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独自設定
W5後、るらず修復→しかしごっさまはデータ不足で難しいのでコアのみ保管
改心後のキング、ごっさまのことを知り「私、ワイリーのところから盗んだデータ持ってるよ」
「バーナーマン、今から博士とキングに食事を持って行くんだけど一緒に来る?」
食事を乗せたトレイを持ったロックが窓から顔を出して庭にいたバーナーに声をかけた。
「おー、いくいく」
ジャリッと地を蹴って窓へ飛び込んでくる。
ロックとぶつからなかったのはロックがバーナーの動きを理解していたおかげだろう。
「もう!危ないよ!」
「いいじゃねーか。食事がダメになってるわけじゃねーんだし。」
「そういう問題じゃないんだよ」
ため息を吐きながらロックは歩み始めた。
その横に並んでバーナーも歩く。
バーナーがこの研究所にやってきて3週間ほどが経つ。
本当はキングだけがここに来る予定だったのだが、犬体質のサガだろうかバーナーもついてきたのである。
しかしキングは博士と共に篭っているので暇なバーナーはファイヤーの手伝いをしたり、たまにロックの手伝いをし、散歩がてらフラワーパークにいったりと気ままな生活を送っている。
「お前の『仕事』って結構大変だな」
笑って言うバーナー。
「んー?僕はそのために作られたロボットだし…」
「あ、そっか。そうだよな…なんか変な感覚になるぜ。俺は『ロックマン』の姿が初見だからな!」
「どっちの僕が好き?」
「あぁ!いじわるなしつもんってヤツだろ!…今のお前が好きかなー」
「いじわるな回答だね」
ロックは緩く微笑みながら足を止める。
すかさずバーナーがドアを開く。
薄暗くもなく明るすぎでもない室内は、機器とコードに埋もれていた。
その中にライト博士とキングがいた。
ライト博士の髪とお髭は予想通りもしゃもしゃしちゃっている。
ロックは乱れを直したいと思いながら食事を台の上に置いて二人に声をかけた。
「ご飯ですよ、休憩してください」
「おや」
気がつくのはいつもキングだ。
「博士、ご飯だそうですよ」
苦笑しながらキングはライト博士に言う。
「おお、ロック。すまないな」
「博士、食べ終わったらブラッシングさせてくださいね!髪とお髭!」
「むむむ…別に大丈夫だと思うんじゃが」
髭を撫でながら博士は言うがロックは首を横に振る。
「大丈夫じゃないですから! あ、キングの分もあるからね。飲み物はこっちに…」
「ありがとうロックくん」
「それじゃ失礼します」
「キング、早く終わらせてくれよなー」
ロックとバーナーは出て行く。
「あの二人は仲が良い。バーナーも落ち着いていてさすがロックくんですね」
微笑みながらキングはライト博士に博士の分の食事を差し出す。
いつも手軽に食べれるようにサンドイッチを作ってくれている。
「バーナーくんに早くといわれたが…どうしましょうね博士。
コア以外はフルスクラッチ状態ですし…私の手持ちのデータも難解です。
解読作業と平行してパーツの代用はいかがでしょう。
完全な復元を目指しているわけではないですからね、動ければいいんです動ければ。
動けないのは辛い」
「君がいうと重いものがあるのぅ…。アースくんには悪いが君の意見を参考にしよう。
彼らにとっては不満があるかもしれないが…」
「えぇ、しかしまた暴れられても困りますし。…あぁ、今日も美味しいですねこのサンドイッチ」
キングは嬉しそうに言う。
彼はあえて人間が口にするものを好んだ。
そのための味覚も自分でつけたのだ。
ロボットのためにロボットの王を目指しながら人間の行動をなぞっていった彼。
その思考に矛盾は一切ない、とライト博士は感じている。
それは至極当然の流れだからだ。
彼の思考プログラムが特殊な経緯であったせいなのだから。
あぁしかし、決して「ワイリーと一緒にいるようだ」なんて口に出来ない。
だが懐かしんでしまうのは仕方がない、彼とのこうやって作業をするのは楽しいから。
もし仮に、昔のようだと懐かしんでしまうと彼は機嫌を損ねてしまうだろう。
彼にとってワイリーは「自慢の父親」ではないからだ。
それはそれで少し、寂しく思う。
自分たちと比較してしまうからだろうか?
いつか二人の溝が埋まればいいのにとも思う。
思ってはいけないことだろうか?
いつか解り合う、そう信じてもいいではないか…お互い心があるのだから…。
「ライト博士、私は貴方にとって優秀な助手になっていますか?」
キングがぽつりと呟く。
「なっておるとも。そもそも君がデータを持ってきてくれていなければこのペースでの修復は無理じゃった」
「そうですか、安心しました。私は今とても幸福です。光栄です。
生まれてきて良かったと思える。私は貴方の役に立ちたかった…あ、いえアナタ方の、です。人間たちの」
しどろもどろ訂正するキング。
「…あっお茶いれましょうか!?ね!?」
ころころと表情を変え態度を変えるキングにライト博士は思わず笑い出す。
「あっ、あぁ…笑わないでください…」
見透かされていることを理解しているキングは肩を落としながら言う。
「いやいや、すまん。楽しい助手を持ってワシも嬉しいよ」
「っ…」
顔を赤くするキング。
照れているようである。
「ふふ、お茶を頂こうかな?」
「…あ、はい」
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