menu

キンパイナモを目指す
 欲しいものは奪えばいい。
 それが自分のやり方だ。
 キングが欲しい、キングの全てが。

「で、どういうことなの?」
 パイレーツに押し倒されているダイナモはジト目で呟く。
「お前を奪うんだよ、そうすりゃキングは俺を見るんだ。」
「……」
 ダイナモは目を細める。

 本当にこの男は

 バカなんじゃないか?

 キングが自分に関心を持っていたとして、その関心の元である自分を消し去ってしまおうということか?
 それで関心がなぜパイレーツに向かうと思うのか?

「キングに恨まれるんじゃない?知らないけど」
「それでいいんだ、どんな感情でもいい。キングが俺だけをみれりゃいいんだよ!」
 とんだヤンデレ気質である。
 ダイナモは床に視線を向ける。
 砕けたキャノピーが散らばっている。
 押し倒されたときに割れてしまったのだ。
「随分と余裕ぶってんじゃねーか」
「余裕?余裕なわけないだろ…」
 涙が溢れてくる。
「キャノピー割れちゃったじゃないか!パイレーツのせいで!」
「いいじゃねーか邪魔だし」
「僕はキングと距離を置きたいの!!!」
「!?」
「僕はキングを恨んでいたいんだから!パイレーツのばか!!!」


「何をしているんだい?」


 キングがゆっくりとした足取りでやってくる。
 笑顔を張り付けて。
「…チッ」
 パイレーツはダイナモから離れキングに背を向け歩き始める。
「待ちなさいパイレーツ、ダイナモに何をしようとした?」
「バラしてやろうかと思った。」
「パイレーツ…今度こんな真似をしたらそれなりの仕置きをするからね?」
「ンなこと聞けネェな?」
 パイレーツは去ってしまう。
「…キャノピー直そうか?」

  バシッ

 伸ばした手を払われキングは困惑する。
「ダイナモくん?」
「さわらないで、キングのせいなんだから。
 マジックに直してもらう」
「あ、あぁ…そうしなさい…」
 言いながら起き上がるダイナモに、キングは複雑な表情を向けていた。




    ****



 笑みがとまらない。
 笑顔であったがキングの殺意の篭った目、たまらない。
 ゾクゾクする。
 嗚呼、矢張り自分のやり方は間違っていない。
 だから、しかし、それでいいのか?
 ふっと沸き起こる疑問はダイナモのせいだ。




    ****




「野蛮な男ですね、あとで叱っておきますから」
 マジックはダイナモに言う。
「…ねぇマジック、僕とキングってそんなに仲良しに見えるの?」
「え?」
「…仲良しなのかな」
 ダイナモは俯いたままだ。
 マジックは返答に困った。
 彼のキングへの恨みも知っているし、キングを知っていくうちに芽生えてきている感情も知っている。
 本人は認めたくないのだから肯定ととられる返答は避けるべきだ。
 しかし、それでいいのだろうか、本当にそれでいいのだろうか、常に悩む。
 ダイナモに対して親心のようなものが芽生えている気がする。
「…パイレーツはちょっと視点がズレてますから、気にしなくていいですよ」
 はぐらかすことしか出来なかった。
「…ごめんねマジック」
「ですから、気にしなくていいんです!ほら、新作の手品みますか!?自信作!」
「あ、それはいい」
「ううう・・・」
 はやくみんな仲良くなればいいのに、とマジックは思った。


top