menu

「ねぇートーチ、セックスしよ?」
 唐突に突然に何の前触れもなく、横で座ってE缶を飲んでいたツンドラがそんなことをいう。
「……え?なんて?」
 幻聴を聴いていたかもしれないので聞き返すトーチ。
「セックスしよっていったんだけど?」
 トーチを見つめ返すツンドラ。
「なんで?」
「したくないの?」
「するしないは理由を聞いてからになるな」
「思いつきだけど。トーチそういうの興味ない系?」
「お前はあるんだ?」
「それなりに?」
 なぜ疑問形なのか解らないが、ツンドラはとくに深い意味があるわけもなく気まぐれで言ったらしい。
「気まぐれでそういうの、いけないと思うぞ…」
「何ぃ?トーチって結婚式挙げてから初夜を楽しみにするタイプなのかい?」
「どういう発想だ。俺たちは恋人同士ではないだろう?そういうのは好きな人としなさい」
「えぇーーーー!!!!僕はその気だったのにトーチこのままだと一生童貞だよ!!??僕もね!!!」
「えぇー…なんでそんなに必死なんだ」
「それよりも僕はトーチに拒まれたことがショックだね…。絶対OKすると思ったのにさ…」
 恨みがましそうに見ないでほしい、まるで悪者みたいだ…とトーチは目を細める。
 ツンドラは人当たりも良いし性格も明るくて自分とも良好な関係を築けているとトーチは思っている。
 そして付き合っていくうちに理解できてきたが彼は我が強い。彼の我儘を聞いてしまう自分も悪いのだが、とも思う。
「…あ。ギアの影響受けてた時ヤってなかったっけ」
「あんなのノーカンですけどぉ!!!!!」
 彼の中では無かったことにしたいらしい。お互い正気ではなかったからだろうか。
「さぁさぁトーチ、レッツショータイム!!!」
「ショーにしないでほしいが…しかたないなぁ」
 雰囲気を大切にしてほしい。



   *****



 ベッドに腰掛けたトーチの脚の間にツンドラは屈みこんで、その大き目のナニを片手で擦っていた。
 それ用なので素材も柔らかいしツンドラの与える刺激はきちんとトーチに伝わってる。
「んふふか~わいい~」
「っ…なに、が可愛いのか…ッ…わからんが…ンッ…」
 ツンドラはトーチを見上げて満足そうに目元を細める。
「可愛がる行為は楽しいんだよトーチ」
 マスクを外してツンドラは舌を伸ばして舐め上げはじめる。アイスを舐めるように、トーチに見せつけるように。
「ンッ」
 視覚的な興奮に耐えれそうになくてトーチは顔を背ける。
 するとわざとかと思うほど甘い吐息を吐きながらツンドラは舐りはじめてそのうち口に先端を咥えられる。
「ッ…!!!」
 トーチはシーツを握り締めて仰け反るのをこらえた。
「トーチ、めっちゃ熱いよ。抑えて」
「クッ…わ、わかった…」
「ほんとにー?」
 ツンドラの指がぐりぐりと先端を擦ってくる。
「や、めっ…クゥゥ…!!!」
 低く唸りながらトーチはツンドラを睨みながら体内の上がってきている温度を抑え込む。
 トーチのマスクからの排熱が少し白くなっていて、かなり苦しく思える。
「手伝ってあげるから、頑張ろうね?」
 ツンドラの周りの空気が冷える。
「ヒッ」
 急に冷たくなったツンドラの指や舌の刺激にゾクゾクしてトーチはとうとう仰け反ってビクンビクン震えてしまう。
「冷たいの気持ちイイでしょ?」
「ま、待て…イクゥ…!!」
「早いよ、まだダメ。」
「つんどらぁ…!」
「耐える修行だからトーチ!僕が冷やしただけでイっちゃう体になっても知らないからねぇ?」
「お、お前が、責任をとればいいっ…!!!」
「ひゃっ?!」
 トーチの大きな手がツンドラの細い腰を掴む。
「ま、待ってトーチちょっと僕がリードしていれようと思ってたんだけど!」
「知るか!」
 疑似セックス用の穴にねじ込むと、ツンドラは悲鳴を上げながら身を捩り身悶える。
「あついあついやけるとける!!!」
「冷ませばいいだろ!」
「あぁぁぁぁぁ!!!」
 床に叩きつけられるように押し倒されてそのまま種付けプレスのように抑え込まれる。
 トーチの肩から炎が吹き荒れる。このままベッドに押し倒していたら火事だったのでトーチの理性はまだあったのだ。
「あつ、トーチ、とーちぃ…!」
「冷たくて気持ちイイぞツンドラぁ」
 ツンドラは泣きじゃくりながらトーチの首にしがみ付いて揺さぶられる。
 シュウシュウと音がするがツンドラの冷却するために生まれる氷が一気に水蒸気にでもなっているのだろう。
 ツンドラの口に指を突っ込む。
 中は冷たくて柔らかかった。
「んぅぅ…」
 ツンドラはトーチの指に舌で抵抗するように動くがトーチを喜ばせるだけであった。
「気持ちイイか?ツンドラ」
「ぁっぃ…」
 絞り出すように言う。
 ムっとなったトーチは手をツンドラの腰に戻してその腰を持ち上げると先ほどより深く挿入し始める。
「ひぃっ!あ、あぁぁぁ!!やける、やけるぅぅぅ!!!」
「イクぞ?中に出すからな?」
「やぁっあついのやだぁ!待ってぇ!!あああああああ―――!!!!」
 トーチの言葉通りの熱い廃液がツンドラの奥に叩きつけられるように注がれた。
 涙のように溢れる冷却水と涎のように垂れ流れる潤滑油でぐしゃぐしゃになっているツンドラの顔にトーチはゾクゾクとした興奮を覚える。
「もう一戦いくぞツンドラッ!」
「ぁ、ぅ…」
 ガクガクになっているツンドラを持ち上げて、トーチは再び腰を動かし始めた。



    ****



「あのね…セックスはバトルじゃないんだよ…?愛の営みだよ…?」
「最初から愛の営みのためのセックスでしたでしょうか…?」
 腕の中で物申すツンドラにトーチが疑問を投げかける。
「熱いっつってただろ!!!聞け!!!僕の話をきけよ!!!!」
 素の声のトーンになりながらトーチに膝打ちするツンドラ。
「煽ってるのかなって思って」
「ンなわけあるか!!!!お前自分の身体認識しろよ!!!??」
「お前がいうとすごく重たい」
 ちなみに滝行をして壊れかけて修理に3か月ほどかかったのは秘密だ。
「まぁ落ち着くよ…持ちかけたのは僕だし…君は僕以外のロボットとセックスしたらダメだよ?
 軽く殺人になる…セックスした罪で廃棄になるのだけはやめてね…?」
「いや、お前以外にする相手いないし…大丈夫じゃないかなその辺は」
「そうだね…あとはオナホを使うのも禁止だから…」
 ツンドラは下半身を見る。
 まだトーチと繋がったままだ。
 繋がったままというか、抜けなくなったというか、くっついたというか。
 トーチの高熱に耐えきれなかったおちんちんは融解しツンドラの中で冷却されたせいもあってくっついてしまった。
 大惨事である。
「オナホ使ったら溶けて取れなくなるということが解ってよかったねトーチ」
「よろこぶところなのかわからないな。…で、どうしようツンドラ」
「ちんちん切っちゃおうか」
「ヒュッ」
 発声器から変な音が漏れてしまう。
「なに、大丈夫だよ。僕もこの身体になるために色々弄ってる時にね規格が合わなくなってきてバランス悪いから前のを切ったことあるんだ」
「サイコパスかなにかかな?」
「トーチ、神経回路遮断してー」
 ツンドラは自前のスケートのブレード部分を外し始める。
「いやぁぁぁこわいぃぃぃ!!!」
「この状態で誰か呼びたいのかい!!?変態か!?」
「お前のやろうとしてることも猟奇だけどな!?」
「ちんちん切るだけじゃないか!何が問題あるんだ!またつけてあげるから!!!」
「お前のその簡単に身体弄る習性直したほうがいいと思う…はい、いいぞ」
 ズバンっと勢いよく削られる。
 ズバンっていった。ズバンって。
「ううー、脚の関節いかれてるかも…」
 トーチから離れるツンドラだが立てず四つん這いのままぷるぷるしている。
「お互い直ったら、またやろうね」
「なんで?」
「はぁ?君のためでしょ。健康的な営みを目指してコントロールできるようになるまで付き合ってあげるよ」
「いやいやいや。それお前になんのメリットが」
「友達って、友達が困ったら付き合うだろう?」
 何言ってるんだと言わんばかりの顔。
 トーチは思わず頭を抑える。
「お前の中の友達って…そういうふうになってるんだな…」
「あとは君とのセックスは悪くないんだよね。熱すぎて気持ちよさが感じられないんだけど君を見てると可愛いんだ」
「シロクマの亜種と思われている可能性が」
「あっはっは!それ!いいね!」
 トーチの呟きに一人笑うツンドラ。
「はぁ、まぁ…俺もお前が可愛いよツンドラ」
「そうかい?」
 トーチはツンドラを抱き上げて修理の出来るメンテルームへ向かうことにした。

top