INFERNO

クッキー

 インサニアは解剖学をメインとした科に所属し、マークは薬学をメインとした科に所属しているので本来ならば多少講義が一緒になる程度で対した接点はない。
 しかしマークがちょっとしたきっかけで声をかけたせいで妙な関係になってしまった。
 インサニアは他人に異常なほど拒絶反応を示すのだがマークには何故か嫌悪感が抱かないせいもあるかもしれない。
 二人は親友になったのだ。

「昼飯食べないと腹へって倒れない?」

 マークはサンドイッチを食べながら横に座るインサニアに問う。

「昼飯代が浮くから別に」
「……食えよ」
「他人が作ったメシなど食えない」

 きっぱり断られ、マークは肩を落としながらサンドイッチを食べる。

(なんでこっちがヘコまにゃアカンのだ…自作だからか…?なんかこの考え方フラれた女っぽい…女々しいな俺)

 自作のサンドイッチを食べながら思うマーク。

「なぁマーク」
「なんだ?」
「男にも慣れなくちゃいけないよな…将来医者になったとして、女の患者ばっかりじゃないしな…」
「あぁ…女ばっかり相手してたらそれこそ変態医者って呼ばれちまうぞ?」
「マークの身体で慣れたいんだ」

 真面目な顔して言うインサニア。

「イヤな告白だな、それ…」
「?」
「でも無理したらまたゲロ吐いちゃうぞ?」
「そうだな…」
「無理に慣れようとしないで、神経質なところを意識して矯正していけばいいんじゃないかと思うんだけど…」
「神経質な所…」
「このサンドイッチを食べる、とかさ。俺が食べれてるのにお前が食べれないっつーのも変だろ?」
「うぅ…」

 サンドイッチを差し出されて身を引くインサニア。

「ばい菌とかいっぱいついてる…」
「そこを直せって!神経質なのそこが!!!」
「……」

 涙ぐみながら、震える手でサンドイッチを掴み上げる。

「食うの…?これ…?」
「俺の作ったサンドイッチが食えないのか!?俺の尻と股間は触るくせに!」
「ううっ……」

 もぐもぐと食べ始めるインサニア。

「いや…泣きながら食われると凄い罪悪感が………」
「美味しいよ…美味しい…」

 ぐしぐしとハンカチで涙を拭いながら感想を言う。

「お前が言うと嫌味にしか聞こえないなホント」

 ため息を吐きながら、マークはコーヒーを飲む。
 インサニアも悪気はないのだろうが、やっぱり直していかないといろいろ大変な気がする。

「インサニアさん、ここにいたんですね」

 女の子が駆けてくる。
 黒髪の線の細い娘で、どことなく地味な印象を受ける。

「何のようだ」
「あの、これ…」

 小さな箱を差し出す。

「?」

 首を傾げながら受け取るインサニア。

「そ、それじゃあ!!!」

 逃げるように去っていく。

「なんだあの子」
「相変わらず挙動不審だな」

 箱を開けながら呟くインサニア。

「知ってるのか?」
「この前別れた女だ」
「あ、そう…。あれ?クッキー?」

 箱の中身を見て呟くマーク。
 小さな箱にクッキーが不自然なほどみっちりと収められていた。
 手作り…といった感じはしない。薄いクッキー状のモノだった。

「クッキーだよな?貰ってもいい?」
「どうぞ」

 手紙を読みながらそっけなく返事を返すインサニア。

「ぬっ!?」

 変な声を上げるインサニアにビクっとするマーク。

「マーク、今の食ったか?」
「え?…一歩遅くお前の声にビックリして飲み込んでしまいましたが。…賞味期限切れとか?味が無かったんだけど」
「そ、そうか…」

 手紙を丁寧に折りたたみながら、

「今日は帰った方がいい。帰るんだマーク」
「な、なんで!?」
「……別に、ただ俺はお前の痴態を見れないのが残念だ」
「なんだよ痴態って!!!?今のクッキーなんかヤバいもんでも入ってたのか!?」

 マークはインサニアのタイを引っつかんでぶんぶん揺する。

「落ち着け…死にはしない。ただ帰った方がお前のためだと思う。じゃあ私は講義を受けに行く」
「俺も行かないといけないんだけど…」
「…無理強いはしないが、私の責任じゃないからな」
「怖いこというなよ!一体何なんだよー!!!!」



    ◆◆◆◆



(毒か?毒でも入ってたのか…?別れた子からの差し出しだもんな、何か変なものが……なんか暑い)

 ネクタイを緩め、マークは風の通る窓際に座った。
 インサニアの言うとおり帰った方がよかったのだろうか。
 しかし講義は受けたい。授業をサボると罪悪感に襲われるのだ。
 田舎で農作業をするよりも医者になって都会に住みたい、それがマークの目的である。

「レーニさん…でしたっけ?」
「え?」

 隣の席にさっきの女の子が座る。

「は、はじめましてっ…あ、でも実は講義はずっと一緒だったんですけど気づいてませんでしたよね」
「え、あ…一緒だったんだ」
「はい…わたしって地味だから人に気づいてもらえることってあんまりないんですけれど」

 そういって微笑む。

「確かインサニアの恋人…だったんだっけ?」
「はい、その…フっちゃいましたけど……」

 顔を紅くしながら呟く彼女。

「どうして?」

 と呟いて、マークは顔を紅くする。
 そんなことを聞いてどうするのだろう、むしろ彼女に失礼なのではないか、と。

「え?えぇ……」

 彼女は一瞬うろたえるが、さしてイヤな顔をせずに手を動かしながら語り始める。

「なんていうんでしょう、とても魅力的な箱があるとします」
「うん」
「それを開けちゃダメだったんです、触れるだけにすればよかったんです。
 箱に魅力があって中身は魅力がないんですもの」

 不思議な例え話をする彼女のどこかしらに、インサニアと同じ気配を感じる。

「中身は何があったの?」
「何も無かったんです」

 そっけなく答える彼女。

「インサニアの中身は空っぽだってこと?」
「…彼もいろいろ悩んでいるんだと思う。けれど心は穴だらけで私には手に負えませんでした。
 そこに残ったものはただの暴力だけですから、私は耐えれず彼から逃げたんです。
 恨みはしませんよ、彼も私も分かりきっているので」

 マークには理解できないシュールな世界が二人の間で展開していたのであろう。

「あの…インサニアのこと、好きだったの?」
「はい、好きです。」

 そういって恥ずかしそうに俯く。

「あ、ごめん…変なことばっかり聞いちゃって」
「いいんですよ、レーニさんってインサニアさんの恋人なんでしょ?
 気になりますよねー彼ったら手当たり次第他の子に手を出して…どうしたんですかレーニさん」

 机に突っ伏しているマークに首を傾げる。

「恋人じゃない…親友だ…」
「え!?わ、わたしてっきり!!!!ごめんなさい!!!!」
「ひどいや皆、俺のことどー思って…あ、そうだ」

 身を起こすマーク。

「さっきインサニアにクッキーみたいなのあげてたけどアレ何?
 俺食べちゃったんだけどそれからアイツなんか急に態度が怪しくなってさ…」
「えぇぇぇぇ食べちゃったんですかアレ!!!!!」



「うるさいぞそこ!…えー、授業を始める!静かにしろ!」



「あ…」

 いつの間にやら授業の時間になっていたらしい。

「…その、あれはですね」

 ひそひそと囁く彼女。

「それクッキー状のドラッグなんです、合法の。あの、ほら…気分を高める為にそういうの使うときがあって…」

 言い訳のようにおどおどしながら言う。

「なんでそんなモンを…」
「結構使ってたんで…その、インサニアさん裕福な方じゃないしお返ししなくちゃって思って…それでっ…
 でもちゃんと手紙に書いておいたんですけど…」
「あの時の呻き声はその文章を読んだときの声だったのか…」

 頭を抱えるマーク。

「今は大丈夫でもじわじわ効いてきますから、帰った方が……」
「サボるのはイヤなんだけど…」
「うぅっスミマセン…」
「いや、食っちゃった俺も悪いから謝らなくても…」



 そして授業終了時。



「……」

 机の上に突っ伏しているマーク。

「だ、大丈夫ですかマークさん……」
「な、なんとか耐え凌いだぞ…」

 小さな声で返事をする。

「全然講義内容覚えてないけどっ」
「メモっておきましたから良かったらどうぞ…」
「ごめん、ありがとう…」
「もう帰った方が…」
「うん、そうするよ…」
「大丈夫そうじゃないなマーク」

 インサニアが入ってくる。

「股間が痛いか。ズボン脱げば?」
「お前なぁ!人事だと思って…!」

 泣きそうになりながらインサニアに叫ぶ。

「…この教室は次の時間は使わなかったな」
「な、なにを…」

 インサニアはマークの横に膝をついて股間に手を伸ばす。

「お前はもう次の授業受けにいけ」
「は、はい…」

 女はコクンと頷くとパタパタと出て行く。
 教室内は彼ら以外誰もいなくなる。

「インサッ…ニアッ…やめ、それは…こんな、ところで…」

 股間を揉まれて痙攣のような震えを起こす。

「本当に敏感だな…」

 インサニアの手が素早くズボンを脱がしナニにハンカチを被せて扱き始める。
 涙をポロポロ零すマークの顔を眺めてニヤニヤするインサニア。
 涎を垂らし半開きのマークの口の中に指を突っ込む。

「んぅ…」
「舐めろ…エロく舐めろ」

 無茶苦茶な要望をするインサニアだが、マークは熱い吐息を吐きながらインサニアの指をしゃぶり始めた。
 マークの舌は柔らかく、舌も敏感なのか指でくすぐってやると身体が強張るように震え上がる。

「ふぁっ…」
「イったな…まだイキたりないか」

 様子を確認しながら呟くインサニア。

「もう…いい…もういいから…」

 泣きながら言うマークだが、その泣き顔がかえってインサニアの興奮を煽った。
 マークの両足を机の上へ上げ、机の上に転がっていたペンを拾うとマークの口に突っ込む。

「たっぷりと濡らせ」
「うっ…んぅぅ…?」

 言われるがまま、唾液で濡らす。
 そのペンを引き抜くとインサニアはマークの秘所にそれを当てた。

「やっ!?やめろォっ…!!」

 ずぶずぶと、緩んでいたそこは容易にペンを飲み込んでいく。

「あっ…あぁぁっ…」
「良さそうだな…」

 マークの表情を眺めながらペンを動かす。
 耳まで赤くしたマークは泣きじゃくりながら身悶え、そして果ててしまう。

「ひっく…ごめん…もう、いいから…うっ…」

 泣きながらインサニアに訴えるマーク。

「そうか…なら…」

 ペンを引き抜いて立ち上がるインサニアにホっとするマークだが、すぐにギョっとした。
 インサニアがズボンを下ろしナニを取り出したのだ。

「お前の顔がエロいから興奮してしまった。責任を取れ」
「なっ…」

 逃げようとするマークの腕を捕まえ床に倒す。

「一回だけでいいから」
「うぅっ……」

 目の前にあるインサニアの立派なナニを見て怯むマーク。

「どうしてもしないとダメ…?」
「お前にしてもらいたい。舐めろ」
「やったことないんだけど…」
「……」

 ニヤニヤ笑みを浮かべて見下ろしているだけのインサニア。
 もうヤレということなのだろう。
 マークは恐る恐る手を沿えて舌を伸ばしていく。

「咥えた方がいいんじゃないか?」
「んん……」

 眉を顰めながらナニを咥えるマーク。

「んっ…んふぅっ…」

 いきなりナニを靴底で踏まれて顔を上げようとするが頭を押さえ込まれて上げられず、咥えたまま声を上げる。

「歯を立てないようにな…」

 呟きながらマークのナニをリズムよく軽く踏んでいく。

(サディスト!!このサディストめー!!)

 心の中で叫びながら、マークはマークなりに懸命に奉仕を続けた。






「もー最低!!」

 マークはインサニアに叫ぶ。

「飲ませるなよ!なんだよお前ヘンタイ!!!」
「わたしのは綺麗だ」

 素っ気無く答えるインサニア。

「綺麗とかそういう問題じゃないよー!そもそもどうしてお前にフェラしなくちゃ…」
「お前の泣き顔が可愛いから」

 答えてインサニアは教室を出る。

「泣き顔って…このサド!」
「怒るな、何がいけなかったんだ?」
「な、何がって…その、…っ」

 顔を真っ赤にするマーク。

「カフェで何か奢る」
「え?なんだよ急に」
「機嫌直るだろ?」
「俺は子供かっ…」
「じゃあどうして欲しい?」
「…いいよ、奢りで。今回は俺が食べちゃったのが原因なわけだしお前は悪くないよな…」
「当たり前のことだな」

 真面目な顔して頷くインサニア。
 本当に悪気はないようだ。それが帰ってなんだかイヤだ。

「何を奢ろうか。口直しにミルクか?」
「悪趣味だなお前のジョーク…」


END

↓↓↓当時のあとがき↓↓↓
マークかわいいよマーク
↑↑↑ここまで↑↑↑
無修正でーす。これが当時の二人です。
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