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 つけるかつけないか


 ストライクは下半身の事情で悩んでいた。
 ニトロ相手に勝つために股間にバットをつけるべきか。
 勝つってなんだろう、俺は一体何と戦っとるんや…?と意識が正気に戻ったりしてなかなか結論までいかない。
 まずつけなくても生活に支障はない。
 そもそもニトロと恋人ではない。ニトロに欲情したこともない、ちょっと目の前でえっちなことされたときはさすがに…だが、普段のニトロを見ていてそういう気持ちは沸いたことがない。
 ならばつけなくてもいいのではないか。
 そう思うとなぜか以前の目の前でされたえっちなことを思い出してしまい男としてそれでええのか?となる。
 ええんや、つけなくても!と意識をしっかり保とうとしているのだが…堂々巡りである。



「え?ニトロのこと好きなの?ラブ?」
 ピンクフカフカモコモコ羊ロボのシープがジト目でストライクを見上げる。
 そんな彼はコマンドのお膝の上。定位置と言っても良い。
 そこに乗ると可愛く見えるから乗っているので特別な意味はなかった。
 酒で相談相手を呼び出しストライクはシープとコマンドに事情を話して返ってきたのがこれである。
「ラブではないな」
「あぁ…セフレとして割り切れないタイプかお前」
 コマンドが納得といった感じに言う。
「でも悩んでるなら付き合えばいいじゃない?二人とも似てるし」
「そうだな、似てるわ」
「どこが????」
 身体を揺らすストライク。
「仕事に筋を通す感じ」
「ニトロって危険だなーって解ってる仕事も喜んでやっちゃうドマゾじゃない?
 ストライクは仕事の邪魔を片付けようとするバカじゃない?
 仕事のことしか見てないの似てるよねー」
「仕事が趣味なんだろうなーって思うよな」
「だよね」
 コマンドとシープは頷き合う。
「なんか自然な流れでバカって言われたが…似てるかぁ?解らん」
「ニトロ側は親近感持ってるんだと思うよ、ストライクは自己中だから解んないと思うけど。
 ニトロのことヤり捨てて罪悪感とか沸かない自信あるならつければ?」
「でも無理だろうなー。逆にニトロに捨てられたらこいつ逆上しそう、こわい」
「わかる!痴情のモツレで殺ロボ事件だ!こわい」
「………」
 ストライクは目を細めて想像する。
 ヤリ捨てはまぁ、あるかもしれないが逆のパターンもありそうだ、自信がある。たぶんキレる。だって自分が好きだから。
 でもニトロはそんなことしないような気もする。
 ベタベタしてきてるし。
 いやでも他に男が―――
「沼ってるよコマンド、どうする?」
 お目めぐるぐるストライクに呆れた声で呟くシープ。
「もうどうしようもなくないか?恋愛感情の自覚がないままニトロにタラシこまれてしまってるからなぁ」
「痴情のもつれ殺ロボ事件楽しみだねぇ」
「ニトロが悪いってちゃんと俺たちが証言してあげような」

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