正史A

マーク先生の部屋

「俺の部屋ってそんなに汚くないと思うんだよ」

 マークは深刻そうな顔でどうでもいいようなことを呟く。
 もちろんインサニアとカルロに聞かせている。

「そんな汚ねぇの?」
「片付けられない部屋」

 カルロの質問に簡潔に答えるインサニア。
 カルロはマークの部屋を見たことない。お呼ばれされたことがないからだ。
 かわいそ。

「片付けてるよ!たまにだけども!ゴミとかないから汚くないんだよ俺の部屋は!

 インサニアの実家の部屋もヤバいと思うから俺セーフだと気づいたんだよね」

「私の部屋を勝手に持ち出すんじゃない。普通に何もないだろあの部屋」
「ベッドに手錠とアダルトグッズがあるのは何もない部屋って言わないんだよ」
「よう寝られてるなそんな部屋で」
「私が拘束されるわけではないからな。さすがにそういうのは家だけだぞ。

 マークは艦内の部屋も溢れてるだろ…」

「……」

 マークはスイっと視線をそらす。
 そらしても話題を変えてくれるはずもないのに。

「あー、わかった。艦長に怒られたんだろ?」
「ひどくない?私物多すぎるってひどくない????」
「ひどくない」
「お前さぁ、ここ戦闘にもなる場所なんだよ?モノに埋もれて怪我するなよってことだろ?」
「うーーー!!!!!正論が俺の癒しを迫害する!!!」

 いつもインサニアが地団太を踏むのに今日はマークである。
 正論と解っているので余計にタチが悪い。
 マークも頭では理解している。
 しているのだが、気づくとグッズが増えているのだ。
 もうこれは仕方がないものなのだ。
 艦長にもその辺は解ってもらいたい。
 気づいたら、勝手に、増えているのだ。不可抗力。
 そういったことをもちろん艦長に伝えたが「ダメだよ」と言われた。

「というか…」

 インサニアは腕を組んで天井を見上げる。

「なんで戦艦に通販が届くんだ?警備ザルすぎんか?」
「…届いちゃうような変なコネもってる人が数人いる」
「あぁ…マークはその恩恵を受けているのか」
「誰だろ?ザン大尉とか?お礼言わなくちゃいけない?」
「言わんでいいンなもん。通販を控えろよ」
「ううー!!!」

 嫌で唸るマーク。

「インサニアだってアダルトグッズ買ってるくせに!

 カルロだって…あれ?カルロ、ご趣味は?」

「幼女鑑賞」
「目を潰した方がいいのかも…」
「冗談よせよ。俺は別に趣味らしいもんなかったわ」
「読書だろ。趣味は。…読むだけならかさ張らないな」
「だよな」
「物欲出していこう!俺と一緒に艦長に怒られよう!」
「こいつ通販やめないつもりだな」
「病気じゃん」