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「ブラストせんせぇ~~~~!!!」
パイルが大声でブンブン腕を振って呼んでいる。
「おい~、先生って止めろって。ここじゃ俺ただのバイトだぜぇ?」
ブラストは操作していた端末から顔を上げてキョトンとした表情になる。
パイルの横にロックがいたからだ。
「ブラスト先生に会いに来たそうですっ」
「えへへ、きちゃった」
「お、おお…えーっと、パイルさんよぉ、指定の区画にモノは仕掛けたから俺今日は先に上がってもいい?」
「ブラスト先生は仕事確実だから!大丈夫です!!!」
「ほんとかなぁ…お前、俺を持ち上げすぎんだよぉ…」
ちょっとウンザリ顔になりながらもブラストは持っていた端末を片づけてロックに改めて笑顔を向ける。
「どこいく?メシ?」
「やー、どこでもいいけど。色々お話したくなっちゃって…」
「んじゃあメシにするかね。じゃあパイル、また明日」
パイルに見送られながらブラストたちは作業現場から街へ移動した。
ファーストフードが食べれる店に入る。
ロックはこのようなところにあまり来ることがないので新鮮だ。ちょっとわくわくする。
そうして適当に座ってハンバーガーをブラストは丸々一つ、ロックが半分ぐらい食べたところでブラストは目を細めてロックを見下ろす。
「…で、なに?」
「うん…ブラストがお仕事お休みしてるって聞いて心配したんだよね」
ロックはもぐもぐと食べながらいう。
ブラストは「あー」とダレた声を上げながら天井を仰いだ。
「いや、事件起こしたし自粛だよ自粛。本職休業。で、奉仕活動でナカウメさんとこのバイトに雇われてるんだよ。
ブロックのなんちゃって遺跡はちょっと手直しすれば使いまわせるけどパイルのアレは、ねぇ…ってことで発破で埋めれるところは埋めてるわけなんだけど」
「…アシッドさんがね、休んでるのに働いてるかもしれないから釘を刺しに行けって」
「………あの人は」
「心配してるんだよ。律儀でしょ?」
「誰が?」
「ブラストが。」
「うーーー…」
ブラストは眉間に皺を寄せながらジュースを飲む。
「でも、良かった。暗い顔でお仕事してたらどうしようかと思ってたんだけど、そんなに…思いつめてないね」
「あ、まぁ…その…もともとの仕事だし、これ。懐かしくて…さ」
「本業ってどっちなんだろね」
「どっちもかなー。」
テーブルに肘をつくブラスト。
「アンタは『僕の本業は家庭用ロボです』って言いきれる?」
「…うーん、昔だったら言えてたかもだけど、今は…どうなんだろね」
ロックとロックマンはもう切り離せないものになっているだろう、周りから見れば。
ブラストも発破を行うだけではなく、アーティストの顔があった。
「俺も今そういう状態。どうしようかね?」
「ブラストの場合どっちも未来があるじゃない?あ、発破も芸術に取り込んでみる?」
「あー、それ考えてた」
にへらっと笑う。
「発破って難しいんだよ、綺麗に解体するのは。でも俺なら綺麗に壊せる。
点と点を結んでね、思い描く綺麗な壊し方を見せる、いいね。手始めにブロックのあの遺跡いらないヤツやっちまおうか?」
「ブロック泣いちゃうでしょそれ…ダメだよ、解体する予定の建物にしようね」
「つまんねーなぁ」
「お仕事楽しんでるね」
「ほどほどに。あ、ロック」
ブラストはロックの頬に手を添える。
「俺の部屋くる?」
「う、うん…」
ロックは戸惑いつつも頷いた。
◆◆◆◆
「今はここに住んでるんだねー」
ロックは部屋の中を見回しながらいう。
隙あらば掃除か片づけかをしようとしているのだろうとブラストは思う。
「ロック」
「うん?」
ブラストはロックを抱き上げてベッドに運んで押し倒す。
そのまま服の中に手を入れながらも頭を胸に擦りつける。
「シていーい?」
「ダメでーす」
「なんでぇ?」
「明日お仕事だから」
「一回だけでいいから~」
「そういってこの前お寝坊した子はだぁれ?」
「ううー…アンタさぁ、俺のこと好きでしょ?」
「ブラストがむちゃくちゃ僕のこと好きなのは知ってる」
目を細めながらロックはブラストの頭を撫でた。
「じゃあ接続だけ!お願い!」
「…はぁ、しかたないなぁ」
「すきすき!ロックだいすき!」
ブラストはご機嫌になって首筋をコードでつなぎ合う。
「んっ…」
「はぁ、手、握っていい?」
ブラストは問いかけてくる。
「いいよ…」
ブラストの手がロックの手を握り締める。
快楽のパルスは緩やかなもので、もどかしさも感じるものだ。
ブラストは接続の時はそんなに激しいことはしない。
じゃれ合う程度のことなのだ。
「…俺、自分がどうしたいのかよくわかんなくて」
「うん」
「アシッドさんにいったら知るかって言われた」
「うん」
「ヒューズも知るかっていう」
「うーん、人選ミス」
「でもさー、ほかのやつらって根性論で解決しちゃうやつらばっかじゃん?」
「そう、だねぇ…」
「気付いたらバイトしてた…」
なぜそうなったのかわからないぐらいにブラストは思い悩んでいたらしい。
「…がんばってるね、いい子いい子」
「だろ?」
ブラストは手を離してロックを抱きしめる。
パルスが少し強くなる。
ブラストの手がロックの腰に回る。
「あっ…」
ロックは身を仰け反らせる。
「ブラスト、だめ…」
「いいじゃん、入れないからさ」
「ん、んっ…あっ」
ブラストの唇がロックの唇に触れる。
触れるだけだ、舌は入ってこない。
「んっ…ぅ…」
腰がゾクゾクしはじめる。ブラストがロックの股を太ももで擦ってくる。
緩い刺激ではあるが、パルスと重なってゾクゾクとした刺激になるのだ。
「や、んっ…ぅ…」
腰が勝手に動いてしまう。誘う様に、ブラストの太ももに下半身を前後に揺すってしまう。
「ロック…はぁ、好き…俺、好きなんだよ…」
「しって、るっ…あ、んぅ…」
首筋に歯を立てられ、キスをし、そうして捲りあげられたお腹にもキスを落とされていく。
甘い刺激にロックはぶるりと震えて軽くイってしまう。
「へへ、ごちそーさまぁ」
ブラストは満足そうにロックの頬にキスをするとコードを引き抜く。
「立てる?落ち着いたらもう帰ろ?」
「ん…」
息を整えるロック。
「しばらくバイトしてみるわ。昔の感覚思い出したら新しいことやろうかと思うんだ」
「うん、がんばってねブラスト」
ロックは立ち上がりブラストは見送るために後をつく。
玄関先でロックは振り返って、徐にブラストの首に飛びついた。
「っん」
ロックにキスをされる。
濃厚な。えっちな舌使いの。
「ふぇっ…」
ブラストは腰を抜かしたかのようにふにゃふにゃと床に座り込んだ。
「次の休みの日に連絡入れてね?続き、しよっか」
「ふぁい…」
ブラストは頭をなでなでされて、出ていくロックを呆然を見つめていた。
「…魔性」
ぽつりとつぶやくブラスト。
次の休みは早く取ろうと思った。むしろアシッドの休みに合わせるのがいいかもしれない、巻き込んでしまおう。
決して家庭用に一人で立ち向かえる気がしないと思ったわけではない。みんなで元気になればみんな幸せだからだ。
俄然やる気が出てきたブラストはさっそくアシッドに連絡を取るのであった。
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