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 ストライクマンのお仕事はバッティング練習のためにボールを投げることである。
 それはロボットエンザ事件の後でも変わることはなかった。
 もうすぐバッティング場の営業時間が終了する。
 終わった後なにをしようかな?なんて考えていると見知ったロボがやってくる。
 ニトロだった。
 ヘルメットのシールドは上げられており、その覗く目はニッコリといった目つき。
 邪悪を感じた。
「おらおら、さっさと終われ」
 ストライクは容赦なくニトロに球をぶつける。ちゃんとバッティングの投球分だ。
「おいやめろ、装甲ベコベコになるだろ!デッドボールやめろ!
 せっかく客として来てやったのに!」
「笑顔が邪悪だったんだ、これは正当防衛」
「お互い目しかないのに!なんて球だ!一緒にお酒飲もうって誘いにきたんだぞ!」
「えぇ…マ?」
 不審者を見る目でストライクは手を止める。
 ストライクはニトロを警戒していた。
 普段地味で目立たずを貫いているニトロを気にもしていなかった。
 しかし向こうはそうではなかったのである。
 めちゃくちゃ気に入られてしまった。何しても面白いとかいってくる。こっちは芸人じゃないんだよ!
 リアクション芸人いけるじゃん?なんてもこもこに言われたような気もしたがこっちは投球一筋である。
「あ、もう終わりかな?出待ちしてるね?」
「タチ悪いファンか」
 へらへらしてるニトロは出待ちのために出て行った。
 仕方ない、お酒に付き合うしかない。
 お酒に罪はないのだ。なんだかんだいって奢ってくれるし。
 そのまま養っても吝かではないみたいなことを言われたこともあるが怖すぎる。
 何でそんな自分を気に入ってんだ頭おかしいんじゃないか?
 そう思うのである。

「頭おかしいんじゃないかお前は」
 ほどほどに飲んで話題がふわふわし始めた頃、ストライクは直球を投げた。

「だってストライクつっつくの反応が可愛くてさ。もっと怒ってもいーよ?」
「ひぇ…こわ…」
「君は暴力的なのに一線超えないよな。なんか面白くて」
「お前の周りは一線超えるやつばっかなの?治安わるすぎる」
 ストライクは自分の気性の荒さを知っている。
 知っているからこそメンテに行けと言われたら、まぁ、しゃーないな…と素直に従うのだ。
 これで自覚がなければ本当にエラーである。壊れている。
 ニトロの周りには壊れたロボがいっぱいおるんか…?とそら怖くなってくる一般やきうロボストライクである。
 不意にニトロが左手のグローブに手を添えてくる。
「ストライクって恋人いる?」
「おらんけど?」
「あ、じゃあえっちなことしてもいいな?ちょっとラブホいこっか」
「気軽すぎるッッ」



    ◇◇◇◇



 脈絡のないニトロに引きずられていきストライクはラブホにINしてしまった。
 どうしようもない、ニトロの勢いを止められるのはチルドしかいないだろう、物理的な意味で。
「連れ込むんはいいがオレはそういうことできる体じゃないぞ」
「え!?バットついてないの!?」
「商売道具を隠語に使うのやめてくれへん???????」
 ベッドの上に転がされたストライクはニトロを見上げる。
「棒も穴もないわ、普通ないわ。お前の界隈が治安悪すぎる」
「そうなんだ。みんな趣味でつけてると思ってたけどそういうんじゃないんだな…。
 まぁ問題ないよ、俺が満足すればいいだけだしね?」
「オレの意志どこや」
「今回見ててもらって、気に入ったら追々二人でやってこうよ。お金出すよ」
「ひぇ…生活になんも関係ないロボに性管理される…。てかなんだその執着…オレ以外のトモダチいるだろ?
 なんかわかんねぇんだよ。オレが気に入られる理由」
「丸っこくてかわいい。口が悪くて態度も目つきも悪いの可愛いっていうんだぞストライク、勉強になったな?」
「強引だぁ…」
 やはりニトロは頭がおかしいのだろう。
 諦めることにしたストライクは大の字になってベッドの上でゆらゆら揺れる。
 そんなストライクの横にニトロは座り股間からナニを取り出してくる。
「ストライクは見てるだけでいいから」
 そんなことを言ってグローブにナニを当てて擦り始める。
「おい!!!こっちの手あるやろがいっ!!!」
「俺の球を受け止めるつもりで」
「タマなしやろが!」
「はっはっはっ。こっち隙間があったら隙間に捻じ込むのに…これはこれでいいか…」
「バカ!バカ!バカ!」
 グローブを守るようにストライクは開いた手でニトロのナニを掴む。
「これでいいだろ」
「えー…仕方ないな。今日はそれで…シゴいてくれるなら」
「オレなんも楽しくないが…」
 言いながらも渋々ストライクはニトロに付き合った。
 ストライクの手が大きいのか手に収まるサイズを弄り、熱く排気するニトロに対してちょっとムラっとした。
 感じるのか腰を動かし呻いている。擦りつけてくる尻がいやらしく感じる。
 きっと他の誰かともヤっているのだろう、そう思うとなんか腹立たしくも思う。
 自分は別にニトロの恋人でも何でもないのだが、むしろペット扱いされている気がするが。
 やはりそういうことが出来るようになったほうが、男として見てくれたりするのだろうか?
「んっ…ぅ…」
 ニトロが熱を放ちストライクの手が濡れる。
 ニトロと目が合う。
 ニッコリと笑っている。どうだ良いだろ?と言わんばかりの…ストライクは視線を避けるためギュっと目を閉じた。

 こいつは邪悪な笑顔である!

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