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土星地球の世界軸での木星旋回
メカバレ注意
窓などはない、照明がずっと部屋を照らしている。
ここにやってきたのは数日前だったか、なんだか遠い記憶にさえ思える。
ジャイロはこの部屋に監禁されている。
しかし苛立ちも焦りも何一つ沸いてこない。
外部との接触を断ち切られるのは始めての経験だからだろうか。
ウェーブがそれを望んでいたのも今では理解できそうな気がする、とても心が楽だ。
「……」
ジャイロは椅子に座らされており、顔を上げてぼんやりと照明を眺めている。
武装は外されている。
というよりも、この身体が本当の身体なのかさえ怪しい。
ここに連れてきたのはジュピターだ。
殺せと言った、しかしジュピターは「それはできない」と拒んできた。
『色々考えた、俺はどうすればいいのか』
ジュピターの紅い瞳は狂気の色しかなかった。
『俺はお前を失いたくはない、でも殺さなくてはいけない、この葛藤がどうしようもなくて。
みんな殺さなくちゃいけないのに、でも、俺と同じお前を失うなんて、耐えれそうにもない』
目の前で膝を突いて、懺悔のように言葉を吐いていく。
自問自答を繰り返しておかしくなったか。
それともやはり、自分とジュピターは『同じ』ではなかったのかもしれない。
数万年の時を経て育っていったジュピターの中の『神』の束縛が一瞬で解けるわけがないのかもしれない。
自分たちは『壊したがり』だ。
全てを壊しつくさなくては気がすまない、自分も含めて。
ただジャイロの場合は『仲間』と『目的』という足かせが彼の狂気を押さえ込み、
ジュピターの場合は『サンゴッド』という破壊神の存在が狂気を薄めていた。
今ジュピターにはもうサンゴッドがいない。
狂気は内から爆発し溢れるしかなかった。
たったそれだけの違いだ。
彼はサンゴッドの代わりにジャイロを後釜に選んだ、たったそれだけの話だ。
ジャイロは目を閉じる。
死ねば楽になるだろうに、何故生きたがるのか。
「…いや、違うな」
声が漏れる。
(――…この状態が、「幸せ」なんだろうな)
二人が共存しあえるギリギリのライン。
不意にドアが開く。
ジュピターが入ってきた。
「ジャイロ」
すがりつく様にジュピターはジャイロに抱きついてくる。
「…ジュピター」
「なんだ?」
「俺の手足を拘束してくれないか?
そのほうが『らしい』だろ?正直俺はそういう趣味はないが相手を拘束するというのは嗜虐心を刺激するだろう」
「なるほど、用意する」
コクリと頷くジュピター。
「あと、考えたんだが」
「うん」
「我々DWNの中にはセックスを利用して『衝動』を抑える者もいる。
試してみるといい、俺で」
「いいのか?」
「こんな状況だ。俺がふさわしいだろう?」
笑みを浮かべる。
自嘲。
ジュピターはジャイロから離れる。
「壊れたら修理するから安心してくれ」
「解っている」
ベッドが用意され、その上でジャイロは鎖に繋がれ、ジュピターに犯されていた。
犯されるのは別に初めてではない、酔った勢いでストーンと何度か夜を共にしたことがある。
「ひっ…」
深く挿入されてジャイロの口から空気が抜けるような声がでる。
『ジャイロ…もっと、鳴いて』
雑音交じりのジュピターの声がする。
「うっ…」
目を見開くジャイロ。
ジュピターの腕から電流が走る。
勿論手加減はしているだろうが、気持ちのいいものではない。
バチィッ
「ッかは、…ひぅっ…!!!」
『…』
ジャイロの首を絞め始めるジュピター。
脳内でエラーの警告音が鳴り響く。
首を絞められながら電流が流れている、回路が焼き切れてしまいそうだ。
ガシャガシャとジャイロの手足を繋ぐ鎖が音を荒げる。
手も足もジュピターには届かない。
空を掴むジャイロの手は次第に指先をビクビクと跳ねるだけになっていく。
小さくバキリと厭な音がなった。
(声、出な…)
口をパクパクさせるジャイロ。
『鳴けなくなっちゃった?俺とお揃いだな』
いってバリバリとジュピターの笑い声が響く。
『俺、気持ちいい…なんだろう、この気持ち…あのな、ジャイロ―――』
ジュピターはジャイロの手を掴む。
『お前に酷いこと、もっとしたくて、したくて……!!!』
「――――ッ!!!!!」
喉を潰されていなければ絶叫を上げていただろう。
指を間接とは逆に力任せに折られた。
ジュピターは楽しそうにジャイロを見下ろしながら指をゆっくり折っていく。
ジャイロはそんな彼に自分を重ねていた。
自分でもそうするだろう、楽しいのだから。
体内に収まっているジュピターのナニは興奮を得ているのか強く脈打っている。
『痛いよなぁ、ごめんなぁジャイロ…でも泣くジャイロの顔、俺好きだよ。
気持ちよくさせてやるからな?』
ジュピターは再び腰を動かし始める。
激痛が走っているというのに下半身からの刺激で意識が混乱してくる。
ジュピターに身体を蹂躙されているというその感覚に自分は興奮を覚えている。
そうだ、自分は他人に支配されているからこそ、狂気を押さえ込めていたのだ。
ならばジュピターは適任ではないか、ジュピターは自分に向かって狂気を向けるだけでいいのだから。
あぁこの手が自由なら抱きしめてキスを求めてやれるのに。
あぁ声が出せればジュピターを求めてやれるのに―――
涙で霞む視界の中、ジュピターの紅い瞳を見つめることしか出来ない。
****
壁から垂れる鎖に繋がれた状態でジャイロはいた。
その身体はボロボロで脚は既に外れているので鎖に吊るされた―――という表現があっているかもしれない。
ぽたりぽたりと部屋の中で水音がする。
自分のオイルが滴る音なのか、中に放たれたジュピターのオイルなのか解らない。
毎日のように身体は蹂躙されている。
そろそろ修理がいるだろうか。
随分壊されてしまった。
「ジャイロ、ただいま」
ジュピターが帰ってくる。
そのままジャイロの前で床に座り込んで彼をぼんやり眺める。
この行動は愛するペットを眺める感覚と同じかもしれない。
こちらとしては、ペットはジュピターの方であるが…
ジャイロは顔を上げてジュピターに微笑みかける。
ジュピターはマスクを外して微笑み返してくれた。
幸せを感じている…
しかし不思議と死にたいと思わない…
お互いそう思っていると信じている。
だから『このまま』生きていていたい。
あとがき
ジャイロを崇拝対象に祀りあげるジュピターでした。
サタは祀りあげてから陵辱するのに興奮する子なのでこの紅目兄弟本当…本当…
ジャイロはジュピターに崇められて悪い気してないからコイツもアレだ…
要約すると「綺麗にピースがハマっちゃいました」です。
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