正史A

バイスくんの部屋

「僕のお部屋ですか?」

 バイスはきょとんとした顔でマークを見やる。

「どうして僕のお部屋が気になるのですか?何もありませんが…」
「マークの趣味を理解しているお前の部屋もモノが溢れているだろうという浅ましい願望の現れだ」
「なるほど?」
「インサニアの言い方問題あるよ!別にバイスくんも汚部屋仲間になってほしいとかそういうのじゃないから!」
「なるほど」

 バイスは何度か頷いて眉を顰めて困った表情になる。

「そういうことなら用意しておくべきでしたね…何も置いてないです」
「な、なんだって…!」
「いやぁ、艦内の部屋ですし居候の身ですしね…」
「まともな感性…」

 小さく呟くインサニア。
 バイスはマーク達を部屋に招き入れる。

「マーク先生のご趣味は理解しています。それに合わせることも可能です」
「すごい…バイスくんって尽くすタイプ?摂取されちゃわない?悪い人に捕まっちゃだめだよ?
 でもなんにもないねぇ。俺のダブってるのあげようか?」
「お気持ちだけでも大丈夫ですよ」
(マークの趣味に合わせてるだけでこいつの趣味じゃないだろ…)

 インサニアだけ真実に気づいているがマークはその辺が盆暗であった。
 インサニアはベッドに歩み寄ってベッド下の隙間を確認する。

「何も置いてないな」
「そこに何かしまい込むのインサニアだけだよ」
「マークもエロ本隠してるだろ」
「隠してないよ!」
「バイスにも1冊やろうか?」
「お気遣いなく。それマーク先生にもあげたってことですか?」
「うっ…」

 受け取ったらしい。マークは顔を赤くして呻いている。

「健全でよろしいかと。」
「バイスくん何か足りない物とかはない?キュルテンさん並になにも無いから心配」
「大丈夫ですよ。ふふ、マーク先生、何もないということは居場所に愛着がないということです」
「ええ?住み心地は良くした方がいいと思うんだけどなぁ…」

 しゅんとするマーク。
 バイスはへらっと笑ってマークの手を取って撫でる。

「寂しくなったらマーク先生のお部屋へ行かせていただきます」
「…」

 バイスの手をぺちっと叩き離すインサニア。

「マークは私のものだ」
「インサニアのものではないね」
「私の!」
「はいはい。バイスくんもインサニアも俺の部屋に来るといいよ」
「はい」
「いや、私は嫌だ…」
「なんでだよ!?来るとき片付けるよ!!!」