2011年頃に書きかけでおわってたものを元にリメイク。
登場人物紹介
カルペ:アドヴォガート外部制御装置。
ガルバ:死んだ魚の目をしているアンドロイド。
紅葉:アマツ出身の良い子(成人済み)。
フリッツ:へんなおじさん1
ラミレス:へんなおじさん2
クラレンス博士が設計した宇宙公害洗浄用生体ナノマシン・アドヴォガート。
それは変異し金属なら何でも食べてしまう巨大な塊と化していた。
それを悪用しようとする者がいて、そしてそれを止めようとする者がいる。
外部制御装置としてクラレンスに造られたカルペ=ディエムは後者の止める者である。
「ガルバ=ツァーリ、困ります。貴方は私が必要だとは思えません」
「カルペ=ディエム、俺のことはガルバでいいよ」
困惑している銀色の女性と死んだ魚の目のような目つきのまま笑っている漆黒の男―――カルペにガルバは微笑みながら彼女の手を握る。
「ですから…私は感情というものを持ち合わせていないのです。マスターはそういった情報は設定されませんでした」
「感情なんかすぐ生まれてくるよ。記憶を失っていたころを思い出せばいい、君は実に可憐だった」
「私には擬似的な感情は登録されていますので。ですが貴方にお答えできる感情は持っていないのです」
「お互い知り合っていけばいいだけさ、今すぐ愛を育むだなんて人間でもできないんだから」
「……」
ガルバはカルペのナノマシンに身体を治してもらって以来、どうもカルペにお熱になってしまったようである。
自分の体がカルペを参考にして作られた姉弟みたいなものだという感覚もあったのだが、それが発展してしまったのだろう。
カルペはそう考えている。
「私たちはアンドロイドです、恋愛というのは子孫を繁栄させるものではないでしょうか。
私たちが人間の真似をするのは酷く滑稽です」
「機械同士で愛し合ってもいいと思うんだけどなぁ」
「無意味です」
「無意味なことをしたがるのが人間なんだよ」
「私たちは純粋な機械です」
「つれないなぁ…」
呟きながらガルバはカルペにキスをする。
「ドキドキする?」
「いえ、特には」
アドヴォガートの中をカルペとガルバの機体は進んでいた。
ガルバは過去のカルペとのやり取りを思い出して薄く笑う。あのあと続けられていればよかったが、出撃となってしまったのだ。
そのあと機会もなくなって―――
「ガルバ=ツァーリ…貴方のマスターを殺してしまいました」
カルペの声。
「マスター?ああ、ラミレス?」
ガルバはフフっと笑う。
ラミレスと出会ったのはフリッツが引き摺ってきたのだ。
ベッドの上で血を吐き苦しむ自分は望んだ、生き続けることができないのならあとをアンドロイドに任せたいと。
生きる意味を知りたいと。
それを聞いていたフリッツ=キュルテンは律義に願いを叶いに来たのだ。
フリッツは気が狂っているが、彼は彼なりに苦しみながら生きている。
同じく苦しんでいるガルバ=ツァーリを気にかけてくれたのだろう。
そして知り合ったラミレスは精巧なアンドロイドを作ってくれた。きっちりと、精巧な。
―――死ぬ瞬間のデータまですべてをアンドロイドに移した。
「良い仕事をしてくれた人ってだけで、別にご主人様じゃないよ」
「そうなのですか?悲しまれるのかと思いました」
「男の死に涙しないんだよね、俺」
「そうですか」
カルペの機体が止まる。
「制御できない、干渉されています。」
周りの壁が、床が、天井が、蠢き始める。
アドヴォガートを教国にぶつけようとしているやつらがカルペから制御を奪い返したのだろう。
「逃げるかい?」
「いえ、強行突破しコアに接触できれば私が全てを掌握できます」
コアが存在する方向へ大剣を構え、ありったけのフォースによるビームを放つ。
1本道ができたのでブースターを吹かす。
ガルバも続いて4本腕の機体で剣を構えながら追いかけた。
押しつぶそうとしてくる壁と化しているナノマシンたちは機体を取り込む前に武装から発するエネルギーにより散らされているがそのうち完全に取り込まれてしまうだろう。
その前にコアに辿り着けばいい。
邪魔をしてくるナノマシンの塊を斬り払いながら進んでいると急に現れた巨大な『手』に2機は掴まれる。
「飛び出せ!」
ガルバの声に素直に反応してカルペはコクピットから出る。
羽を生やしたガルバがカルペを抱きしめてそのまま突き進み始める。
ラミレスは精密にオリジナル通りにアンドロイドを作っていた。
鳥神族のガルバの変形をアンドロイドにも適用していた。クラレンスだったらそこからもっと余計なものをつけているところである。
製作者が仕事は真面目なラミレスで良かった。生前と同じ感覚で飛べるのはありがたい。
的が小さくなったせいかナノマシンの動きが鈍る。
ガルバの飛行能力はカルペが人間ではないことも相まってかなりの速度だ。
「あれだな」
コア装置が見えてくる。
小さい。それもそうだ、もともとこんな巨大な怪獣もどきではなかったのだから。
「カルペ=ディエム、俺がここまで生きた理由はきっと君に出会うためだった。」
「ガルバ=ツァーリ?」
ガルバに抱き込まれてカルペは困惑し、そして強く何かにぶつかる衝撃とともに床に投げ出された。
低重力が働いている、コアにたどり着いたのだ。
カルペは身を起こしコアに向かって跳んで手を触れた。
「―――停止!」
アドヴォガートの駆動音が無くなる。
「止まりました、ガルバ=ツァーリ」
振り返ってガルバを見るカルペ。
ガルバは動かなくなっていた。羽の半分と頭を失っていた。
ナノマシンに喰われたのだ。
「……ガルバ?」
ガルバの肩を揺する。動きはない、駆動音もしない。
「…」
カルペはやるべきことをまずやらねばとコアの元へ戻る。
「『散れ』」
一言命じるだけでナノマシンはその機能を停止させて分解していく。
異常を起こして寄り集まって塊と化し、手あたり次第に金属を捕食しはじめて、すべてを機械化していた教国の惑星を吞み込もうとしていた怪物はもう存在しない。
カルペは救援が来るまでガルバをずっと抱きしめていた。
◇◇◇◇
「カルペちゃん、辛いね」
紅葉はカルペの背を撫でる。
ガルバは直せなかった、頭部に重要なものを積めていたから外側を直せても元のガルバには戻せないのだ。
「私は、悲しいのだと思います」
「そうだね。二人は仲良かったもん」
「そう見えてましたか?」
「うん」
「それなら…良かったのだと思います」
「おい、人形」
ぬっと現れる大男を見上げるカルペ。
大男はフリッツであった。
「ななな!?なに!?」
カルペの前に出て紅葉が問う。
「ガルバ死んだんだろ?リッキーと一緒に埋めてやってくれ」
刃の部分が砕けて無くなっている2本の剣を紅葉に押し付けてくる。
柄の部分にフォースコアが埋め込まれているので形見代わりにはなるだろう。
「リッキーの墓を作ってやろうと思ったらそれしか残ってなくてな。面倒くさくなった」
「でもガルバさんは男とお揃で埋葬されるの嫌がりそうだよ?」
「ハハハハハハッ!ちげぇねぇなぁ!」
そういって去って行ってしまうので返しそびれた紅葉は困り顔でカルペを見る。
「どうする?」
「お墓というものは必要ですか?」
「どうだろ?生きていましたっていう形に残せるね」
「…では、お墓を作ります。ラミレスも一緒に」
「うちの知り合いの神社で埋葬してあげよっか。ややっこしいの専門にしてるとこだからこういうのもいいと思うの」
「はい、お任せします」
カルペはそれまで、ということで紅葉からラミレスのフォースコアを受け取り自室に戻る。
ベッドにガルバを寝かせてある。自分に睡眠は必要ないので使ったことのないベッドだが、不要だといって取っ払わなくて良かったと思う。
そのガルバの横に剣を置いた。
男と並べるなと怒りそうである、どっちも。
どっちも女の子が大好きというところが、親子のように思えて微笑ましい。
ラミレスがカルペに執着していた理由は解らない。ただ怒りをぶつけてきていたので怒られているというのはわかった。
自分が原因ではない怒りをぶつけられても困るものだ。
逆にガルバの執着は裏表のない純粋な愛だったのだろう。
カルペは愛だと理解はできるが、その感情の発露まで至っていない。
「あぁ、キスはもう出来ないのですね」
気づいて目を閉じる。
過去の記憶を再生させ、ガルバの問いかけに今の自分の気持ちを当てる。
「―――やっぱりまだドキドキしません」
いつか変わる日が来るだろうか。
今は側にいるがアマツに埋葬すれば距離が出来る。
いい思い出として残っていくだろうか。それとも忘れていくのだろうか。
覚えていてあげたいな、とカルペは思った。
リメイク元の話は「ガルバとクラレンスの対話」「カルペとガルバの対話」「ドクターコーゼルとガルバの対話」の別時間軸が3つも並んでいて何も考えずに書き出していることがわかりましたね…(ガルバの話がしたかったんだと思われる)。
読みづらいし3つが纏まっている意味もなかったのでカルペとガルバの対話だけ残してあとはバッサリとカットしました。
そしてカルペのガルバへの感情って家族愛なんだよね、姉弟機だから。
ガルバは家族愛を知らないんだよね、両親失って一族恨んで殺してるから。
そしてTwitterで禍津神社で葬られたらのらくがき↓
カモノさん(禍津神社神主)「禍々しいんだよなー、流しても絶対戻ってくるって」
紅葉「そのへんは(戻ってきたら)お兄ちゃんに任せてもろて」

カモノさん「戻ってきたなー」
紅葉のお兄ちゃん(八幡宮神社神主)「知らんって!!もみじ!!!!(怒)」