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 フォルテはムスっとした表情で帰宅した。
 手にはオレンジ色のバケツ。その中にはみっちりとお菓子が入っている。
 いつものようにライト博士の研究所へ乗り込んでロックマンに勝負を挑んだものの、うまくあしらわれてハロウィンパーティに巻き込まれてしまった。
 狙って巻き込まされているとしか思えない。
 何故ならフォルテの分まで用意されていたからだ。勿論仮装も。
「おかえりなさいませフォルテさま」
 フリーズが声をかけてくる。
 フォルテはバケツからはみ出てるお菓子を掴むとフリーズに投げつけた。
「むむっっ!!!!先輩カラーのお菓子!!!!!!!!」
 受け止めたフリーズが唸る。
 狙ってそれを投げたわけではなかったのだが…「運のいい奴め」とフォルテは悪態をつきつつフリーズは悶絶し始めるので置いて皆が集まる広間へ辿り着く。
 シェードはまだ帰っていないようでシェード以外がごろごろしている。
「おらぁ!」
「ぎゃーっ!キャンディが突き刺さりそうな速度で飛んでくるジャンッ!」
「ちょっとフォルテさままだトリックオアトリートいってないよぉ!」
「投げつけるのは良くないデース!」
 ぎゃいぎゃいとお菓子を投げつけに来たフォルテに抗議するセブンスたち。
「うるっせぇ!開けろ開けろ!!!俺様が座るぞ!」
「はいはい」
 床に転がっていたスラッシュたちは転がって道を開きソファに座っていたクラウドはスッ…と空中移動してソファの真ん中を開ける。
 そこにドカっとフォルテは腰かけた。
 不機嫌ではあるがバケツを離さない。
 セブンスたちは察して早くシェード帰ってくればいいのにと思うのだった。
 彼は彼で元アトラクションロボのサガかハロウィンのときはハロウィンパーティを開いて楽しく過ごしている。ホームパーティでは満足できない男だ。
「今日は楽しかったですか?」
 再起動したフリーズが戻ってきてフォルテに問いかける。
「別に」
「先輩はどんな格好してましたか!?」
「え、こわ」
「怖がらないで!教えて!何もしないから!」
「なんかしらねーけどオオカミの格好してた」
「かぁぁぁぁっこいいいいいいいい」
「お前が怖いよ俺は」
 フリーズにドン引きのフォルテ。
 どちらかというとちょっと可愛い感じだったがフリーズは一体どんな男前なアイスを想像しているのか。
「フリーズ、お前帰れよ」
「ここが家ですが?」
 なんてバカなやり取りをしているうちにシェードが帰ってきた。
「ただいま戻りました~!おぶぅ」
 剛速球のお菓子入りバケツがシェードの腹にぶち当たる。
「ちょ、フォルテさま…私まだトリックオアトリート言ってませんけど…」
「言うの決まってるからいいじゃねーか。ハッピーハロウィン」
 気が済んだのか柔らかな表情で言うフォルテ。
「もっと優しくしてほしいですよ。ケーキ美味しかったですか?」
「ん。もう甘いモンはいいかな…口直しがしてぇ」
「お肉残ってます?」
「ちゃんと取り置きしてるとも」
 確認してくるシェードに答えるフリーズ。
「では用意をお願いします。フォルテさま、待ってる間に仮装しません?」
 ニッコリ笑顔のシェード。どこから取り出したのか手には衣装。
 ―――その笑顔がライト兄妹と被って見える。
「もう勘弁してくれ…」
 フォルテは片手で顔を覆いながら呻いた。

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