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 普段特に何をする、というわけでもない。
 各々何かしら研究に手を貸したり、外をフラっと出歩くぐらいしかしない。
 レプリカとして復活し、その能力の大半が失われた…という設定でSRNは保護されているからだ。
 困ったことアースはプライベートの時間というものを持ったことが無く、どう利用していいのかわからなかった。

 前までは。

 アースはつまらなさそうに携帯端末の電源を切るとテーブルの上へ投げ出す。
「地球の書物を読んでみてはいるが、退屈なのは変わりないな。」
 独り言のようにつぶやくが、それは相手に向かって話しかけたものだ。
 この部屋にアース以外にもう一人いた。
 サターンだ。
 しかし彼は床に倒れ、その両手は後ろ手に拘束されている。
 ハッ、ハッ…と小さく息を吐く音がする。
「ッ…今日は、何を、お読みに…?」
 サターンは息を吐きながらも、たどたどしく会話をする。
 その顔は紅潮し、目は熱のせいで潤んでいる。
 笑顔を浮かべているようだが、それは歪んで泣き顔に近い。
「恋物語」
 ニコリ、とらしくない笑顔を作る。
「こ、恋…ですか…」
「とてもつまらなかった。趣味じゃないようだ」
「そう、ですか…」
「お前は暇つぶしに何をしている?」
「特に、は……」
 ウゥ、とサターンは呻き、身悶える。
 しかし必死に耐えるように身体を強張らせる。
「…今日のおもちゃの使い心地はどうだ?」
 アースは立ち上がり、サターンに歩み寄って見下ろしてくる。
 サターンの下半身は剥き出しになっており、尻の谷間から器具の一部が覗いている。
 捻じ込まれているだけに見えるが、この器具から微弱な電気信号が送られ神経回路に影響を与えていた。
「あまり、好きじゃ…ないです、ね」
「ふーん。強めが好きか?」
「ひっ!」
 息を呑むサターン。
 しかしアースがやめるわけもなく、激しい刺激がサターンを襲う。
 目を見開いて悲鳴を上げるサターン。
 焼けるような痛み、しかしそれは一瞬で痛い快感となって押しよせてくる。
 廃油が床を汚す。
「ふふ、私の部屋をまた汚して…遠慮を知らぬ身体だ。」
「も、申し訳…ござい、ません…」
「サターン…」
 アースは屈み込んでサターンの顔を掴み上げる。
「愛しい…」
 そのまま口付けをしようとし…アースは寸前で止まる。
 不安げな目でサターンを見ていた。
「…キスはしていいのか?まだダメか?」
「もう、よろしいかと。オレもアンタのキスほしいし」
「あぁ、良かった。」
 キスを交わす。
「もうそろそろ身体を触ってもいいだろう?それ、面白くなかったんだろう?」
「んー…」
 サターンの表情が一転し、いつもの暗い目でアースを見る。
「隊長はもう少し我慢を覚えて欲しい、というか。
 あぁ、踏んでください。俺が満足するまでアンタに踏んで欲しいんだけど、ダメ?」
「無茶をいうな…生殺し状態なんだぞこっちは」
「仕方ないなぁ」
 サターンはアースの股間に顔を埋めようとするので、アースは慌てて自分のナニを取り出す。
 そのまま口に咥えられる。
「っ…」
 この刺激が欲しかった。
 サターンは愛しい。
 愛しいが中身がおかしい。変わった性癖といえばいいのか。
 虐待しろという。これでもまだ遊んでる程度の認識のようで、本格的に付き合ったことはないのだが
 おそらく付き合えば残酷なことをさせられるだろう。
 別にそれを実行することに抵抗はないのだが、レプリカの身体を痛めつけるわけにはいかない。
 環境的な問題でソフトなプレイをしているわけなのだが…。
 アースはサターンの頭を押さえ込むようにして熱を喉の奥へ流し込むように放つ。
 これもこういう風にしてほしいという指示だ。
 サターンの言いなりになっているわけではない、恋人故の寛容な対応だとアースは思っている。
 特に不満もないので問題ないことだ。
「隊長…」
「サターン…」
 紅い瞳が見上げてくる。
 次にサターンは求める言葉を紡ぎ出すのだ…
「踏んでくれます?」
「…」
 出すもん出したんだから踏めという。
(後悔するまで踏んでやろうか)

 アースはちょっと本気でそう思いながら、サターンを引き剥がして立ち上がる…

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