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イメクラおじさんと悪い友達
「おまたせーアシッドさん!」
ブラストがログインしてくる。
お待たせと言われたが実際そんなに待たされていない。事前に連絡があったのでそれに合わせてアシッドもログインしている。
ここは仮想空間で、お互い機体の方はスリープモードに入っている。
無機質な室内もお互いの姿もアバターだ。
人間もVRで参加できる空間ではあるが、ロボットしかいないので実際やり取りは高速である。
現実の時間を不要に使わないので合理的なのが好きなアシッドとブラストは気に入っている。
「で、相談ってなに?」
「ロックくんの女装の相談なんだが、何がいいと思う?」
「なんでその相談俺にするの?」
首をかしげながら問うブラスト。
「消去法」
「………おツンさんあたりでいいんじゃない?」
「あいつの趣味になるだろ。俺はあくまでロックくんに合う服装ってなんだろうなっていう相談なんだよ。
その辺のボキャブラリーが俺は貧困。で、ブラスト…君はそういう俗っぽいの知識ありそうだろ?」
「アシッドさん俺のことどう見えてるのかなぁ…」
腕を組みながら天を仰ぐブラスト。
「言っていいのか?」
「止めて聞きたくない。怖い。…えーっととりあえず無難なのはこれでしょ。アシッドさん好きそう」
ロックのアバターを表示してセーラー服を着せる。
「好き。購入」
「即決する男嫌いじゃないよ」
裏でポチってるであろうアシッドに言うブラスト。
アシッドのこういう勢いの良さはブラストの好みである。
「こういう薄着はどうなの?」
ほぼ下着のようなネグリジェのような格好に変更する。
「NO」
手を左右に振りながらお断りするアシッド。
「じゃあ体操着」
ブルマ姿のロックに変更するがアシッドは難色を示す。
「ブルマより短パンのが良くない?」
「そう?じゃあ短パンで1セット買お?で、こういう水着はどうなん?」
スクール水着の姿に変更するとアシッドは腕を組んで唸りはじめる。
何を悩んでいるのか解らないが、目を閉じて顎に手を当てながらぽつりとつぶやいた。
「…生々しい」
「あ、そう…。女装させてる時点で生々しいと思うぜ…?」
「そうか?俺はあくまでロックくんが不本意そうな顔しつつも着てる姿がみたいだけなんだ」
「あー、エロを感じさせない系のエロが好きなのね?」
「は?」
「ところでブレザーとかもいいんじゃね?」
「いいけど話を逸らしたな?」
「イメクラおじさんだものアシッドさん…」
「だれがおじさんだ…可動年数で言えば俺もお前もそう変わらんぞ…」
「ほら、俺はまだ若さのオーラ?があるでしょ?」
「童顔ではあるよな」
「ちょっとそこ、人が気にしてることいわない~~~~!服の提案していかないぞ!」
「それは困るな。よろしく頼むよ先生」
「えぇーこういう先生とかヤダぁ…」
こうして二人には長いが時間にしては一瞬のチャットは続いていく―――
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