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「貴様には少々サディスティックな面はあると思っていた」
「あっはっは、サディスティックじゃなくて猟奇だろ」
アースに対して陽気に笑うマーキュリー。
話のネタにされているサターンは顔を赤くしながら黙っている。
「ほう、猟奇か。まぁ我々の存在を考えれば好ましい性質だが。
何故隠す?別に隠さなくても…」
「ジュピター見てきたからなぁ」
「ふむ、あれはあれでかわいいものだが…おいサターン、黙ってないで話に入って来い」
「いやです、はずかしい…」
「貴様の性癖に合わせて私の身体を調整しようという話なんだぞ?」
「そのままでいいです」
「だから、このままだと私は電子ドラッグに頼るしかないといっているだろうが」
「まさかアースが不感症だったとはなぁ」
「お前がいうか」
アースはマーキュリーにつっこむ。
「神経回路は存在しているし痛覚は生きている。
ただ長く使うことがなかったから麻痺しているだけだ」
「それ時間をかけてゆっくり慣らしていくっていう手はねぇの?」
「一日中サターンとのセックスは魅力的だが私には職務があるし」
「いやいやいや、その理屈はおかしい…。
っていうか、あの、本当、俺に合わせなくていいんで。
どっちかというと俺はアンタに合わせたいというか…」
もごもご呟くサターン。
「んじゃあ参考までにサターンってアースを自由にしていいよって言われたら
何したいの?」
「えぇぇ」
「そうだな、聞かせて欲しい」
「…あー」
サターンは唸りながら逃げたくなるが、逃げても追いかけられるに決まっている。
逃げ道なんてないのだ。
サターンは環を指差す。
「この中に発狂するまで閉じ込めたい」
「地味」
「地味すぎる」
「うるさいな!!!」
「発狂できる自信がないぞ…」
「でしょうね…」
無駄に他者の心が流れ込んでくるアースは自分と他人の境目が曖昧である。
故にその自我は強固であり、精神的な動揺がなければ自我の崩壊などといったモノには耐性がありすぎた。
「あの、隊長…ドラッグで身体が覚えてきたとかそういう傾向はないんですか?」
「どうだろう?そのあたりがよくわからなくてな。
解らないということは、感じていない…?」
「いや泣きそうな顔せんといてください。つか、感じてる節があるけどあれ演技なんですか?」
「演技はしていないが。あの状態が感じているということなのだろうか…」
唸るアース。
なんとも可哀想。
とっても感じているのに、彼の中で理解できていないのだろう。
(本当自分のことになると無頓着だなこの人は…)
サターンはため息を吐いてアースの手をとる。
「? サタ…」
アースの声が途切れる。
サターンの舌がアースの口内を蹂躙する。
「っ…んぅ…んん…」
ガタンッと乱暴にテーブルへ押し付けられるアース。
「お盛んねー」
なんてマーキュリーの茶々が入るが無視。
「…どうです?気持ちいいでしょう?」
アースの柔らかい唇を指でなぞりながら問いかける。
「あ、あぁ…サターン…」
アースの腕がサターンの首に回る。
そしてそのままキスへと移った。
貪るようなキスをしながら、アースは下半身をサターンに擦り付け始める。
もしかするとキスでスイッチが入ったのだろうか。
アースはまだドラッグの中毒症状から抜け出しているわけではないから…。
しかしサターンはあえて下半身を触れない。
ただキスに応えるばかりだ。
「はっ…サターン、サターン…!」
涙を零しながらアースが名を呼ぶ。
「なんですか?」
「さわって、おねがい、さわってくれ…」
「触って欲しいんですか?自分で触っても同じだと思いますけど」
「サターンに触って欲しい…」
「気持ちいいから?」
「そ、う……そう…!私より、サターンに触ってもらったほうがきもちいい…」
サターンはマーキュリーを見る。
すごくわるい笑顔で。
「えぇぇーオレを巻き込む気か」
「俺が許す」
「やだなードSは」
マーキュリーは二人に近づくとそのまま身体を蠢かせてアースに絡みつく。
「ひっ!?」
ぐじゅぐじゅと厭な粘着質な音が聞こえてくる。
「あ、あぁぁっ!??」
「気持ちいいでしょ?俺じゃなくても」
サターンはアースの腕を押さえながら耳元で囁く。
「アースの体温熱くて好きー」
「ま、きゅ…やめ、あっあっ…!!?」
ガクガクと下半身が震える。
「イってますね?隊長、俺以外でイったんだ…?」
「が、我慢…でき、なくて…」
「クスリのせいですかねぇ?そういう身体なんじゃ?」
「そ、んな…アァァァァ!!!」
サターンに抱きつくアース。
「奥まで、はいって…やめ、嫌ッ…」
抵抗も出来ずズプズプとマーキュリーに犯され始める。
「へぇー乱れるなぁ。淫乱じゃん?ここ感じるんだぁ?」
「アァァァッ!!!」
「スイッチ入ると淫乱になるってことは解った」
動きを止めて呟くマーキュリー。
「あ…」
マーキュリーが身体から離れてぐったりするアース。
「別に不感症じゃないから、やっぱ慣らすしかねーな。」
「精神的な問題?」
「多分…」
サターンは少し胸が苦しくなる。
これを理由に自分はどんどんアースに酷いことをし始めないかと。
自制で押さえ込んでいるが、暴力的な行動に出てしまいそうになる。
もともと我々はこういうことを想定して作られているわけではない。
興奮状態が戦闘時のあの残虐さを引き出してくるのだ。
我を忘れるとアースを乱暴に扱っているときがある。
それでもアースもアースで頑丈に出来ているので問題はないのだが…。
気持ちのほうの問題である。
サターンはアースを見下ろす。
「さ…た…」
アースは火照った表情で腕を広げる。
「抱いて…奥が、ムズムズする…」
擦り合わせている両脚はどうすることもできないからか見て解るほど戦慄いている。
「マーキュリー、二人っきりにさせてくれ」
「おー、いいぞ。ごゆっくり」
サターンはアースの脚を掴み広げて挿入する。
何度か打ち付けていると唐突にアースが悲鳴のような声を上げた。
「アッ…!さた、そこ、おねが…い…そこぉ…!」
マーキュリーが探し当てた感じる部分だろう。
「お望みのままに」
「変…焼けそう、こわい、サターン、こわい…!!」
「大丈夫ですよ隊長…」
あぁこんなにも泣きじゃくって。
でも気持ちよさそうな顔で。
全部自分のものだ、そう思うと優越感が沸いてくる。
とても愛しい。
両手両足をもぎ取って環の中へ閉じ込めてしまいたい。
「隊長」でなければ本当に自分のものにしているだろう。
「愛してます隊長」
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紅い瞳は凄く暗く見下ろしてくる。
その瞳が好き。
いつも自信のない、自己否定からの暗さではない。
内から滲み出る残酷な暗さだ。
抉って食べてしまいたいぐらいに好き。
こんなにも熱くて、こんなにも激しく抱かれているのに気持ちがふわふわしているのはドラッグのせいだろう。
あぁ…止めたいとは思いながらも溺れてしまう。
ドラッグに溺れてしまう弱い自分、という自分に酔っているのだろうか。
こうでもしないと弱さというものを相手に伝えられない。
脚や腕をもぎとればいいのに
もっと残酷なことをしてくれていいのに
それがお前の愛だろう
優しいお前も好き、卑屈なお前も好き、残酷なお前を嫌いになるわけがない
全てを愛したいのだ、全てを
だから愛して欲しい。
感覚が麻痺してしまっている身体でも
他者への干渉で麻痺してしまっている心でも
―――お前の世界へ私を引きずり込めばいいのに
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