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キングの城。
その王の間で、大変珍しい客が来ていた。
「お前の趣味はよく解らないがきっと変わっているだろう?」
その来訪者は周りを見回しながらそう言うと王座に座るキングを見上げた。
サンゴッド、過去地球を破壊しようとした侵略者である。
現在は破壊された身体は復元されその能力も大幅に失い、ライト博士の保護下にいるはずである。
つまりうろうろできないはずなのだ。
それがロックの付き添いもなく何故かここにいる…ということは勝手に抜け出してきたのだろう。
「…願わくばお引取り願いたいのだが」
硬い表情で呟くキング。
「そう他人ぶるでない。吾の身体を修復した者の一人ではいか」
「私はお前と馴れ合うつもりはないのでね」
「折角この吾が、直々に礼を言いに来てやったというのに。
いやしかし貴様も上に立つ者だったな。お前の顔を立てて無礼は許してやろう」
「それはそれは心遣い感謝するよ。
一言忠告しておくが私はお前のためにお前を修復したのではないんだ。
全てはライト博士の助けになると思ってのこと、貴様の修復の手伝いなどついでだ。
まぁ私の能力を持ってすればお前を完璧に元の姿に戻せただろうがね」
サンゴッドに含み笑いを向けながら言う。
きっとこの場にKGNの誰か一人でもいれば「またデタラメなこと言ってる…」と呟いていたことだろう。
「それは本当か?」
「私は嘘などつかない。しかし私もライト博士もそれは望んでいなかったからね。」
「ほう」
サンゴッドはニッコリ微笑む。
「どこぞの誰かが『フルスクラッチ』がどうのこうの…『動ければいい』などと随分と投げやりなことを言っていたような気がするのだがのぅ?」
「……」
「……」
キングとサンゴッドは見詰め合う。
「あと」
サンゴッドは口を開く。
「貴様はいつも嬉しそうにあの老人と過ごしておったな?」
「…!!!!!!」
キングは王座から飛び降りてサンゴッドに詰め寄る。
「おい!!!起きていたのか!!!?」
「あぁ。サンドイッチ美味しかったか?」
「やめろ!!!!」
顔を真っ赤にしてキングはサンゴッドの肩を掴んで揺する。
「今すぐ記憶を消せ!!!!」
「別にいいではないか、見られて困るモノでもあるまい。」
「私が困るのだよ!!?」
キングは斧を召喚する。
「む?それをどうする?」
「少し痛いだけだ、お前の頭を割ってやろう。
メンテナンスと称してお前の記憶を消す!!!」
「難儀な男だな」
振るわれる斧に向かって手を伸ばし、刃を受け止める。
「な!?お前の機体の能力ではそんな真似は…!!!」
「吾も上に立つ者の一人だ、少々身を守れる程度の改造はさせてもらった。
若きロボットよ、吾は礼を言いに来たのだ」
「!?」
掴んでいた斧を引いてキングを引き寄せ腰に腕を回す。
「むぐ」
そのまま顔を近づけようとしたがキングの手が間に入ってサンゴッドの口元を覆う形になる。
「何をする気だ、おにぎり」
「おにぎりとはなんだ。礼を接吻で返そうとしただけだぞ。」
「いらんわそんな礼!!!!」
「アースは喜ぶのだがな」
「側近とはそういうものだ!私はお前のモノではないから通じるわけないだろう!」
「何、何事も経験よ。一度されていろ病み付きになるかもしれぬ」
「なってたまるか!あ、あぁぁぁ!!?」
押し倒されるキング。
――― 太陽神 接吻中 ……
「吾は満足じゃ」
「こ、こいつぅぅぅ…!!」
床に膝を突き、息を切らしながら涙目でサンゴッドを睨むキング。
「威厳も何もなくなったな」
「お互いにな!?帰れ宇宙人!!気は済んだだろう!?」
「礼は済んだが吾は貴様に興味がある。しばらくここに居たい」
「お前が私の部下になるならいいぞ」
「はっはっは、それは無理な話だな」
「そうだろう、さぁ諦めて帰りたまえ」
サンゴッドはすっと腕を伸ばし、王座へと指を指す。
「あの王座の横にもう一つ王座作って吾が座れば問題ないと思わないか?
吾は不本意だがお前のため我慢しよう、吾は心が広いのだ」
「絶対嫌だ」
「我侭じゃのー。まぁ今日は諦めてやろう。そろそろ戻らねばアースがうるさい。
また来るからの。」
「来なくていい!」
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