menu

 ブラストはなんともいえぬ表情を浮かべて居酒屋に足を踏み入れていた。
 ブロックから呼ばれてお迎えに来たのである。
 何度もあるのだが、限度を守ってほしい。あと迎えに呼ぶなら最初から誘えとも思う。
 未成年だろ?なんて言われてとても心外な気持ちになったものだ、ロボに未成年もなにもないだろう。
「お、きたきた。じゃあヒューズよろしくな!」
 そういうブロックは分離したパイルを抱えている。
 頭にクイイチローを器用に乗せて、左右にクイジローとクイザブローを持ち上げている。
 マグロ大漁だなぁと思った。マグロだろう、マグロは止まると死ぬのでトッカントッカン言ってるパイルも恐らく同じものだ。
 ブラストは酔いつぶれているヒューズを抱き上げると、それを待っていたブロックは別れの言葉を言いながら出ていく。
 途中でジローとサブローを落とし、パイルドライバーの部分を握って引きずっていったので彼もかなり酔っている。
 ちゃんと帰れるだろうか…。
 ともあれ、ブラストはヒューズを運ばなくてはならない。
 彼の部屋へと向かった。



    ◆◆◆◆



 パチリ、と目を開くヒューズ。
「お、目が覚めたか」
「……」
 無表情のまま身を起こしたヒューズはブラストを見て、あたりを見回す。
「酔いつぶれたか」
「お前なぁ、飲みすぎるなよ…飲み慣れてないんだからさー」
「気をつける。ここまで運んでくれて礼を言う」
 ブラストは歩み寄ってベッドに腰を落とし、ヒューズの頬を撫でる。
「あぁ、水とかいるか?」
「…いや、大丈夫だ」
「そうか?」
「あぁ、お前の手が気持ちいいから」
「かわいいこというなよー」
「…そうだろうか?」
 むむっとするヒューズだが、ブラストは笑いながら抱き寄せる。
「今日は泊まってもいいか?」
「別にかまわないが、朝一で仕事だろう?」
「少しでもお前と一緒にいたいわけ!」
「そうか」



    ◆◆◆◆



 二人でベッドに寝るのは正直狭すぎるのだが、ヒューズは特に文句は言わなかった。
 すぐにスリープモードに入ったブラストの顔を見つめる。
 普段から何かと気にかけてくれていて、申し訳なさと気恥ずかしさがある。
 しかし悪い気はしなくて、少し嬉しくも思うのでヒューズは口角を上げながら満足するまでブラストの寝顔を眺めた。

top