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「何してんだお前」
 クイックはフラッシュに声をかけながら肩越しに覗き込む。
「写真の整理。増えちまったから」
「うわぁヒートしか写ってねぇ」
「カメラ構えたら写りこむんだよ。」
「俺のは?」
「お前はブレすぎて撮れるわけないだろ、止まれ」
「止まったら死ぬ」
「マグロか」
 クイックは「なんで魚類?」などと首をかしげながら忙しなくフラッシュの部屋を見回っている。
「お前なぁ…昨日もそうやって見回してたが早々俺の部屋は変わらないぞ」
「そうだよなー、でも暇なんだよ。あ、なにこれ時計か?」
 無造作に置かれている腕時計を発見して手に取る。
「あぁ、部下がくれた」
「へぇー。俺の部下なんもくれねーなー。お前ら仲いいよなぁ…
 つーかこれ遅くね?秒針もっと早くうごかねーの?」
 言いながらブンブンと振る。
「……」
 突っ込む気力もないのか、フラッシュは頭を抱えていた。
「…俺って変?」
「大層おかしいな」
「……そうか」
 クイックは特に表情を変えることもなく、時計を元の位置に戻すとフラッシュの横へ座った。
「俺はお前が好きだ」
「……」
 一瞬の間。
「え、なんで?」
「え?」
 顔を見合すクイックとフラッシュ。
「いや、告白するタイミングじゃなくね?」
「え、タイミングとかあるのか?いつがいいんだ?あまり遅いのはちょっと…」
「そういうんじゃないっ…!!!
 お前、気分で動いてるだろ!!?
 咄嗟に口から出任せとか思い付きとか、なんかそーゆーので生きてるだろ!!?」
「心外な、俺はいつも真剣だ」
 真顔で答えるクイック。
「お前の方が真剣に生きていないんじゃないか?誤魔化してるんじゃないのか?
 あ、言っておくけど別にお前が俺の事を好きでなくてもいいぞ、伝えたかっただけだ」
「本当にお前はわけが解らんな、理解しがたい」
「そうか…でもメタルよりはマシだろ?」
「ほんの少しな」
「え、そうなの…」
「俺の中でメタル、ジェミニ、その次にお前がランクインしている」
「わぁ、俺上位に入ってるじゃないか。俺の何が解らないんだ」
「何を考えてるのかわかんねぇトコ。好きって伝えてあとどーしたいの?
 ヤんの?いいけど」
「いいのかよ。お前諦め早いな、別にお前のケツに恋してるわけじゃねーよ」
「イケメンの顔でケツとかいうな」
 フラッシュは現実から目をそらせるかのようにクイックから顔を背ける。
「なーなーフラッシュ、俺がお前のこと好きなのは嫌じゃないのか?」
「別に何もかんじねー」
「…そうか。」
「クイック?」
「お前って俺より他人に無関心じゃないか?」
「………」
 クイックはフラッシュが整理していたアルバムを一つ手にとってパラパラと眺める。
「やっぱり俺がいないのは寂しいな。
 撮ってくれよ。ほら、じっとしてるぞ。動いてないぞ」
「…カメラ向けた瞬間にブレるだろお前」
「信用しろよ」
「解ったよ、撮るから。それでお前の気が済むなら」
「レンズ越しのお付き合いだな」
「もう交際スタートしてんのかよ、早いだろ。まぁいいけど…」

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