マーク視点2
インサニアはインサニア家からの援助を受けつつも医者に復帰することなく怠惰な日々を過ごしていた。
スラム街のボロボロの部屋に引き籠ってクスリを吸引したりしているのでマークは止められずもどかしく思っている。
ときたま出かけたと思えば娼婦とえっちなことをしているのでいたたまれないマークである。
普通にえっちをして終わることもあれば殺していることもあるのだが、プライバシーを守ろうという気持ちと『匂い』を感じることがなくなったマークは血の匂いが解らず見逃していた。
「女を殺(ヤ)ってもマルク=レーニの時のような気持ちよさを感じない…」
ぽつりと零したインサニアの独り言。
『どういうこと!?オナニーしてるときのが気持ちいいということ!?』
大混乱のマークである。
彼はインサニアが彼を殺したときの絶頂を知らない…。
『女の人が大好きだったインサニア先生の性癖を何故か歪ませてしまっているのが意味わからないけれども。
思い詰めすぎているんじゃない?お薬を止めて栄養を取ってほしいよ…』
インサニアの手の上に自分の手を重ねる。
この手袋の中にしなやかな手があるのだ、と思うと不思議とえっちな気分になるマーク。
幽霊なのになぜこんな気分になるのか不思議だ。
インサニアがごそごそし始める。
自慰をするらしい、マークの目の前で脱ぎ始める姿が特等席過ぎて申し訳なく思う。
どうしても見てしまう。
インサニアの全てを見たいという欲が自分の中にあるのだ。それに抗うことができない。
インサニア先生に溶け込みたい、という強い思いの延長のような気がする。
「ふっ…ぅ、マルク、レーニ…」
名前を呼んでくれるのが心地よい。
もっと、呼んで欲しい。もっと、その切なげな声で。もっと、蕩けて熱を帯びた目で。
マークはインサニアを抱きしめる、耳元で名前を呼び返し、キスを落としていく。
『触れたらこうしてあげれるのにね』
舌を伸ばしてインサニアの勃起し始めている先端を舐める。
「んっう…?」
ゾクっとインサニアの身体が震える。
『…?ユーレイだから冷たかったとか?それだと抱きしめた時に寒くなるか…クスリかな…?』
首を傾げつつ、マークはぺろぺろと舐めるフリをする。
「ま、ぁ…」
インサニアの手が宙を空ぶった。
マークの頭を掴もうとしたかのような動き。
『見えてる?インサニア先生?いや、俺の幻覚見てるかも…?』
インサニアの目の焦点は合っていなかった。
「っ…う、ぅぅ…」
喘ぎではなく嗚咽のような…実際インサニアは涙を流しながら果てる。
「マルク=レーニ…マルク=レーニ!!」
『いるよインサニア先生、ここにいるよ』
マークをすり抜けて前へ転がるインサニア。マークはすぐに振り返ってインサニアの背を撫でる。
『大丈夫だからね、俺はずっとインサニア先生のそばにいるからね?泣かないで』
抱きしめるマーク。
インサニアは髪を掻き乱して嘆いていた。
あとがき
ずっと取り憑いているよ