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W4後。途中で切れる感じに終わる
「看病してくれるのか」
「看病?」
 エンカーはバラードの問いかけに首をかしげた。
 今はワイリー博士の隠れ家の一つにいる。
 そこで上半身しかないバラードは修理を受けていた。
「これは修理だ」
 エンカーはそういう。
 本来ならばワイリー博士自ら行うであろう修理。
 しかし宇宙でなにやらいい物を見つけたらしくそっちにいってしまい、代わりにエンカーが渡されたマニュアルに従ってバラードを修理していた。
 もちろん不慣れなためだいぶ手つきがぎこちない。
「あぁ、そうかまだ修理が終わってないから看病ではないか」
 クククと低く笑う。
 なにが可笑しいのか、この男の考えることがエンカーには理解できない。
 ロックマンを倒す目的で作られたせいなのか、どうも感情が乏しいらしい。
 しかし感情がないわけではない、ワイリー博士も「メタルと同じで感情の出し方が掴めていないだけじゃ」なんて言っていた。
 パンクは少し天邪鬼なところがあるし、目の前のバラードに到っては少々自己陶酔しやすいように思える。
 まったくバランスが取れていないが、なんとかなっている。不思議なものだ。
「寝ていろ。エネルギーが勿体無いしそれに…痛いだろ?」
「だいぶ痛いな。無理矢理ネジを締めようとするの止めてくれ、パーツが歪んで痛いんだ」
「そういうことは早く言ってくれ。」
「お前を見ていると言いそびれる」
「……」
 遠慮している、ということなのだろうか?
 エンカーは口を閉じて作業に集中することにした。
 しばらくの沈黙。
「お前…ロックマンと何を話していた?」
 エンカーは無意識にそう呟いていた。
「…エンカーが怒る話だ」
「言え…わたしたちを裏切ったんだろう?」
「裏切ったんじゃない、考え方が違っただけだ」
 バラードは目を細める。
「エンカー、パンク…そしてクイント、お前たちを見ていて俺は引っ掛かりを持っていたんだ。
 どうして俺たちは生き方を決められているのだろう、と。
 心があるならばせめて自分の望むままに生きたいと思うだろう?」
「わたしは、わたしたちはロックマンを倒すために作られたんだぞ!」
 エンカーはバラードを睨むが、バラードは微笑み返してきた。
「そうやって激情を俺にぶつけてくれないか。
 それを繰り返していけばきっとお前も自分が解ってくるだろう。
 そして俺のようになる。違う道を見つけるかもしれない、同じ道かもしれない、お前次第だ」
「わたしにはわたしの道があるというのか!
 大概にしろ、戦闘用にどうい生き方があるというんだ!」
「ずっと戦ってるだろうな、俺だってずっと戦っていたいさ…
 でも自分の意思で戦うその強さに俺は感動した…」
「ロックマンのことか」
「そうだ」
「お前は大馬鹿者だ」
「そうだな…許してくれエンカー。」
 バラードの、コードだらけの手が伸びる。
「きっとお前も解ってくれる日がくると、信じている」
「勝手な男め」
 その手を握る。
 細い、素体だけの手。
 こんな身体になってまで自分を貫く覚悟をしたのだ、この男は。
 そして自分を信用してくれているのだ。
 バカだ、この男は―――どうしてそこまで期待できるのだ。
「お前は、俺たちを捨てたりしないからな。俺はお前の気持ちを裏切ったかもしれないが、見捨てたわけじゃない。」
「解っている、もう喋るな」
「あぁ、修理の続きを頼む」


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