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クロバトは百合のつもりらしい
ベッドの上でジュピターはサターンにキスをしていた。
唇を啄ばむような軽いキスを繰り返している。
「んふふ、サターンの口は柔らかいよなぁ」
綺麗な声がジュピターから漏れた。
発声機を修理されて本来の声に戻っているためだ。
「いや、ジュピターの唇が柔らかいんだと思うけど」
「そう?」
「そう」
サターンは肯定しながらジュピターを抱き寄せて顎を掬い上げる。
「今日は最後まで?」
「うん、してほしいなぁ」
「愛しい人にしてもらったほうがいいんじゃね?」
「それも考えたんだけど…」
ジュピターは少し困った表情を浮かべる。
「なんか、越えちゃいそう、っていうか…。」
「オレならいいと?」
「お前は境界線がわかってるから安心~」
にへら、と可愛い笑顔を作る。
「誰のせいだと」
「そういう生まれ持った本能だろう?」
「壊れちゃったほうが、マシかもしれないんだけど…」
素直に狂えないのも辛い、とつぶやきながらサターンはジュピターと唇を重ね、舌を絡ませあう。
ただ舌が触れ合っているだけだというのに電子頭脳はそれが気持ちいいのだと認識する。
「ん…」
「ふっ…ぅ」
お互いもっと欲しいと角度を変えながら貪るように求め始め、ジュピターはぎゅうぎゅうとサターンを抱きしめる。
サターンは優しくジュピターの身体を撫で始める。
小さい…華奢な機体だ。
「はぁっ…サターン、触って。俺も触るから」
「はいはい」
ナニを取り出し、お互いを扱き始める。
やはり個人差が出るのか、ジュピターの手の動きはぎこちなく、
器用なサターンはそつなくこなしてジュピターに快楽を与えていた。
「ほら、お兄ちゃん…こうして?」
「ん…」
サターンは優しい声色でつぶやきながらジュピターの手に手を添えて誘導する。
「これ、ジャイロ喜ぶ?」
「それは保障できねーけど…」
「アースはこれで喜んでるんだよな?」
「……ッ」
サターンは顔を赤くして黙り込む。
アースに仕込まれたのだろうな、とジュピターは認識する。
ちょっとしたことで照れるかわいいかわいい弟。
「アースに抱かれて幸せ?」
「ま、まぁ…。いや、オレのこと関係なくね?」
「そう?」
「そう!」
「わっ」
押し倒されるジュピター。
そのままナニをサターンの口で咥えられる。
「や、待って…感じすぎ、ちゃっ…あ、あっ」
サターンの口の中に熱を出してしまうが、それを啜られていく。
その感覚にゾクゾクするジュピター。
「美味しい?」
「まぁ、ほどほどに」
「どれどれ」
ジュピターが腕を伸ばしてくるのでサターンはジュピターに覆いかぶさる。
再びキスを交わす。
「んー、よくわかんない」
「アンタ味覚そんなに発達してないでしょ?」
「かなぁ?」
ふふふ、と笑いながらジュピターはサターンに下半身を擦り付ける。
「なぁ、入れて欲しいんだけど」
「お兄ちゃんがそれでいいなら」
「乱暴にしていいからな?遠慮はいらないぞ」
「歯止めっていうの、必要なんですけど」
サターンはジュピターのズボンを下ろし、剥き出しの脚にキスを落とし始める。
くすぐったい刺激にジュピターはクスクス笑う。
そして呻き声。
サターンのナニが捻じ込まれて身体が軋む。
「は、はいった?」
「半分」
「ま、まだはんぶん!」
「アンタ身体ちっちゃすぎなんですよ。穴も小さいから」
「いい!むりやりでもいい!こい!」
「萎えるわー」
サターンはジュピターの腰を掴み一気に捻じ込む。
かひゅ…とジュピターの喉の奥から空気が抜けるような音がした。
「痛い?」
「い、いたぁい…」
涙目になりながらもうれしそうにいうジュピター。
「萎えた?殴ってもいいよ?ねぇサターン、殴って」
サターンの紅い瞳が一瞬暗く濁るがすぐにもとに戻る。
「可愛いお兄ちゃんにそんな真似できませんねぇ」
「カッコイイお兄ちゃんだろ? 殴っていいのに、この手はなんの貯めの手だ」
いいながらジュピターはサターンの手を掴み顔の前へ引き寄せるとそのまま指をあぐあぐとかみ始める。
「んん!」
指が喉の奥まで押し込まれる。
「噛み千切れるくせに…」
サターンはそう呟きながらそのままの状態で腰を動かし始めた。
「…!!ッ!」
ギリギリとサターンの指を噛み締めながらジュピターは身悶える。
深く突き上げるとジュピターは大きく仰け反る。
口から指を引き抜くと、歯形がついていた。
「悪い子…だなぁ…」
暗い濁った眼でジュピターを見下ろし、手を振りかざし―――
ハッとした表情になって手を下ろして顔を伏せる。
「…いいのに、壊して」
「こわ、し…たくない…」
「変なサターン」
「こわしたくない…」
ジュピターの顔が見れない。
きっとさっきの自分と同じ目をしている。
暗く濁った[[rb:狂気の > あかい]]瞳―――
その衝動を別の形でぶつけ始める。
ジュピターの身体を蹂躙するのは罪悪感が強いが気持ちがいい。
この身体をあの地球のロボットも味わっているのかと思うと嫉妬すら湧いてしまうほどだ。
しかしこの身体を破壊していいのはきっとそのロボットだけで、
自分が唯一許される行為といえばこれしかないのだろう―――
サターンはジュピターの首を絞め始める。
いつもしていることだ。
発声機の修理をするたびに繰り返されている、昔からの行為。
アースも呆れた表情を浮かべていた。
それがジュピターの望みなら―――
ゴキリ、と微かだが手ごたえを感じるのと同時に、何とも言えない心地よさの絶頂を迎えた。
アースが声を直してサターンが声を壊す。
それでジュピターが満足するのだから仕方がなかった。
****
洗浄室に二人はきていた。
『別にそこまで丁寧に洗浄しなくてもよくね?』
「あのなぁ、お前それでも恋人持ちだろ?誤解されたらどうするんだ」
湯船の中でサターンはジュピターを膝の上に乗せつつ答える。
ジュピターの声はいつもの雑音混ざりのひどい声だ。
『それはそれで燃える気がするけどな~~』
「……」
『サターン、ごめんな』
「……」
サターンはジュピターを抱きしめる。
「謝られると、辛い」
『じゃあ、ありがとう?』
「それも辛い」
『わがまま~!』
ジュピターは笑いながらグリグリとサターンに頭を擦り付けた。
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