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2015年に書いたものです…。
「やぁ、夕暮れだ。長いし過ぎてしまったね」

 にっかりは店から出ながら夕日を見る。
 ちらりと覗く彼の紅い右目はまるで夕日に染まってしまったかのような錯覚を受ける。
 しかし元々このような色だ。

「どうしたの石切丸くん?じっと僕の顔を見て。」
「別になんでもない。手を繋いで帰ってもいいかな?」
「おや、僕じゃなかったら正気を疑われる発言」

 にっかりは微笑みながら差し出された石切丸の手を握る。
 いい大人が手を繋いでる光景はなんともアレであるが、マイペースな二人は他人の視線など気にもしない。

「君の歩幅に合わせるのに慣れてきたよ。」
「色々合わせてもらって悪いね」
「…で、コレはどういうこと?」

 にっかりは繋いでる手を空いている方の手で指差しながら問う。

「逢魔時だろう?なんだか君はどこかに行ってしまいそうじゃないか」
「……」

 きょとんとした表情を浮かべるにっかり。

「……あぁ。あぁ、そういうこと。神剣サマが守ってくれるんだね?
 でもどこかいっちゃいそうなのはどっちかというと、太郎くんだよ。
 彼、ほら、ずっとあっちの世界見てるよね。別にいいんだけど」
「それをいうと蛍丸も大概危ないなぁ」
「あぁ、解る。あの子も危ない。
 …僕も君の中では危ない側に入るの?」

 なんだか不安げな表情で見上げてくるにっかり。
 石切丸は思わず微笑んでしまう。

「そういう「守りたい」じゃなくて、離れたくないから守りたいわけで…」
「ははは、素直に離したくないって言っていいんだよ。
 まぁ僕はどこにもいかないけどね?」
「じゃあ手を離そうか」
「いやいや、これはこれでいいよ。うん。こういうの好きだからさ」

 にっかりは石切丸の手を強く握り返す。

「石切丸くんはもっと素直になってくれていいんだよ?筒抜けだからね?」
「威厳も保ちたいんだが…雰囲気も大切でね?」
「大丈夫大丈夫、威厳あるから」
「君の基準は緩いからあまり信用できないよ」
「はいはい、もう少し早く歩こうか。夕餉の時間に間に合わなくなるよ。」

 にっかりは笑みを浮かべながら手を引っ張る。

「あぁ、待ってくれ。早い早い」


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