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 研究所の記憶は、深く深く……意識の底にある。

 おぼろげで、あやふやで、自分の記憶ではないような。

 それは仕方がない、その当時の自分は人格がはっきりしていない、心を持っているだけの赤子のようなものだったのだから。

「記憶、ある?」
 ロックマンが問いかけてくる。

 わたしはぐるりと視界をめぐらせた。

「かすかに。なんとなく。あぁ、エディ」
 見知った顔。わたしは覚えていた。

 エディの頭を撫でる。

 わたしと同じのエディ。
 あぁ、今のわたしはエディと同じではなかった。
 考えるということを知った。
 けれども、過去のわたしも今のわたしも、きっと同じなのだろう。
 そしてそれは皆わかっていることで
 わたしがここに居たいといえば皆、納得し受け入れるのだろう。

 しかしここは・・・

「コールドマン?」
「エディの顔を、見たので満足しました。
 わたしはキングの元へ帰ります」
「え、ここに居てもいいんだよ?」
「いえ。ここはわたしの居るところではない気がします。
 わたしはやはり、キングのものなのでしょう」

 キングに束縛されているわけでも、キングに依存しているわけでもない。

 ただあそこが一番居心地がよかった。ただそれだけ。

 ここには過去の記憶しかなくて、居場所がない。

「そ、そっか…」
 しょんぼりしてしまうロックマン。
「産みの親より育ての親と、いうでしょう。それです」
「そういうものなのかな?でも第二の家と思っていつでも帰ってきていいからね」
「はい、ありがとうございます」


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