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 フォルテは地団太を踏んでいた。
「俺と勝負しろって言ってるのにー!」
「はいはい台所で暴れないで」
 ロックはフォルテを宥めながら顔を鍋からフォルテへと向ける。
「事件が起こったらロックマンになって勝負してあげるよ」
「なんで今じゃないんだ」
「今はとても平和だもんね?」
「解った…事件だな、事件起こせばいいんだな!ちゃんと勝負しろよ!」
 そういってフォルテは出ていく。
 窓から出て行かないようになって偉くなったものだとロックは満足げに頷く。
「…フォルテ、ワイリーのところに行ったんだろうけど大丈夫かなぁ」
 そこで暴れないといいけど…と思いつつ料理に戻るのであった。



   ****



「じじい、事件を起こせ」
「無理じゃ、資金がない」
 即答である。
 そうだった、解っていた。この世はお金で動くのだ。
 なんやかんやで大所帯と化しているここはもう生活費でカツカツなのだ。
 解っていたではないか―――
 あとじじいのやる気の問題もある、なにかしらの閃きがあるとお金がなくとも動くタイプの人間なのだが…
 今はそういう時でもないので絶対に動かない。
「あ、あいついるじゃん」



   ****



「キング、反乱しろ」
「お兄さん、掌返ししすぎてると信用を失うと思うよ」
 変なところで父親に似てきたな…と心配になるキング。
「俺だって人に頼むなんて真似嫌だ…だが、もう手段がねぇんだよ」
「そんなに?そんなに勝負がしたいんだ?もっと違う趣味を見つけたほうがいい気がしてきた…
 チェスする?チェスを覚えてロックくんと遊ぼ?」
「遊びじゃねぇんだよー!」
「命をかけた戦いがしたいんだ…?
 負けたほうは1駒100エネルギーとして取られた数の分のエネルギーを抜き取られるとかそういうのすれば?」
「それもなんかちがうッ」
 フォルテは首を振る。
「お兄さんに応えることはできないんだけど、そうだな、お兄さんが事件を起こしちゃだめなの?」
「えっ」
「ロックくんと勝負をさせないと世界を征服するぞーってやればいいんじゃないか?」
「…」
 フォルテは目を見開いて驚愕の顔になる。
 青天の霹靂。
「そうだ…勝負のことしか考えてなかったけど別に俺が世界を征服しちゃってもいいわけだ…?
 そうすりゃロックマンと勝負し放題だし…」
「とんでもない自信…お兄さんのそういう強気なところ好きだな。まぁ、色々やってみれば?」
「あぁ、お前に用はなくなった。じゃあな」
 ご機嫌に去っていく。
 どうやってそこに辿り着く気なんだろうと気になったがキングは考えないようにした。



   ****



 セブンス全員フォルテの集合号令により集まっていた。
「というわけで征服をするぞ」
「「「え、ええ~!」」」
 不満の声。
「なんだ文句あるやつはぶっ飛ばすぞ」
「あのゥ…文句というか~」
 スプリングがびよんびよんする挙手をしつつ発言をする。
「我々的に再放送というかリプレイというか…かっこよくないデース」
「顔バレしてるもんねぇ~。今更?また?なんで?みたいなところあるかも」
 スプリングに頷きながらクラウドが言う。
「フォルテ様、発言よろしいですか?」
「なんだよお前も俺をせめるのか?」
 不機嫌そうにフリーズを見るフォルテ。
 フリーズは挙手をした手を下げてもう片方で握っていた端末をタンタンと指先で操作しながら
「今アイスマン先輩に連絡をしたんですが―――」



  フリーズ「フォルテ様が世界征服したいそうなんですが自分いいっすか!?」
  アイス「やめなさい」
  フリーズ「はい」


「止められたので私は抜けます」
「敵に情報を流してんじゃねぇよ!!!!!!」
「流さなくても解る定期」
「うるせぇなぁ!もう!せっかく作戦も考えたのに…」
「フォルテ様が?どれどれ?」「真面目に?」「ヤバ」「こわいデース」
 わいわいと失礼なことをいいつつセブンスはフォルテの資料(紙)を覗き込む。
 数分の沈黙。
「これは世界とれちゃうのでは?」
 シェードの呟き。
「ガチすぎて怖い、無理。私たちにも私生活はあります!!!!」
 資料を破り捨てるフリーズ。
「あ!お前なんてことを!二重スパイめ!」
「ガッチガチのガチな作戦やめてくださいよ…効率重視すぎて自分がロボットだったこと思い出しちゃう」
「今までの失敗を参考にして作っただけだぞ」
「こわいこわい、フォルテ様はもう勝負のことだけ見ててください、才能を殺そう」
「そんなに良い作戦だったのか…これは最終手段に取っておこう」
「それがよろしいかと思われます、さて」
 フリーズは1拍おいてフォルテを見る。
「目的は勝負をすること。ということで我々がするべきことは頭を下げてのお願い!
 頭下げて数で攻めればいけますよ!我々にお任せを!」
「えぇ…?そんなんでいけるか…?」
「いけますとも!フォルテ様に数の暴力を教えて差し上げます!!」
 かっこいい(????)ポーズを取りながら断言するフリーズ。
 後方の面々は「頭下げなくちゃいけないのか…」と渋い表情であった。





 玄関先で8体のお願い土下座を受けたロックは―――頷くしかなかった。



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