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ホログラムは実体を持つことはできるが、中身はないので中に出されるということはない。
放心し横たわっているスネークの汚れは自分が排出した廃油で汚れてしまっているということになる。
「あー楽しかった」
言いながらジェミニはスネークに使っていたチップを取り出すと握りつぶした。
「良い声で泣くんだな。そそるよスネーク。」
『途中からノってたな。無理やり犯されたのに。そういうの好きなんだろ?マゾだし。』
「う、るさい……」
「スネーク、笑って」
「は…?」
「笑って?」
ジェミニは首をかしげながら呟く。
「なんで…」
「笑ってくれるまで俺帰らないから。」
「意味が、わからない…」
「見たいから。なんだ、足りないのか?やっぱり本物の方がいいのかなこういうの」
ジェミニはホログラムに顔を向ける。
『私たちはこれでいつも満足してるんだけどな…あ、そうか私だからだめなんだな?『俺』じゃないとダメなのか?』
「なるほど」
独り納得してジェミニはスネークの脚を掴んで開かす。
「うわ、や、やめ…」
弱弱しくジェミニの腕を掴んでくるスネーク。
「抵抗したら壊すぞ」
「っ…」
涙を再び溢し始めながらスネークは顔を腕で覆ってしまう。
「ふぁっ…」
ジェミニの圧力を感じ、声を漏らすスネーク。
「どろどろじゃねーか。なんだ、やっぱり楽しんでるんじゃないか。
なぁスネーク、俺のこと美しい?それとも嫌い?」
『答えろよスネーク。顔隠すな』
ホログラムがスネークの両腕を掴み上げる。
「あっ、あぁっ…いや……」
「答えろって」
腰の動きを止めずジェミニは言う。
「ふっ、あ…ぁぁ…」
刺激に声が漏れる、口を開けば嬌声が漏れてしまうそうになる。
「きら、い…」
「美しいですと言え」
ごり、と奥まで貫かれ、スネークの悲鳴があがる。
「う、うつくしぃで、す…」
「誰が?なぁ?」
「じぇみにっじぇみにが、じぇみにはうつくしいですっ…」
激しい動きに翻弄されながら、オイルを垂らしながらも必死に叫ぶスネーク。
「もっと心を込めて言えよ、ほら笑ってさぁ」
「ひぐっ、あ、う…じぇみに、はっ…うつくし…いぃ…!!」
引きつった作り笑顔で、涙目のまま、スネークは叫んだ。何度も何度も叫ばされる。
「んー、もういいか」
「ッ!!」
ジェミニの動きを感じ取って、無意識にスネークの脚がジェミニの腰を離さないといわんばかりに挟み込んでくる。
「っぁぁぁああああああー!!!!」
「奥に出されるのが好きなんだな?変態め」
笑みを浮かべながら見下した目で言うジェミニ。
「っ…ちが、違う…」
「何が違うんだよ?お前は気持ち悪い上に変態なんだ、醜い蛇め」
ジェミニはスネークから離れると「どうしてここは鏡がないんだ」とぶつぶつ文句を言いながら身なりを整る。
「久しぶりに楽しかったよスネーク」
ジェミニは笑顔で見下ろして言う。
その笑顔は今までと違う、見たことのないものだった。
今までの笑顔は張り付かせたような顔だったのに、今のこの顔は―――
心の底から笑ってやがる。
「またやってやる、喜べよ。この美しい俺がお前のような醜い蛇の相手をしてやってるんだ、光栄なことじゃないか」
『ちゃんと私たちの言いつけは守れよ?』
視界がぼやける、電子頭脳に過負荷がかかりすぎたのか、スリープモードに入りかけている。
出て行く二人の後姿を最後まで見ることはできなかった。
****
その暗い碧の瞳は何を見ているのだろう。
己が壊していったスクラップの上に立って、顔を歪ませ叫ぶ。
「美しいって言えよ、俺は美しいんだ!だから美しいって!!」
嗚呼、お前は独りなんだ。
ジェミニ、お前は孤独だ…お前の世界は孤独だ
「…スネーク、何故お前は俺のことを美しいと言わない」
遠い目をしたまま、こちらを見ることもなく、彼は呟く。
スクラップの山の上に立っていたままだった彼は項垂れるように座り込み、そのまま動かない。
―――だって、お前のことに興味もなにも感じないから
―――興味がないのに…美しいだのなんだのは、それ以前の問題だろう?
いや、違う。
何かが違う。俺は、ジェミニのことをどう思っている?
「醜い…スネーク……」
暗い目でこちらを見てくるジェミニ。
そうだ、違和感を感じていた。この目に違和感を。
俺を見ていない。
俺を見ているつもりなんだろうけど、俺を通して違うものを見ている。
胸がざわめく、なんなんだこのキモチは。
―――何故ジェミニを孤独だと思っているのだろう
そうだ、俺も、きっとジェミニも……
ジェミニは俺を通して、自分自身を罵っているのではないか?
俺は俺で、ジェミニの孤独に過去の自分を重ねて見ているのではないか?
いや、違う、違う違う違う―――
俺はジェミニじゃない。違う、ジェミニの世界に引きずり込まれてしまっているだけだ。
誰か助けて、誰か…誰か……
****
「スネーク殿、大丈夫でござるか?」
「しゃ…どー?」
ぼんやりとした顔で、スネークは顔を覗き込むものがシャドーだと認識した。
自分の部屋だ、シャドーがやったのだろうか、汚れもないし腕も応急処置を施されている。
俺はまたジェミニの夢を見たのか。
「一体何が…ジェミニ殿でござるか?もういい加減話して欲しいでござる」
「喧嘩、だと思う」
「しかし!」
「わかった」
シャドーの口元を手で塞ぎ、スネークは身を起す。
「ジェミニに絶対近づかねぇ、これでいいだろ?」
「む、むむ…」
「それよりシャドー、やっぱりあいつをもっかい検査した方がいい。おかしいよ絶対におかしい」
「スネーク殿がそういうならマグネット殿に伝えておくでござる」
「おう、頼む。もう少し寝るからほっといてくれ」
「承知したでござる…」
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