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 ヒューズはブラストの住んでいる部屋の前に立っていた。
 ブラストはヒューズと違って固定の勤務地ではないのと色々な才能を発揮して人間のように自分で部屋を借りている。
 場合によっては引っ越しもしたりするというのだからヒューズには良くわからない世界だ。
 定期メンテナンスはライト博士の研究所で行っているからこのような生活でも何の問題はないのだが。
 呼び鈴を押すとすぐに扉が開いた。
「よぉー!時間通りだな」
「何事もトラブルがなかったからな」
 中に招かれるヒューズ。
 いつもと変わらない。仕事が詰まっているときは資料などが乱雑に散らばっている空間は今は片付いている。
 いつも通り椅子に座る。
「こっちもプロジェクトが一つ片付いてさ~。映画だと撮影の関係とかですぐ終わらねーからやれやれだ」
「そうか」
「あ、ケーキ貰ったんだよケーキ。食べよう」
「…いつ貰ったんだ?」
「昨日だから大丈夫」
 うんうん頷くブラスト。
 餌づけされる体質なのか、何かと貰うらしいのだが、本人は冷蔵庫に入れるとそのまま忙しさで忘れてたまに悲しいことになる。
 こうやってヒューズが遊びに来るようになってからはそれが減ったようではあるが。
 普段は充電でこういう時にしか飲食しないヒューズは断る理由もないので頂く。
 どのケーキがいいのか選ぶように催促され、選んで取り分けてもらう。
 ブラストは食べながら近状の話を延々と話、ヒューズは黙々とケーキを口に運びながら聞いている。
 そんなヒューズの姿がウサギみたいで可愛いのだがブラストは口に出すことはない。
「仕事どう?」
「つつがなく」
「…代わり映えしない仕事ってのもいいのかもねぇ」
「…変わったことがあったとき、それは大惨事なんだが」
「そぉーだねぇー!」
 笑うブラスト。どこが面白いのかさっぱりわからないヒューズは黙って最後の苺を食べた。



   ◆◆◆◆



「ヒューズ、接続しよ?」
「……」
 ほんのりとヒューズの白い肌が赤くなる。
 本当ならばアタッチメントを取り変えて本格的にヤりたいのだが、ヒューズの体を思うと無茶はできない。
 なので有線で我慢する。有線でもかわいい顔が眺められるので良いのだ。
 お互いコードで繋がって、ブラストはヒューズの手を握る。
「んっ…」
 データを流し始めるとヒューズは少し顔を顰めて身悶える。
 ヒューズからも送り返してくるが、我慢できる程度だ。
 ブラストはヒューズの顔を眺めながら強めていく。
「あっ…」
 ぎゅうっと手が握られる。
「ぶら、すと…」
「なんだヒューズ?」
 ヒューズに体を密着させる。
 息が荒くなるヒューズは潤んだ目でブラストを見る。
「キスを」
「あぁ」
 ヒューズに唇を重ねる。舌はすんなりと受け入れられてヒューズの舌と触れ合った。甘い。ケーキの味。
 味わい、触れ合う度にゾクゾクする。
 顔を離すとヒューズの表情は蕩けていた。
 自分もどういう表情をしているだろうか。
「ブラ、スト…ヒューズが、切れそう…」
「大丈夫大丈夫」
「っあ、ぁっぁっ…!!!」
 ヒューズの体が仰け反る。彼からクるデータもデタラメでブラストも震えるがヒューズの手は握ったまま離さなかった。
「ひぅっ…」
 空気が抜けるような悲鳴を漏らしながらヒューズの意識が沈む。
 崩れるヒューズを抱きしめながら、ブラストは余韻に浸った。



    ◆◆◆◆



「頭のヒューズ切れなかったろ?」
「前に切れた時は大変だったんだ」
「ごめんって。時間があったら本気で弾けたいけどな」
「…時間があればな」
 ヒューズはちょっと顔を赤くしながらブラストに背を向ける。
「次暇なとき連絡くれよなー」
「あぁ、連絡する」


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