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 陽の光など入らない完全な地下施設の内部。
 その奥に施設の中枢である制御室があり、そこにダイナモとキングはいた。
 ダイナモは設備の一つと接続しておりそこで発電中だ。
 その光景をキングは見上げていた。
 時たま手元の操作パネルに触れては微笑む。
「ダイナモくん、予想以上の出来だよ。
 私の改造がとても良かったようだ。想定以上の電力供給が出来ているね、ふふ
 …私の声は届いていないだろうけれど」
 フッ…と目を細める。
 もうあの思いはしたくない。
 四肢が動かせぬ状況でいつ電力が切れるのか解らない恐怖。
 誰もいない。
 誰もいなかった。
 助けてくれるものなど、いなかった―――
 薄暗い研究室、その中で恐怖に震えながら自分を作り上げていく―――
「私のためにずっと発電してくれよ?」
   *****
 発電中は思考が鈍る。
 考えが纏まらなくなってしまう、思考が止まる。
 それはダイナモの大切な部品を自身の電圧で傷めないためでもあるのだが、それがとても億劫だった。
 目の前にキングがいるのは解っている。
 いつも一人で話かけてくる、よく喋るキング。
 僕が起きていても、寝ていても、こうして発電している最中でも
 いつもいつも語りかけてくるキング
 キングのことがよくわからない。
 キングの話を聞いていてもそれは上辺だけで、キングの中が見えてこない。
 いつか解る日がくるだろうか。
 これからずっとずっとキングと一緒だから。
 もう人間と一緒には過ごせないから。
 
 嗚呼、考えがまとまらない。
 また思考が鈍る。
 目覚めたときキングは微笑んで僕を褒めてくれるんでしょ?
 いまは――それで―――いい――――
        
  
 
 
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