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病院の廊下を歩いていたら後ろをついてくるカルロくんが変な声を上げたから振り返ってみた。
カルロくんはなんだかグチャっとしていた。
なんなんだろ、これ?
私は首をかしげてカルロくんの身体の中を掻きまわすお肉を眺めていたら頭を殴られたような衝撃があった。
そのまま変な力が加わってきて私の身体は「く」の字に曲げられたんだと思う、視界に天井が入ってきてそこで意識が途切れた。
インサニアくんと初めて出会ったのは大学で。
悲しそうな顔をしていた。悲しいことがあったらしいからそういう顔になってたんだなって今は解る。
マークくんが一生懸命慰めていた。
塞ぎこんでた院さニアくんだけど、ちゃんと成績は良かった。
私と一緒で好きなんだと思う、解剖。
お医者さんになってからもインサニアくんは悲しそうだったけれどある日から嬉しそうだった。
良いことあったのかも。
楽しそうなインサニアくん好きかも。こっちも楽しくなっちゃうから。
インサニアくんの真っ黒な瞳、嬉しいときって熱があるから良いね。普段は空っぽだから。
ある日マークくんがいなくなった。インサニアくんが地下に閉じ込めているらしい。
マークくんは悪いことしたのかも。可哀想だよね、インサニアくんの楽しいことを邪魔するのって。
マークくんが死んだらしい。自殺。
自殺するなら解剖させてくれれば良かったのに。
マークくんっていつも意地悪かも。
意識が朦朧とする。
眠たい感じ、心地よい。
なんだか解剖していたいなぁ、スキップしながら病院の中を散歩。
誰も怒らない。みんなどーしちゃったの?
メスを振って周りのお肉を切っていく。
楽しくないけど暇つぶしになる。インサニアくんに会いたいなぁ。
『あはははは!』
マークくんが何かを引きずってやってくる。
蘇ってからのマークくんは素が出ちゃってて、我が強い。ん?生きてたころもそうだったかも?
私たちの横を通り過ぎようとするマークくんに後ろにいたカルロくんが『インサニア!』と叫ぶ。
カルロくんって喋れたんだ…。
よく見ると確かにインサニアくんがマークくんの袖からいっぱい出てる包帯に巻かれていた。
嬉しい!やっとインサニアくんがこっちに来た!
『インサニアくん!かいぼーしてあげるね!』
愛情たっぷりに告げるとマークくんが対抗してくる。いつもそう!インサニアくんを独り占めさせてくれない!
いじわる!
マークくんがまた歩き出すので私も一緒に行く。
インサニアくんを解剖できるのはいい、楽しい、きっと楽しい。ずっと解剖したかった。
出会ってからずっとずっと思っていた。
「…悪夢だ」
インサニアくんが呟いた。
可哀想に、体調悪いんだろうな。治してあげるからね。アンナに任せてね。悪い所は切ってあげるから!
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