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「…珍しいことで」
サターンは小さく呟きながら、椅子に凭れ掛かったままスリープモードに移行しているアースを見下ろす。
険しい表情はそこにはない。
サターンは興味深そうに覗き込む。
実際寝顔なんてこうやってゆっくりと観察したことはない。
(なるほど確かにサンゴッド様と同型だというだけあって寝顔はそっくりだなぁ…)
しかし「同じ」には見えなかった。
サンゴッドの寝顔を見ても自分は「愛しい」と感じることは…まず、ないだろう。
サターンはそのまま顔を近づけアースの唇へ自分の唇を触れさせ―――
がしっ と頭を掴まれる。
「んんっ!!!???」
口内に柔らかいものが潜り込んでくる。
アースの舌が、絡み付いてくる。
「ッ…!ッ……!!!」
逃れようとするサターンをアースは逃がさんとばかりにしっかりと抱き込む。
「ンッ…はぁっ!た、ちょ…やめ…!!!」
「ん?キスがしたかったんだろ?」
息を切らすサターンにアースは答える。
「ここまでは求めてません!!!!」
「遠慮するな。全身にしてやる」
「せんでいいーーーー!!!!!!」
机の上に押し倒されながらもアースを引き離そうと頑張るサターン。
「まったく貴様は…この私を欲情させているんだ、責任を取れ」
「ヤりたいだけじゃ…てか寝てたクセに」
「貴様のキスで目が醒めてしまった。
まぁいい、お前がその気にならないなら勝手にする」
「はぁ…?」
アースはそのままサターンの下半身を撫で始める。
最初は腹部を撫でていたが、そのまま下へと降りていき――――
「ッ…、隊長」
「うるさい」
サターンに冷たく言うとアースは取り出したサターンのナニを指先でゆっくりと擦り始めた。
「ッ…」
サターンはブルッと震えながら、その小さな刺激に耐える。
「いつも自分でしていることはあるのか?」
「……答えないとダメですか」
「答えになってるなそれ。どういうことを考えながらシてるんだ?」
「あ、アンタねぇ…」
羞恥に顔を赤らめるサターンにアースは口元を緩ませる。
「この私を陵辱してくれているのならいいのだが…?
もちろん妄想に留めず実行してもいいんだぞ?貴様を満足させるのも私の役目だ」
「いえ、隊長を満足させるのがオレの役目なんで、隊長がオレを好きなように扱ってくれればいいんです」
「むー…」
いつもこうだ、いつもこうやって平行線になる。
隊長という立場を利用して命令しても、それを逆手に取ってくる。
こんなにお互いが愛し合っているというのに!
アースもサターンも好意を抱く他人に対して受身で献身的すぎたのである。
「好きなように、扱ってやる…」
「ひぅっ!」
いきなりナニを咥えられ、サターンは声を上げかけて飲み込む。
「っあ、…!あぁ、ぁっ…!!!」
思わずアースの頭を掴んでしまう。
指に髪が絡むのが心地良い。
痙攣しているのかと思えるぐらい腰が震え始める。
アースの口の中がキモチイイ。
そのままイキそうになった時、根元を締め付けられ射精を抑制させられる。
「ッ……」
サターンは顔を歪ませながら射精できぬ苦痛に呻いた。
「…私を犯したいか?」
アースの問いかけ。
サターンは一瞬身を強張らせるが、直ぐに首を横に振った。
◇◇◇◇
ロボット同士が擬似的にしろ『性行為』に及ぶというのは…最初はもちろん抵抗があった。
だが『愛情』を表現する方法がわからなかった。
今まで無かった、いや認識すらできていなかった感情を処理する方法がコレしか見出せなかったのである。
擬似行為に及べるよう機体を作り変えて、愛し合う。
愚かな行為なのかもしれないが、自分たちが納得しているのだ他人からどう思われようが知ったことではないし
どうでもいいことだ。
「ッ…ゥ、ッ……」
サターンは両手で自分の口を押さえ、洩れそうになる声と突き上げられる衝撃に耐える。
それでも息遣いは荒く、紅い瞳は揺れ動き限界が近いことは解った。
「はぁ…イキたければイキたいと、言えばいいのに…」
「ッ…」
首を小さく横にふるサターン。
アースが満足するまで頑張ろうとしているのは可愛くも思える。
(あまりそうされると、虐めたくなるんだよな…)
自分の加虐性に対して心の中でため息をつく。
もちろんその性質はサターンにもあるものだ。
サターンは押し留まっているが、彼もアースに対して「こうしたい」という加虐的思考は持っている。
「ひっ!?」
アースに腕を掴みあげられてサターンは泣き出しそうな顔をする。
「かわいい顔をする…もっと貴様の鳴く声を聞かせろ」
「やっ…あ!? あ、あっぁぁぁぁ…!!!」
限界も近かったサターンは、拒絶するも再び襲い掛かる刺激に対して声を抑えることが出来なくなる。
「た、いちょ…たいちょう…!!!」
涙を流しながらサターンがアースを呼び始める。
「もっと呼んでサターン…お前に隊長って呼ばれるの、すごく好き…」
「ッ…―――」
****
「隊長」
「ん?」
サターンがアースの手を握る。
「オレは、アンタに触れてるときが一番幸せです」
「…そうか」
アースは呆れたような表情を浮かべながらも笑ってサターンの手を握り返した。
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