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「はぁーやっと帰れる…」
 スネークは思わず呟いた。
 セカンドとの合同任務は普段の任務と違い、数日間のものだった。
 遠出という理由もあるのだが、機密保持のための軍事施設の襲撃だったため地形からの施設位置把握に手間取ったのである。
「おつかれさん」
 フラッシュがスネークにE缶を手渡してくる。
「先輩やさしぃー♪」
「……なぁスネーク」
「はい?」
「お前やっぱり無理してないか?」
「え…?」
 フラッシュはスネークを抱きよせ、顔を覗き込む。
「無理って?任務の疲れ的なもんっすか?」
「いやそっちじゃなくてさ。お前がジェミニと何かあったのはちょっと小耳に挟んだ程度なんだが…。
 メタルはほっとけとかいうけど気になってな。お前の笑い方が気に入らない」
「笑い方……」
「俺には泣きそうに見えてる」
「……泣きそう?」
「お前本当にジェミニと上手くいってるのか?」
「…よく、わからないんです」
 スネークはぽつりと呟く。
 恐らくフラッシュ相手だから、そう言ったのだろう。
「先輩、ちょっとお話聞いてもらってもいいですかぁ?」
「そのつもりで声をかけたんだ」
「優しいなぁ先輩は」
 スネークは呟いて、壁に寄り添って座り込む。
 フラッシュもその横へ座った。
「上手くいってるとは思うんですよ、喧嘩しないし、ジェミニも理不尽な怒りをぶつけて来ないし。
 ただ表面上、普通に戻っただけなんです。俺はジェミニの恋人役にもなれていない気がして」
「恋人、『役』?」
「ジェミニといるとなんだか、俺はジェミニの舞台に立っているようで―――
 だったら俺はジェミニの恋人役がいい、と思った。」
 スネークの目が揺れ動いている。
(なんだこれ)
 フラッシュは違和感を感じる。スネークに違和感を。
 まるでスネークは舞台の上で物語を語るかのように、言葉を続ける。
「ジェミニの恋人役ならきっとジェミニは優しくしてくれて、好きって囁いてくれて、愛してくれるはずだと―――
 だから俺は恋人役でいい、本当の恋人じゃなくてもいいからその役になりたくてジェミニの舞台に立ったんだ」
「スネーク、おい。スネーク」
「っ……」
 フラッシュに肩を揺すられ、ハッとした表情になる。
「……本当の俺はどこにいるんでしょうね」
 今度はしゅんとした表情で呟く。
「なんだか、自分がわからなくなるんです。
 ジェミニは好きって一度だけ言ってくれたんですけど、それ以降言ってもくれない。
 恋人役にさえなれているのかどうか不安になる。俺、もうずっと不安で仕方がないんです…」
「なんでお前、ジェミニに拘ってるんだ?お前自身は本当にジェミニが好きなのか?」
「わからないんです…本当、俺…好きだと思いたいってだけで…ジェミニがスキだっていってくれれば俺も好きだ!」
 思わず叫ぶスネーク。
「…お前、ジェミニが怖いだけなんだろ?」
「そう、かもしれないです…あぁ、でも、やっぱり…好きだ。あいつのこと好きだ…」
「どうしようもないなソレ」
「そうなんです…どうしたらいいんすか先輩」
「重傷。もう危篤状態。手の打ちようがねぇ」
「ううっ」
「好きだってお前から言ってみろよ。」
「怖くて、出来ない…。」
 項垂れるスネーク。
「また、殴られたり蹴られたりするかもしれない。ジェミニの考えていることがわからなくて、怖い」
「怖がりすぎてると思うんだけどなぁ。暴力振るわれたら俺にチクればいいだろーがよ」
「先輩に?」
「お前の変わりにジェミニを殴ってやる」
「………」
 きょとんとするスネーク。
「ジェミニ、怖くないの?」
「なんでだよ。お前もっと周り見えてただろ?おかしくなってからジェミニ以外見えてないんじゃないか?」
「あ、あれ?え?」
「あー、なんっつーんだ?お前がいう、舞台?っていうの?」
 フラッシュは面倒くさそうな顔でスネークに向き合う。
「そいつはジェミニとお前だけのモンじゃねーの?俺らは部外者っつーか、観客でもないし?普通に殴れるけど?」
「俺と、ジェミニだけの…もの…?」
「お互い変な空気作ってそこであーでもないこーでもないってやってる風にしかみえねぇ。
 なんでお前ら変に牽制し合ってんだよ、マジで」
「…気づかなかった」
「気づけよバカ」
「先輩ってステキ」
「うっせぇ。それさっさと飲めよ。飲み終わったら帰るぞ」
 E缶を指差し言う。
「先輩大好き!イケメン!」
「はいはい」


   ◆◆◆◆


「あー忘れてた…ジェミニいないんだ……」
 スネークとはすれ違いで別任務だということをうっかり忘れていた。
 スネークが一足早く帰還し、ジェミニは明日帰ってくる予定だ。
「まぁいいか、明日帰ってくるし…」
「あ、スネーク殿。帰っていたのでござるか」
「シャドー うわ、お前なんでボロボロなんだよ」
 バチバチと、亀裂の入った部分から火花を散らしつつシャドーがやってくる。
 自分の後ろから来たのでどこかにいっていたのだろうが、任務の予定はなかったはずだ。
「襲い来るシェードをな、千切っては投げ、千切っては投げ―――」
「千切ったらダメだろ。むしろお前が千切れかけてるわ」
「直してくる」
「いってこい、そしてニードルに怒られて来い」
 重い足取りでシャドーはとぼとぼ去っていく。
 恐らくまたシェードと手合わせでもしたのだろう。
 シャドーが本気で突っかかってくるので、変に律儀なシェードは本気で応えてくるからこうなってしまうのだ。
「あいつバカだなー」
 呟きながらスネークはとぼとぼ部屋へ向かう。
 ジェミニの部屋へ。
「うぐ…無意識に来てしまった。いないのに……」
 まぁいいや、と呟きながら部屋に入る。
 白い、明るい、眩しい。
 スネークは薄暗い方が好きなのだが、ジェミニは明るい部屋がお好みで…。
 この部屋で色んなことされちゃったんだよなぁ、と思い返してしまう。
 それでも付き合っているのは、好きだからなのか…わからない。
 自分の気持ちがわからない。
 好きなんだと言い聞かせているのではないかという疑念が不安を煽るのだ。
「ジェミニが好きっていってくれればいいのに…」
 ため息を吐きながら鏡を撫でるスネーク。
 自分の姿がくっきり映っている。
 この外見で少し嬉しいと思ったのは紅い瞳がシャドーと一緒だったことだろうか。
 シャドーは優しい。バカなことをやって笑い合える友達だ。

 ジェミニは何だろう、ジェミニは…ジェミニは……

 スネークはジェミニのベッドに腰掛ける。
 スネークの私物はだいぶ増えた。
 なんだかこの部屋に自分はいてもいいんだという気分になる。
「…お?なんだお前ジェミニの部屋にずっといたのか?」
 サーチスネークの一匹がベッドの下から出てくる。
「かーわいいー」
 頬擦りしながらベッドに横たわるスネーク。
「…あ、そうだお前ずっとジェミニの部屋にいたのか?」
 スネークはサーチスネークに問いかけると、チチチチ…と小さな電子音が鳴る。
「よしよし、俺にジェミニの映像を見せるんだ」
 首筋から接続用ケーブルをひっぱりだすと、サーチスネークは身体の一部を開いて接続端子を見せた。
 それにケーブルを繋ぎ、スネークは目を閉じた。
 映像が送られてくる、ジェミニの部屋だ。ちゃんと映っている。
 ジェミニはベッドの上でホログラムと談笑していた。
「ふふ、美しいよ『私』…最高に、美しいな」
『君もだよ…私たちは本当、罪深いな。こんなに美しいだなんて』

 ―――相変わらずかよ、もっと生産的な会話しろよ

 思わず突っ込むスネーク。
 スネークがいるときはホログラムはあんまりださないし、出していてもこういう会話はかなり減ったと思う。
 しかしいないとやっぱりジェミニはジェミニのようだ。

「……」
 ふいに、会話が途切れた。
『どうした?『俺』』
「…なぁ、『私』…」
 暗い顔でジェミニはホログラムに向き合う。
「…スネークに、なってくれないか」
『は…?』

 ―――はぁぁぁぁー!!?

 びっくり発言にホログラムよりびっくりしているスネーク。

「すまない『私』…。君に過酷なことを言っているのは百も承知だ、君は俺だから」
『あ、あぁ…君の気持ちは痛いほどわかるよ?しかし、なぜ……』
「…スネークを抱きたい」
『……うん、そうか。あぁ、うん…わかる』


 ―――ホログラム困ってるじゃん!てか困ってる以前に動かしてんのお前だろ!なんだこの小芝居!
 ―――こんなことしないといけないのかよお前はよ!!!

 ジェミニってバカなんじゃないか
 スネークはそう思った。
 罪悪感を感じているからこんな小芝居をしているのか、そもそもこうしないといけない体質なのか判断が付かない。

 ジェミニはホログラムから視線を外す。
「…頼む。君じゃあ、イけないんだ」
『…君のためなら、私はスネークになろう。』
「ありがとう『私』」
『いいんだよ『俺』』
 ジェミニは一端ホログラムを消したようで、ヴンっと音を立ててホログラムが消えた。
 そして右腕をバスターに変化させて、何やらバスターの制御部分のハッチを開いて弄っている。

 ―――そういやホログラムの制御ってバスターのところにはいってるとか聞いたことあるな

 ホログラムを調整しているのか、とスネークは理解した。

「…よし、どうだろうか…」
 ホログラムが姿を現したとき、その姿はジェミニではなくスネークだった。
「俺は完璧だな、スネークそのままだ」
『…『ジェミニ』』
 ホログラムはジェミニの名を呼び、抱きついてくる。
 それをジェミニはしっかりと受け止めた。
「ふ、ふふ…『スネーク』。お前は可愛いな」
『『ジェミニ』は美しいよ』
 キスをしあって、そのまま絡み始める。

 ―――お、俺こんなんだったっけ?いや、ジェミニの脚色入ってるよね?ジェミニの理想も入ってるよね?

 ジェミニと自分に似た何かが絡み合っている姿に興奮を覚える。

『じぇみに、じぇみにっ…!!もっと、奥に、欲しいぃ…!!』
「はっ…変態め…」
 ジェミニはホログラムの腰を持ち上げ、より深く腰を打ち付ける。
『あっあ、あぁっ!!』
 身を仰け反らせながら喘ぐホログラム。
 その目は熱で潤み、表情は蕩けてジェミニの興奮を煽っている。
「キモチイイか?『スネーク』」
『イイ、きもちいい、じぇみにの、きもちいいっ…!!』

 ―――俺、こんな素直じゃないけど……

 いつも、声抑えてるんだけど…もしかして、声出して欲しいのかな?
 スネークはドキドキしながら、そう考える。
 だめだ、興奮してきて身体がおかしい。
 顔を枕に埋める。
 だめだ、ジェミニの匂いがする。
 ロボットだから体臭はないけれど、ジェミニの化粧の匂いが微かにする。
「ん、んぅ…」
 スネークはごそごそとナニを取り出し、自分の手で扱き始めた。
 流れる映像の中の、『自分』に合わせて。


『じぇみに、きれいだ、じぇみにはきれいっ…あ、あぁ…!!』
「『スネーク』、っ好き、だ……」


 ―――っ!?


 スネークは聞き間違えたのだろうかと一瞬思った。

『俺も、じぇみにが好き、好きだから、もっと愛して、もっと…!!』
「あぁ、好きだ、『スネーク』、愛してる…許してくれ、愛してる…」
『じぇ、みっ……』

 ―――………

 スネークはビクビクと小さく震えながら果てた。
 映像も終了する。

「はっ…はぁ、ぁぁ…」
 目をゆっくり開く。
 頭の中がぼんやりする、考えが…まとまらない…
「人のベッドの上で自慰行為とは変態だなスネーク」
「!!!?」
 飛び起きるスネーク。
 ジェミニがスネークを見下ろしていた。
「サーチスネークの盗撮で自慰行為とはな…酷い性癖…醜いな」
 ジェミニの目が暗い。
 あの目だ、嫌な目だ、恐ろしい目だ。
「いや、ちが、う…これは、その…なんで、早いんだよ帰ってくるの」
 しどろもどろと、声を出すスネーク。
「早く終ったからだ。で、誰の盗撮だ」
「え?」
「誰だ?いえないのか?」
 スネークは身体が固まってしまって、声が上手く出せなくて、口をパクパクさせるばかりで進まない。
『この蛇壊すけどいい?』
 ホログラムにサーチスネークを掴まれる。
「いやっ!ちがう、違うんだ!!!」
「何が違うんだ?もっと頭のいい言い訳を言え」
「ちが、ひっく、それ、壊さないで…」
 涙が溢れ出てくる。
 声が上ずる、しゃくり上がる。

  バシン、と渇いた音が響いた。

 頬が痛い。
 ジェミニがスネークを殴ったのだ。
「もう一度オナれば?見ててやるよ」
「え、え…?」
 怒っている。
 ジェミニは怒っているようだ。
『見せてくれたら許してあげるよ?簡単だろう?』
 ホログラムはサーチスネークを掴んだまま、後ろからスネークを抱きしめる。
「ゆ、許す…?」
『誰でオナってたのかは知らないけど、お前が覗きが趣味の変態っていうことは理解しているからな』
「俺の目の前でオナって見せろよ変態」
『早くしないとお前の友達潰れてしまうな』
 ギリッとホログラムはサーチスネークを掴む手に力を込める。
「う、あっ…わかった、わかったから!!」
「脚、閉じるな。見せろっていってるだろ」
『しょうがないヤツだな』
 ホログラムがスネークの脚を持ち上げるように抱き上げる。
 M字に開かされ、スネークは顔を紅くしながらもギュっと目を閉じる。
 言うことを聞かないとサーチスネークが壊される。
 任務や戦闘時に壊されるのはいい、けどジェミニの理不尽な感情で壊されるのは精神的に辛かった。
 あの映像データを再び再生させる。
「んぅ……」
 イったばかりだが、何故だろうか、映像を見るとまた身体が火照り始める。
 ジェミニと抱き合う『スネーク』に、自分を重ねてしまう。
「声、抑えるなよスネーク」
 ジェミニの声が、聴覚センサーの傍で囁いてくる。
「あ、ん、んん…じぇ、ジェミニ…ジェミニ……」
 スネークは目を閉じたまま、ジェミニの名を呼びながら手を動かす。
「じぇみに、きれ…いっ…!じぇみには、きれいっ…あ、あぁ…!!」
 映像の『スネーク』と声を重ねながら、声を上げる。
「スネーク…?」
 スネークの反応にジェミニの表情が変った。
「お前、まさか、俺の…?」
「っひ、あぁぁ、好きぃ…じぇみに、俺も…好き……」
 ぐったりするスネーク。その手は廃油でどろどろに汚れてしまう。
「はっ…ぁあ…」
 スネークはゆっくり目を開くと、ジェミニが引きつった表情を浮かべていた。
「じぇみ、に…?」
「『お前、俺の映像でオナっていたのか!!?』」
 ホログラムとジェミニが同時に叫ぶのでステレオ状態である。
「だ、誰のだと思ったんだよぉ…。お前しかいないだろ、お前が、俺の格好したホロとヤってる映像だよ…」
「『なんで言わないんだよ!!!』」
 ジェミニの顔が、赤い。
「だって、お前、オナったら…許すって……」
「『言わないから俺以外だと思ったんだよクソ蛇!!!!』」
「い、言えるわけないだろ…睨むから…」
「……お前、俺が怖いのか?」
「………」
 スネークは、コクンと頷く。
「はぁ?怖いのはこっちだぞ?お前は蛇なんだから。なんで俺を怖がるんだよ」
「怒るし、睨むし、殴るし、蹴るし…」
「………それだけ?それだけで、お前ずっと俺にそんな目むけていたのか?」
「うん?どんな目…」
「………今から犯す」
「なんでだよ!?」
「出すもん出したいから。俺は任務帰りで抜いてもいないんだぞ」
「もっと普通に誘えよー!!」


   ◆◆◆◆


 有無を言わさずスネークは強制終了するまで犯された。
 ジェミニとホログラムの二人がかりという理由もあるのだが。
「あ…」
 意識を戻したスネークは、周りを見る。
 ぐちゃぐちゃになったベッドの上に倒れている自分、そのすぐ横でジェミニがベッドに腰掛けていた。
 スネークからはジェミニの顔は見えないが、鏡に映るジェミニの顔はぼんやりしたものだった。
「ん…起きたのか」
 振り返ったジェミニの顔は普段の表情に戻っていた。
「もう帰ってもいいぞ」
「もう少し、ここにいたい」
「そうか」
 ジェミニは再びスネークから顔を背けて視線を宙に戻す。
「ジェミニにとって、俺って大切なんだよな?」
「……」
「だって、自分自身を俺の姿にしてまでさ、欲しかったんだよな?
 ホログラムだけど俺の姿に好きだって、言ってくれて嬉しかった」
「嬉しい?」
 ジェミニは呟く。
「そうやって、媚を売っているんだろ?俺に殴られたくないから」
「…そういうふうに思ってたのか?」
「違うのか」
「正直にいう、俺はお前が怖かったから好きって言う勇気なかった。
 いったら捨てられるって思って。でも違ったんだな、俺もお前も相手が逃げると思って言えなかっただけだな」
「…いや、しかし」
 ジェミニはスネークに振り向き、顔を近づける。
「お前も俺も、この感情は間違って好きだと認識しているだけだ、きっとそうだ!」
「うん、かもな。いいじゃん別に。好きなんだから。俺は、ジェミニが好き」
「スネーク……」
「ジェミニ、ホログラムの俺には言えて、本人には言えないのか?」
「……」
「許してって言ってたけど、俺は別にお前に何も思っちゃいねぇよ…何を許して欲しいんだよ。
 俺に愛してるって言うことをか?」
 スネークは起き上がり、ジェミニを抱きしめる。
「言ってくれよ、なぁ?」
「…好き。愛してる」
 涙を流しながら、ジェミニは呟く。
「なんで泣くんだよ、化粧落ちるぞ」
「別にいい。俺はスネークが好きだ、醜いスネークが大好きだ、愛してる、ずっと愛してる」
「俺もジェミニが好きだ」
「嗚呼、なんだか…」
「幕が下りた気分?」
「うん、下りた。終った気分だ」
「そっか、よかったな」
「うん…、うん…」
 ジェミニは何度も頷きながら、スネークの胸元に顔を埋めた。


   ◆◆◆◆


 ジェミニの部屋は賑やかなことになっていた。
 ただシャドーがいるだけなのだが、スネークとの相乗効果が発動するのかすごくやかましい。
 普通ならジェミニの部屋にシャドーがやってくることはまずないのだが、スネークがジェミニの部屋に入り浸っているので
 自然とスネークの元へシャドーがくるようになってしまったのである。
「ふふ、醜くて可愛いスネークが入れたコーヒーは苦くて不味いな」
「そりゃどーも」
 スネークは面倒くさそうな顔でジェミニに答え、ジェミニの持っているコーヒーカップにミルクと砂糖をぶち込んでやる。
「スネーク殿、少し甘やかしすぎるでござる!」
「こいつ動かねーんだもん」
「スネークに入れて欲しい」
 言いながらコーヒーを飲むジェミニ。
「えー!じゃあ拙者もー!!スネーク殿ぉー!」
「お前ブラックだろーがよ。」
「くっ!」
「なにが「くっ!」だ。」
「拙者もコイビトを作って見せ付けてやるでござるよ!」
 なんかシャドーに変な対抗意識を燃やされる。
「へぇー相手いるのか?」
 ジェミニの指摘に唸るシャドー。
「…メタル殿?」
「なんでお前そうハードル高いの選ぶの?バカなの?」
「じゃあクイック殿で」
「お前手当たり次第に名前あげてるだろ、もっと考えろよ、そのうち電子頭脳カビるぞ」
「拙者、愛がよくわからぬ…一生解らぬ気がする。あぁ、スネーク殿とジェミニ殿が羨ましい」
 ため息を吐きながら言う。
「ふっ、もっと羨ましがれ。そう、美しすぎて罪深い俺に愛された醜いスネークはもっと誇りをもっていい。
 むしろ皆がスネークを羨むレベルに達しているはずだな、俺に愛されているからな!」
「シャドー、変態ドSだけには惚れるなよ。相手するの面倒だから」
「心得たでござる」
「俺のどこが変態でドSなんだ…?」
 眉間を顰めるジェミニに、スネークとシャドーはうわぁ、と呟いた。


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