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接吻

 南聖華町にある、スイーツ店。
 その店はビュッフェ形式で豊富な種類のケーキが食べられるということで女性客で賑わっている店だ。
 席に座る一人の男。
 髪をオールバックにし、きちっとスーツを着ているのだが気だるそうに肘をついている。
 あまりこの場所には似合っていないような…。

「キュルテンは食べないの?」

 セーラー服を着た少女がケーキを乗せたトレイを持って男が座っている席の前に座る。

「いらない」

 こめかみを押さえて答えるキュルテン。

「甘いもの嫌いだったっけ?」
「あのなぁマリアさん…なんで私がこんなところに付き合わなくちゃいけないんだ」
「土曜の午後は暇だって言ってなかった?」

 マリアはケーキを食べながら呟く。

「言ったけど、マリアに付き合うとは言ってない」
「言えばよかったじゃない」

 頭を抱えるキュルテン。
 マリアの父、ザンからマリアの護衛を頼まれたのは事実だが別に24時間密着しなくていいはずである。
 しかしマリアは学校でもキュルテンの横にいるし、最近は放課後にこうしてどこかしらへ付き合わされる始末。
 先生と生徒が親密になってると何かしら変な噂が立ちそう…。

「奢ってよ?」
「何でだよ」
「奢るぐらいいいじゃない」
「大人だってなぁ、貧しい大人がいるんだぞ」
「なにさらっと惨めなこと言ってるの…わかったわ、そこまでいうなら割り勘ね」
「泣けてきた」
「勝手に泣いてて。相手にしないから」

 冷たく言ってケーキを食べる。
 キュルテンはその様子を眺める。
 マリアは少々キツいところもあるが、割と可愛い部類に入ると思う。
 細く白い首筋に目が行く。


 その首を掻っ切れば裂かれた白い肌の合間から 赤い  が   溢    れ


 ハッとして、その首筋から視線を反らす。
 考えてはいけない、止まらなくなる。
 もしマリアに手を出せばザンに殺される。

「何みてんの?」
「別に」
「そう?」
「黙って食べなさい」
「喋らないと美味しくないわよ。ねぇねぇ今度ケティも一緒に連れてきましょ?」
「ケティを?」

 キュルテンの表情が穏やかになるのでマリアは微笑む。

「そう、別にいいでしょ?」
「あぁ、いいよ」
「ケティの話になると顔が変わるのよねー」
「…そうかな」
「良い顔になってる。らぶらぶなのって良いわ」

 茶化すようにいうマリア。

「マリア…お前は寂しいのか?」
「はぁ!?」
「いや、何となく…」
「ふん、変なこと言わないでよ」

 そうして、二人は他愛の無い会話をし時間を過ごした。
 マリアは屋敷に帰っても一人なのかもしれない、家の話をまったくしないからだ。
 ザンの元を離れてとある家に居候しているが…。
 そう考えると、相手をして欲しいのかと思ってしまう。
 その日はそのまま別れて一日が終わった。


   ◆◆◆◆


 学校でマリアと一緒に昼食を食べるのはお馴染みになってしまった。
 人の目が来にくい庭園端っこにあるベンチに並んで腰掛けて昼食を取る。
 たまにマリアが嫌いなオカズを押し付けてくるときもあるが。

「ねぇキュルテン」
「ん?」
「たま~に、わたしをいやらしい目で見てるでしょ」
「そんなことはない」
「嘘よ、前をカタくしてたじゃない」
「それはお前が抱きついてくるからだ」
「私のせいにする気!?」

 マリアはキュルテンに詰め寄って股間に手を伸ばす。

「うわっ!?」

 慌てて身を引くキュルテンだがマリアはキュルテンを逃しはしなかった。
 キュルテンの服を掴んで、もう片方の手を強く股間に当てる。

「ほらカタイわ」

 息がかかる距離まで顔を近づけていうマリア。
 キュルテンは顔を真っ赤にしてマリアを見下ろしていた。

「ま、マリ…」

 マリアはキュルテンのベルトを外し、ズボンのチャックを下ろす。

「バカ何をやって…!」
「私に興奮するくせに子供扱いしてるのが悪いんだから」
「意味がわからん、お前はまだ子供じゃないか」

 マリアはムッとしながらキュルテンの股間に顔を埋め、ナニにその柔らかな舌を伸ばした。

「やめろ、こんなところで」
「わたしだって、これぐらいできるもん」
「マリア!」

 マリアの肩を掴むが、マリアはキュルテンのズボンを握り締めて抵抗する。

「ザンにバレたら俺が殺されるだろーがっ!」
「今はパパなんて関係ないでしょ!?私に恥じかかせる気!?」
「恥とかそういうのが関係ない!」

 マリアを引き剥がすキュルテン。

「どうしたんだマリア?」
「わたしが嫌いなの?子供だからイヤ?」

 泣きそうなマリアの顔に少し負けそうになるキュルテン。

「子供だからイヤとかじゃなくて…そもそもどうしてこんなことを」
「早く大人になりたい」

 シンプルな答えに眩暈がしてくる。

「お前なぁ」
「キュルテンは黙って私の言うことを聞いていればいいのよ、練習台なんだから」
「練習台って」
「こ、こういうことも上手になりたいのよ、ママみたいなカッコイイ人になりたいの」

 すごく目指す方向が間違っている気がする。

「キュルテンが相手ならいいかなって。キュルテン意外の男の人はイヤだし。
 キュルテンもガマンしてるの辛いでしょ?ね?」
「強引だな」
「うるさい!もういい、勝手にする!」
「こらぁ!!」

 マリアは再びフェラにチャレンジし始める。
 初めてらしいぎこちない舌の動き。
 しかし○学生らしからぬその艶かしい表情にキュルテンはゾクゾクしてしまう。
 情けないほど素直に反応してしまう。
 ここのところ狩りもしていなければ執拗以上にマリアからのセクハラを受けていたせいだろう。

「……うー」

 しばらくして舐めるのを止めるマリア。

「どうした?」
「キュルテン、感度悪い」
「マリアが下手なんだ」
「ぐっ、一言多いのよアンタ!」

 立ち上がる。

「もう止めた」
「鬼かお前は!」
「…フェラはまだ早かったわ」
「もう少し経験積もうな…」
「だ、だからキュルテンで練習するっていってんのよ!」

 顔を真っ赤にさせて叫ぶマリア。

「キスもロクにしたことがない?」
「………」

 小さく頷くマリアがあまりにも可愛くて思わず笑うキュルテン。

「教えて」

 マリアはキュルテンの足の上に座って言う。

「ザンには内緒だからな?」

 そういいながらキュルテンはマリアを抱き寄せて唇を重ねる。

「んぅっ…」

 キュルテンの舌の侵入に震えるマリア。
 しかしキュルテンは容赦なくマリアの口内を舌で犯す。

「はっ…ふぅ……ぁっん……」

 舌を絡み合わせるようなディープキスにマリアはうめき声を上げながらキュルテンにしがみ付いていた。
 マリアには刺激が強すぎたのか目がとろんとなっている。
 しがみ付く手は自然とキュルテンの首に回り、もっと求めるかのように力が篭っている。
 無意識なのか、腰掛けているキュルテンの脚を両足で挟み込んで摺り寄せていた。
 軽く脚を上げて刺激してやると腰を揺らしてもっと擦ってくる。

「…はぁ…」

 舌を抜かれ、糸が引く。
 キュルテンは笑みを浮かべながら半開きのマリアの口へ指を差込み舌を刺激してやる。

「ザンの娘だな」
「む…」
「痛ぁっ!」

 指を噛まれて思わず手を引くキュルテン。

「いきなり噛むなよビックリしたー!!!」
「私とパパは似てないもん!」
「じゃあお前のママの方がエロいのか?」
「うっ…」
「で、キスは気に入った?」
「まぁまぁね」
(まぁまぁかよ)

 あんなに感じていたようなのにもういつもの彼女である。
 この切り替えの速さも含めて絶対に父親似のような気もする…。

「ケティもこんなキスされてるんだ…うわーうわー」

 頬を紅く染めてはしゃぎはじめる。
 ちょっと私生活を覗かれた気分がして恥ずかしくなってくるキュルテンだ。

「わたし、大人の階段のぼってる!」
「そうかなぁ」
「文句あるの?キスしたことパパにいうわよ?」
「わかった、文句言わない」

 何だか弱みを握られてしまったキュルテンであった。




 後日。

「キュルテン!」
「うぇっ!?」

 マリアがジャンプしてキュルテンの首に腕を回したかと思えば、その唇を押し当ててくる。
 キュルテンは慌ててマリアの腰に手を回してキスをしてやる。
 こんな所、人に見られでもしたら…。
 マリアはキュルテンのキスが大層気に入ったようで、こうやってキスを要求するようになってしまった。
 一応、人のいないときに飛びついてきているようだが。

「んっふっふー」

 キスが終わると怪しい笑みを浮かべながらマリアは満足そうな顔をして去っていく。
 何だかキスが一種の麻薬みたいなものになってるんじゃないかと心配になってくるキュルテン。
 マリアには刺激が強すぎたのかも…。

(これ…マリアが満足してるだけで俺は放置プレイだよな…)

 マリアのキスのたびに悶々としてくるキュルテンであった。



END

↓↓↓当時のあとがき↓↓↓
マリアが目覚めた(何に?)
思春期なんですよマリア。
↑↑↑ここまで↑↑↑
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