てを洗いざらい吐いた。
別に邪教団に協力していたわけでもなし、邪教団と関係のない別件での犯罪行為に対して色々軽くしてやるぞと言われたので喋ったまでだ。
「フレッド=クラレンス博士はどこにいるの?」
「それはしらない。どこかで野垂れ死んでるかもしれないシ、変なものつくってるかもシレないワ」
「そっかー。星座機の設計元がクラレンス博士だとは思わなかったよ」
「あくまで元ね、元。生体コアとか悪趣味なもの入れたのは邪教団幹部のコーゼルよ。
魔術の関係はわからないワね、グスタフは魔術好きだけど魔法陣に詳しいわけでもない。
ワタシの知らない人ガ関わってルんデショ」
「ふむふむー」
艦長は腕を組んで何やら考え込む素振りを見せる。
ラミレスは椅子にガッチリと拘束されているので早く解放されたいな、と思っていた。
「魔法陣のことだが、一つ聞いていいか?」
ずっと大人しくしていたカルロが声をかけてくる。
「ゲートオブカロンの魔法陣は覚えているか?資料でみたことあるんだが、あれもクラレンス博士が設計していただろう」
「……あぁ、あったわネそういうの」
「教団の魔法陣と似てるんだが」
「あ、待ってね画像見せてあげるね、これこれ」
艦長は端末を操作してラミレスに見せる。
「ゲートオブカロンの魔法陣と同じだ…」
「んー、じゃあ邪教団がこの星にいないかもしれないんだね」
「そうネ…他所の惑星からここへピンポイントに、やれるワね…」
ラミレスは顔を顰める。
自分たちがグスタフにどこへ連れられたのか、記憶がはっきりしない。
魔法陣で転移した可能性もある。
「クラレンス博士ってどこにいるのかな?教団に誘拐されてないかな?
それか仲間になってたり?それらは杞憂でたまたまこうなったという場合だったらいいんだけどね?」
「ワカラないケど、あそこにはいないはずダワ。あいつはワタシを殺さないもの。傷つけもしない。生体コアになんかシないワ」
「なるほどね?謎だらけだ〜」
お手上げの艦長。
そこでふと外の騒がしさに気づく。
誰かが何やら揉めているようなそんな会話。
「なにかな?」
艦長が振り返るのと同時にドアが開いてインサニアが飛び込んできた。
手に刀を持って。
艦長は咄嗟に足を突き出しインサニアの足を引っ掻ける。つんのめったインサニアはバランスを取るために意識を足元に向ける、その瞬間、カルロが伸ばした手はしっかりとインサニアの刀を奪っていた。
転ぶのを回避しながらインサニアは獲物を無くそうともラミレスに飛び掛かっていた。
勢いのノった右ストレート。椅子ごとラミレスは吹っ飛んでしまう。
インサニアは興奮した様子でラミレスの襟首を掴み上げる。
「認知しろォ!!!!」
「はぁぁぁぁぁ?」
「認知…!?インサニア先生、その人のお子さんを生んだの?」
「艦長それ無茶があるなぁ」
「ダメだってインサニア!尋問終わってからって言ったじゃん!」
マークも入ってきてインサニアを引きはがす。
「尋問はある程度終わったから別にいいよ」
寛容な艦長はマークに頷く。
「インサニアも落ち着けって、まずは話し合おうな」
カルロはラミレスを起こし、艦長は席を立ってインサニアに譲る。
「えーっと、インサニアの代わりに説明するね」
マークが間に入りタブレットをラミレスの前に置く。
「これDNA鑑定結果です。インサニアとラミレスさんは親子です。インサニアは認知を望んでいます。
拒否の場合はちんちん切り落としたいんだって」
「……」
カルロと艦長はカルロの手元にある刀を見る。これで切り落とそうとしたのか…と。
「母さんが去勢しろといった」
「……あ!あの女か!」
黙り込んでいたラミレスはやっと思い出したらしい、インサニアの母の顔を。
「あの女ァ!ワタシの腕へし折った癖になんてことを!」
「妥当だろうが。まず去勢するかしないかだ」
「インサニア、認知をするかしないかだよ」
ラミレスは人生最大の窮地に陥っていた。
◇◇◇◇
「インサニアってお父さんのこと恨んでたよね?」
「クッソ大嫌いだし死ねばいいと思っているが?」
マークに答えるインサニア。
「ええ…じゃあなんであんな大暴れを…」
「仕方ないだろ、母さんが父親を見つけたら認知させて愛せっていうんだ。
認知しなかったら去勢させて母さんの前に連れて来いって言ってた」
「………それでインサニアはいいの?」
「いいのといわれても、何が?なんも良くないが」
「うん、その、お母さんの言う通りでいいのかなぁって。インサニアはどうしたかった?」
「どうでもいい、殺したかった」
「ああ…」
マークは何とか納得しようと思った。
ご健在のインサニアの母がそんなことを言ったのは、インサニアが犯罪者にならないように言い聞かせたのかもしれない。
「母さんに酷いことをした男は死ねばいいんだ、なのに母さんはそんなことを言うし…はぁ」
深いため息を吐く。
ラミレスは現在拘留中である。ハンスたちを含めてどう扱うか上が検討しているだろう。
普通の親子関係には、なれないだろうということはお人よし気味のマークでも感じた。
「無理しないでねインサニア…」
マークはぎゅっとインサニアの手を握る。
「……」
グイっとインサニアに手を引かれて、キスをされる。
身を引こうとするがそのままマークはデスクの上へ押し倒される。
「んぅっ!う、や、ここ、だめっ…!」
「取り込み中ってことにすればいいだろ。この時間に来やしない」
「それは、そう、か、も…あっ…あ、ぁぁ…!」
ナニを扱かれながらインサニアの指で解され始める。
ゴム手袋越しに扱かれるのが癖になってしまっていて、これだけでもうマークは腰が抜けてしまう。
「はっ、あっ…ぁっ…んぅ」
インサニアの首に腕を回して腰を浮かしながらインサニアにキスを強請り、求めに応えてもらう。
「あ、あっぁぁぁ…」
熱が迸りインサニアの手と自分の脚を汚す。
「久しぶりだから早いな」
「だってぇ…抜いてる暇、なかったしぃ…」
デスクに手をつきながら腰を突き出すマーク。
「最悪な日々だった、もう出撃したくない」
「んぅ!」
一気に深く挿入されてマークの身体が前へ崩れる。
それを気にせずインサニアは腰を打ち付け始めた。
「はげ、し…!ゆっく、り…」
「うるさい」
インサニアはふらつくマークの脚を持ち上げ深い部分を攻め続ける。焦らすように浅い部分を責めたりはしない。
オナホ代わりのような扱いでもマークはしっかりと感じていて、何も考えられないぐらいに何度も達してしまう。
突き上げられるたびに漏らす声はもう理性の欠片もない。
インサニアの息遣いが変わる。
「いっ…!」
終わりたくない、マークはどこかでそう思いながらインサニアの両手を掴み、彼のナニを締め上げて熱を受け止める。
「マーク、離れろ」
「まだぁ…」
「……」
インサニアはマークの腰を抱き上げて繋がったまま椅子に座る。
「好きなだけ動け」
「う、ん…!」
マークは片手でデスクの端を掴み、もう片方でインサニアに自分のナニを握らせながら腰を上下に動かし始める。
脚に力が入っていないので激しさはないがマークなりに必死に動いている。
「い、んさにあ、好きっ…いっぱい、きもち、よく…なりたい、」
「そんなに我慢させてたか?」
「ん、だって…いんさにあ、死ぬかと…」
「あぁ…」
ラミレスとの戦闘のことかもしれない。
憎しみで我を忘れて突っ込んでいってしまった。
目覚めたラミレスがそこから無抵抗を貫いていなければインサニアが死んでいただろう。
そのマークの心労がコレに現れてしまったのかもしれない。
「セックスで満たされるんだからお手軽な男だよな」
「い、言わないでよぉ…!」
自覚しているのか、マークは少し泣きながら叫んだ。
◇◇◇◇
「ナっっっンで!ワタシがレグルスにのらねぇーーーとイケねぇんだよ!!!!」
格納庫でラミレスが叫ぶ。
目の前にはパッションオブレグルスがあった。
「ワタシの趣味じゃねぇんだよこの特機!こっちがいい!この細身のやつ!」
真っ白い機体を指さす。インサニアの機体だ。
「黒く塗って」
「大人しく獅子に乗ってろ」
インサニアがラミレスに言う。
「誰がこのように美しく白に塗ったと思ってるんだ?私だぞ、医者の私だぞ」
「自分で塗れって投げられただけだけどね…」
「人手不足すぎん?この部隊」
周りがヤイヤイ茶化す。
インサニアの機体は銀河連邦軍標準機体、一般兵が乗るやつである。
…が、武装は一般的ではなかった。紅色のブレードはオリハルコンの加工をしてある特殊ブレード。
魔術因子を断ち切る性質があるからこそレグルスの炎を打ち消し魔術加工を施されていた装甲を紙のように切り落としたのだ。
このオリハルコンブレードはインサニア家から送られてきたものだ、実家パワーである。私物である。
電磁ブレードではないので普通の装甲を断ち切る威力はないが、役に立った。
「ラミレスさん、ライオンに変形できるし人型で炎の剣を振るえるんですよ、カッコイイじゃないですか!
スーパーロボットですよ!」
厄介オタクのマークが参戦してきた。
「獣になるのが嫌だしごついのも嫌」
「そこがいいんですって!」
「アンタが乗れば?」
「いいんですか!?」
「やめろやめろ、父さんに関わるな心が穢れる」
マークを引っ張って距離を取らせるインサニア。
「でもインサニア、スーパーロボットには乗ろうよ」
「嫌だが?」
「おい赤毛」
ラミレスはにんまり微笑む。
「シャドーと二人乗りでスーパーロボット、どう?」
「わぁ!」
「やめろやめろ!不毛な話をするな!乗らんからな!マークもしっかりしろ、あいつは甘い言葉で人を騙すんだ
犯罪歴がそう物語っている」
「…ソウ言われると、まぁソウなんダけど…」
なんとも言えない表情になるラミレス。
こう、直球で物を言ってくる人間が周りにいなかったので。
直球でキチっぷりを振りまいてくるやつらしかいなかったので。
「あ!ラミレスさんとインサニア二人で仲良く乗れば?」
「「地獄みたいな提案をするな」」
息が合う親子。
「いいと思ったのに…」
「そもそも複座式じゃないな、できるんだろうがやらないでほしい」
「なに楽しそうにしてんの?」
ハンスがやってくる。彼も拘留解除となった。ルカも。ルカはイマイチ信用されていないのだが、ハンスを放置するよりハンスの傍にいてもらって介護しててもらったほうが…ということになった。甘い部隊である。
「ハンスさんもキュバンスにルカさんと乗るんですよね、合体ロボ!」
「おお、俺の愛機が行方不明だからしゃーなし。繋ぎ。いらなくなったらやるよ」
「私物のようにロボをやり取りするんじゃない。軍のものだろ」
正論のインサニア。
「あ、シャドー。リチャードおじさんはボコボコにした?」
「1発しか殴れてないが、母との約束があるから」
「なんだよそんなん。ボコボコにすりゃいいじゃん」
「母の約束は絶対だ。死ねと言われれば死ぬぐらいに絶対だ、愛しているからな
私だけを愛してほしいぐらいだ、なんでこいつも愛さねば…」
インサニアはラミレスを睨む。
「愛ってなによ?別に家族ごっこしたくないしほっといてよ」
「私を認知したのだからあとは母に言われた通りにするだけだ、文句をいうな」
「今更父親になんてなれるわけないでしょ?」
「別にお前が何を言おうが無駄だ、私は母さんの言うことを聞くからな」
言い合いながらインサニアはラミレスの襟首を掴んで引っ張り引き寄せた頬にキスをする。
「???????」
「????????」
「?????????」
一同ぽかんとなる。
「なにしたのインサニア?」
「愛情のキス、母さんがしてくれるやつ。たぶん母さんの言う愛せっていう指示は母の通りにしろという―――」
「ンッッ」
マークは胸を抑え湧き上がる色々な感情を抑える。
「歪んでルなぁこいツ」
ラミレスも絶妙に反応に困る顔をしている。
ハンスは母親からネグレクトされていた口なので『謎の母行動』に宇宙猫顔状態である。
「ラミレスさんがちゃんと父親をしてくれなかったからインサニアが歪んだんです!」
「人のせいにしないデヨ!」
「…?」
インサニアは不思議そうに周りを見ていた。
不思議ちゃんは自身であることに気づいていない。
そんな格納庫の騒ぎを艦長はモニターで眺めていた。
「…もしかしてインサニア先生って…天然…?」
「今頃お気づきになられましたか…自己中すぎて隠れてるけど天然です…」
遠い目をしていうカルロ。
そう、カルロは幼馴染。
色々振り回されてきたのだろう苦労が偲ばれる…艦長はこれからもカルロを盾にしようと心に決めたのであった。