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 拝啓 サンゴッドさま

 私は貴方になりたかった

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 サンゴッドはアースから送られてきたメールの言葉を思い返していた。
 あれは愛溢れる恋文の誤送信だろうか?
 そう思ったのは、彼は送信せず書き綴った恋文を溜め込んでいそうだから。
 なにせ彼は我が子であるから…特定の情を感じている。
 しかし最近顔を合わせていない。かれこれ1か月ほどだろうか、メールは1週間前に届いた。
 このメールを見るたびに自分の心はざわつく。
 哀れな我が子、哀れなアース…神に成れるわけがないのに…そのことにやっと気づいたアース。
 そういうことで終わったはずなのに心のどこかで何かが引っかかってくる。それがとても自分を苛つかせた。
 感情が高ぶると機体が熱い、放熱するがレプリカである地球製のこの機体は耐久力が無かった。
 その不具合をすぐさまマーキュリーが熱を奪って解決してくれる。
 マーキュリーはアースのことを何も話さない。こちらが聞かないからだろう。
 しかし聞けば真実を突き付けられそうで聞けなかった。
 真実とはなんだ?ただ自分が目を反らしているだけなのに。
 解っている、頭の中では解っている。心が拒否をする。


 アースは…アースは、今の私に成りたくないのだ


 それだけではないだろう、色々あるかもしれない、でもそこが起因だ。
 地球に落ちて、蘇って、死を望んで―――なぜか甦らされて、こんな体。

 アースの望んでいた純粋な破壊兵器でなくなってしまった私

 アースの望みを叶えることが出来なくなってしまった私

 こんな神になりたくないだろう。私だって心のどこかでは嫌だと思っている。
 アースも同じ気持ちだろう。親と子だから。
 私はアースで、アースは私だから。親と子だから。

 ―――いや、そう思いたいだけなのだろう。

 アースは生まれた時から私を憎く思っていた。それが悲しくて―――

 アースも悲しく感じていたに違いない、こんな私を越えることができなくて。

 自分はプロトタイプで、彼は完成した1号機だ。



 どうして私でなくアースが消えなければいけない?

 どうして私は



 どうして

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