ワンシーンだよ ほんのりジャングス、ノホおみ 苦しい。 膝が崩れる。 思わず胸を手で押さえてその苦しみに耐えようと堪えるが、息が上がる。 「グスタフさん」 白く細い手がマスクに触れる。 「大丈夫ですか?グスタフさん」 『触るな』 「触れている方が安心できると思いますよ?」 ジャンヌはそういって、振り払おうと伸びてきたグスタフの大きな手を掴む。 直に触れればどんなに良いだろうか。 しかし分厚い手袋を取れとは言えない。 なので露出している頭を撫でる。 『おい』 「大丈夫ですよ、大丈夫…苦しいの無くなってきましたね?」 『……』 「桜華くんは嫉妬しないの?」 「…ん?嫉妬とは?」 唐突な乃保の問いかけに忠臣は首をかしげる。 「ほら、貴方のお友達取られるよ?」 「ああ」 ジャンヌとグスタフのやり取りの事だと理解して忠臣は手を打つ。 「双挽は色恋沙汰が好きか?そうは思わなかったが、そうか年頃か」 「は?斬られたいの?」 ジト目で見上げてくる乃保に忠臣は顔を笑みへと歪める。 「良い良い。まぁ我が気になるというのも解る」 「気にしてないけど、反応薄いのが気持ち悪いなって思っただけ」 「え…どういう…我そんな、普段の反応がおかしいみたいな…えぇ…普通なのに…」 「ウザい。よくわからないけどジャンヌに対してどうとも思っていないということね?」 「それでは誤解が生まれてしまうな。うーん、なんと表現すれば良いだろう」 忠臣は腕を組んでウーンと唸る。 「まず、ジャンヌと我は愛情表現が近しい。ジャンヌのあの癒しも男女の感情からくる行為ではないだろう。 …そうだな、グスタフが『Hello』と呼びかけたら『グスタフ』と名を返してくれる者が増えたということだ。 喜ばしいことなのだ」 にっこり笑う忠臣。 「やめて気味が悪い」 「双挽、お前は我のことをどう思ってるんだ」 「変な人」 「えぇー…双挽はもう少し我を敬うことを覚えよ…そもそも桜華くんっていう呼び方もどうなんだ。 我が寛大だからこそ許しているが、もう少し目上に対して―――」 「目上?貴方と私、同じぐらいじゃないの?」 「我は成人だぞ?」 「……そう見えない。『桜華くん』でいいと思う」 「こまった娘だ…」 |