公式の設定がよくわからないよママーーー!!!!!!
っていう状態のまま、とりあえずもうじゃれ合ってる二人が読みたかったので書きました。
もう同じ空間に二人が並んでいるだけでいいから幸せになって。



 カツカツカツ…と靴音を鳴らしながら忠臣は無機質な通路を歩く。

 向かうは自室だ。

 今日の『戦闘』は終わったので休もうという、なんとも味気のないことだ。

 勝った負けたはあるものの、死んでも死なない『戦闘』ゆえに、戦果の味を知っている身としては何だか味気なく感じる。

 しかしこの異世界はそういう仕組みらしい。そしてその仕組みについて考えて、その環から外れようという気も起きない。

 外れ出ることはできないのだろうなという、絶対的なものを感じたせいだろう。

 ふと背後に気配を感じた。足音からして盟友だろうと忠臣は考える。

「忠臣、今から休息か?」

 電子音がかった声がかけられる。忠臣の思った通りグスタフであった。

「うむ。暇をしているなら付き合え」

「いいぞ」

 振り返ることのない忠臣に頷きながらグスタフは後を歩く。

 この異世界は『戦闘』以外は特に何をするということもないので暇つぶしがやっかいなのだ。

 無駄にレトロゲームは充実しているのでそれを借りたりもするが、ずっとゲームをするのも性に合わない。

 グスタフも似たようなものなのだろう。

 こうやってどちらかの部屋に向かい、持ち寄った酒を飲んだりして過ごす。

 グスタフは飲食は特殊な方法で摂っているらしいが、このような時はマスクを外しては飲んで、外しては飲んで…と面倒なことになっている。

 外して気兼ねなく飲めればいいだろうに、難儀な身体だ。

 会話はグスタフのテンションによってあったりなかったりとまちまちであり、

 今日は落ち着いているのか近状報告のような会話を交わして今は静かに飲んでいる。

「おい、近うよれ」

「?」

 キョトンとするグスタフだが忠臣がクイクイと手招きするので渋々といった感じに身を乗り出す様にして距離を詰める。

「触れてやろう」

「酔っ払いに撫でられてもな…」

 忠臣の指先はグスタフの金髪を掬うように絡ませてくる。

「我は酔っていないぞ?お前が酔っているのではないのか?顔が赤いぞ?」

「こ、これは別に…」

 狼狽えるように答え視線を泳がせる彼を愛しく感じてしまう。

「顔をよく視たい。マスクを外せ」

「毒が」

「少しの間だ、大丈夫だろう」

「…俺はどうなっても知らないからな」

 マスクを外したグスタフの顔を眺めながら忠臣は指先で頬を撫でる。

 この状態のグスタフは喋らない。喋れないともいう…喋れば毒が吐き出されてしまうし、そもそも毒で声帯が痛んでおり聞き取れない声しか出せない。

 マスクが声の補助もしているのだ。

「…」

 グスタフの手が忠臣の手を掴む。

 もういいだろう、と目が語っている。

「解った解った、これで最後だ」

「ッ…」

 第三者から見れば忠臣がグスタフの顔を手で掴むようなしぐさにしか見えないだろう。

 しかし忠臣の手に在る『口』から伸びる舌がグスタフの口内を侵していた。

 手を引きはがそうとグスタフに腕を掴まれるが、逃がさんとばかりに忠臣は空いている片腕をグスタフの首に回し、脚でもって彼の胴を捕えた。

「っ…っ…!!」

 震えるグスタフの目から涙が溢れている。

(む、手が痛くなってきた…)

 忠臣は絡ませ合っていた舌を引き抜いて解放し、ぐったりするグスタフにマスクを押し当てる。

「お、俺で遊ぶな…」

「美味であったぞ」

「毒のどこが美味だ」

 グスタフは忠臣の垂れた腕を握り上げる。僅かに痙攣を起こしているのは毒のせいか。

「お前の舌を堪能したといったのだ」

「……」

「ははは照れろ照れろ。照れる盟友はかわいいものだ」

「こ、こういうときだけそう呼ぶ…ただおみはずるい…」

 


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