大統領執務室の隣にある仮眠室は仮眠用ベッドの他に休息できるよう一通り揃えている。
一人用ではないサイズのソファに座っているニコラは酒を飲みながらニュース番組を眺め、空いている片手でクラウディオの背をぽんぽん叩いている。
クラウディオはニコラに寄りかかる様に抱き着いて酔った顔で目は虚ろだ。
一生懸命手足として働いてくれているのでたまにこうやって労ってやっているのだ。
酒を飲ますとストレスが爆発するせいかだいたい暴れるが落ち着いたらこうである。
ニコラは初代ストゥルニ家を思い返す。
もともと上級拷問官の家系で、マティアであったときに新参貴族としてとある貴族に引っ張り上げられたのだ。
そこから貴族としてのストゥルニ家となる。
ハチャメチャであった。酔ったクラウディオと勢いが同じだ。
問題なのが初代当主のそのハチャメチャさ、シラフなのである。
引っ張ってきた貴族は早々に家が潰されていたので制御できないんだったら引き上げてくるなと思ったものだ。
十貴族もハチャメチャなので十貴族にボコボコにシメ上げられて落ち着いたが。
毒を持って毒を制するとはこういうことなのだなぁ、と思った。
上級拷問官に貴族の権力を持たせたらダメだな、という暗黙の了解もできた。
クラウディオの父であるクライヴもやべぇ方のストゥルニであったが、出る杭は打たれる。
あいつらに比べればクラウディオの大人しいこと。
可愛いのでもっと背中をぽんぽんしてやる。
しっかりと働いて言うことを聞いてくれる部下って素敵なのだ。
クラウディオは忖度で殺しに行ったりしないし。彼の嫁であるサンドラがそういうタイプなので気をつけたい。
今のところ嫁の介入を受けていないので、おそらく大丈夫だろう。
言うことを何でも聞くのでしょうもないことまで命じてしまうが、まぁ…つい、である。
当初は大統領とはいえ軍部所属の平民にこき使われてどこまでいけるのかな、というボーダーラインを計っていただけなのだが。
こういう使いやすさが初代のころからあったのかもしれない。
「クラウディオ」
「はい…」
「そろそろベッドで寝ろ」
「嫌ですぅ…エンリコと寝る」
「うるさい酔っ払い」
クラウディオをベッドに投げ込み、ニコラはソファに横になる。
朝を迎えれば先にクラウディオが起きていて足を引きずりながら朝食の用意をしてくれてるんだろうなぁ、といつものことを思いながら目を閉じた。
クラウディオは父のやらかしに連座して片足の腱を切られる罰を受けてから杖ついて歩く男になってます。