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ロボットにもたまに息抜きは必要である。それが趣向品によるもの…お酒であったりとかとか。
コサック製のロボットたちもそういう輩がいるわけで。今夜の宅飲み会場は深夜のコサック邸のリビングである。
リングとスカルとファラオのハメを外すと素行不良三人組である。現在ハメを外している。みんな寝ているときに飲んでいるのだ、悪い子たちである。
「お前さっきからニシンばっか食いすぎじゃないか」
「うるさい」
リングの指摘にスカルは睨み返す。美味しいから食べているのだとスカルは思う。
塩漬けではなく特製の酢で漬け込んでマリネに仕上げた酢漬けニシンである。作ったのはブライトだ。美味しくないわけがない。
ただ食べ過ぎると怒られる可能性はある。
「限度を守れスカル」
ソファに脚を組んで座り、ワイングラスを優雅に傾けているファラオ。リングとスカルは床に直座りである。色々広げているので。
「ブライト兄上の肴は美味いがお前だけで食いつくすな。我も食べたい」
「……」
「……」
リングとスカルは同じ無の表情を浮かべてリングが取り出す皿にスカルがニシンを取り分けそれをファラオの前のテーブルに置く。
「おかわり」
ワイングラスを差し出す。リングは手に持っていたウオッカをグラスに注いだ。ワインはないからだ。あと回し飲みなのもお互いまったく気にしなかった。昔からこうである。ワイングラスで飲んでいるのは見栄えが良いからである。味とかはわからない。
「はぁ…お前らが美女だったら我も楽しいのにな…」
「殺すぞ」
「こんなに尽くしてやってんだから頭を床に擦りつけて礼を言え」
ひどい会話である。
「…明かりがついてると思ったら!」
リビングに乱入者―――ブライトだ。スカルは素早く窓を開いて脱出した。リングは酒瓶を抱きかかえて別ルートで逃亡を図る。
そしてファラオはあいつらが怒られるもんねと思ってるので堂々としていた。謎の自信である。
「あの二人は明日怒るとして…ファラオも叱る対象だからね?」
「ふぁい?」
鼻をつままれフォラオは身もだえる。
「勝手に食べて…これ明日食べる分なんだよ。お酒も飲みすぎ!適量を守ってっていつも言ってるでしょ?」
「まだいけるんだが…」
「酔っ払いはみんなそういうの」
「いやいや兄上、私はまだシラフ。シラフですとも」
言いながらファラオはブライトを抱き寄せて膝の上に座らせる。
「うわお酒くさっ」
「仕方ありません。リングの野郎がどんどん注ぐので」
注げとも命じていたが酔っ払いは自分を正当化させるのである。明らかにシラフではない。
しかしファラオは赤い目をキラキラさせてブライトを見る。
「美女もいいがブライト兄上もいい。一緒に飲みましょう」
「突然話が切り替わったね?酔ってるんだよ、解る?」
「酔っているとしましょう、問題ありません。なぜなら二人とも飲むから」
「あのねぇ…」
頭を抱えるブライト。ファラオはまたグラスを傾け―――そうしてブライトの顎を空いている手で持ち上げてキスをする。
「!!!?!?!?!」
真っ赤になるブライト。
くちゅり、とファラオの舌が口内を這う。それは口に含んだ一口分のアルコールを押し込むものであったが触れ合う舌の感触にブライトはゾクゾクとした痺れのようなものを感じた。
「美味、でしょう―――」
目を細め微笑むファラオの整った顔。照れ隠しのパンチを出しかけるがブライトは抑えた。以前無意識パンチをしてしまって大変彼をへこませたことがある。あまりにも可哀そうな姿であった。
ド天然たらし男が酔った勢いで行ったものだ、そういうものだとブライトは自身に言い聞かせる。
「ふふ、さくらんぼのように赤くなる兄上は愛しい…私、兄上を非常に好ましく思っております…ふふふ」
「…あれ?これなんだかまずい?」
ファラオの目がとろんとしてきている。というかずるりと押し倒された。
こんな至近距離だ、ピカっと光ってしまえばフォラオを止めることはできるだろう。しかし、しかしそれはちょっと勿体ないかなぁ…と思ってしまっていた。誰もいないので気が緩んでいるのかもしれない。
ブライトもなんだかんだでファラオのことを好ましく思っていた。ファラオのダメンズ部分がブライトの母性を刺激しているだけかもしれないが。
「兄上との口づけはどの肴よりも美味で―――」
「恥ずかしいなぁ…」
言葉にしないと気が済まないタチなのかわからないが、ファラオの独白に赤くなりつつ迫ってきた唇を拒むことなく受け入れた。
先ほどとは違う明確なキスだ。潜り込んでくる舌に応えるように舌を浮かせると蛇のように絡んでくる。
「ふぁ…」
声が漏れて恥ずかしくて、目を閉じるとより一層ファラオの存在を感じてしまう。
「兄上…交わりましょう」
「…え?」
「もうこれは交わるしかないのでは?私は兄上を貪り尽くしたく!」
「酔うとそんなになっちゃうの?絶対明日になったら凹んでるよ!ファラオが!」
「覚悟完了しております!」
「うーん、口だけは達者だなぁ…でもねファラオ…僕そういう穴はないんだよ?」
「…な、なんと?」
さすがに酔っていても言葉は理解できたらしい。ブライトの発言に動揺する。
ちなみにファラオは不良なのでちんちんをつけているのだ。
真面目なブライトはそういうものをつけたりなんかしたことなかった。
「…お、お口がありましょう?」
「最低なこと口走ってるけど解ってる…?」
まぁ今更ファラオの好感度が上がったり下がったりするものでもないのだが。
しかたないなぁ…とブライトはファラオを押しのけてソファから降りる。
「ファラオ、今日だけだからね?しかもこんな場所で…内緒だよ?」
「は…?」
ブライトがファラオの脚の間に収まる。
「してほしいんでしょ…?は、恥ずかしいんだけど」
「あ、はい!はい!」
慌ててナニを取り出すとブライトは優しくそれに手を添えて先端を口に咥えて吸い始めた。
「ど、どうすればいいのか…わかんないんだけど…こういうの、でいいの…?」
不安げに問いかけながらちゅっちゅっとキスをしていく。
「じゅうぶんですっ…じゅうぶん…!!!!」
ファラオは感情が爆上がりしまくっており、仰け反りながら答える。
ブライトがちゅっちゅしている、それだけで十分であった。
「うーん…?」
ブライトの小さな舌が先端を突く様に舐め上げる。
「あ、あにうえっ…あにうえぇ…!!!」
めちゃくちゃ興奮しているせいか泣きながら兄を呼んでいるファラオ。感極まり過ぎである。
(これ一度シラフの時に相手したほうがいいよね…?このまま性癖が歪んじゃったら悪いし…)
なんて考えながらブライトはちんちんを攻める。
正直大きくて先端を咥えることでいっぱいいっぱいだ。なんとなーくの知識でブライトは先端を咥えたまま催促するように舌で擦る。
「あーっ…あーっ…!!!」
ファラオは腰をガクガク震わせながら達した。
廃液が溢れ出てブライトの口元を汚す。
「わ、いっぱい…出たね…」
上目遣いでそのセリフ―――ファラオは意識をシャッドダウンさせた。熱暴走が原因である。
◇◇◇◇
「ブライトのアニキに呼び出されて戻ればち〇こ丸出しで気絶してるお前が居て正直引いた」
正直な感想をリングは伝え、ファラオはゴッゴッと壁に頭を打ち付けていた。
ここはファラオの部屋で、リングはファラオをここに運んであげたのである。
「ど、どうしてあんなことに…」
「酒癖の悪さのせいだろ…俺のように自制を利かせないとなぁ?」
「は?酔っておるのか?」
「は?」
「は?」
「―――なに喧嘩し始めてるの」
ブライトがやってきて二人の間に入る。
「ほらほら。リングありがとう。助かったよ。でもこっそり飲むのはダメだからね!次もやったらお尻叩くよ!」
「は、はい…」
アニキに恐怖しながらリングは部屋を出ていく。兄は強いのだ。お尻を叩かれると二つに割れる。
「さて、もう酔いはさめた?」
「はい…申し訳なく…本当に申し訳なく…」
しおしおになりながら謝るファラオ。
「次は酔ってないときにお願いね?じゃあね」
ブライトはそう言って出ていく。
「………はっ?」
爆弾を落とされたファラオは眠れぬ一夜を過ごすのであった。
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