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病んでる磁石に嫉妬されたりスパークに充電されたりタップに見放されたりする話
        
        「この腕もジェミニに打ち抜かれたんだよね…」
        
        「……」
        
         トルネードは声が出なかった。
        
         明らかにマグネットの目がおかしい。
        
         マグネットは傷ついているトルネードの腕を掴み上げるとその傷口へ舌を伸ばし舐め始める。
        
        「あぐっ!?あぁぁぁ!!!?」
        
         激痛が走りトルネードは引き離そうと暴れるがマグネットが磁力を操ってメンテナンス台に身体を張り付けにされてしまう。
        
        「俺もねぇ、ジェミニちゃんに壊されたいんだけどねぇ…シてくれないんだよぅ…」
        
         べろり、と愛しそうに舐めてマグネットはトルネードを見る。
        
        「羨ましいなぁ…」
        
        「お、俺は…お前たちが解らない…」
        
         泣きながらトルネードが呟く。
        
        「もう止めてくれ、俺がここから去ればいいだけの話だろう!?
        
         俺がこんな目に遭う理由もないのに…!!!」
        
        「そうだね、でも羨ましいのは仕方がないよ!ジェミニに愛されて!あ、ジェミニちゃんの廃油だよね!?
        
         いっぱい出されたんだよね!?ダメだよ零しちゃ勿体ないよ?」
        
        「ひっ!!?」
        
         マスクを外したマグネットがトルネードの脚を開いて垂れてくる廃油を舐め始めた。
        
         舌の刺激に腰が震える。
        
        「ふっ…う、んぅ……」
        
         トルネードは唇を噛み締めながら刺激に耐える。
        
         じゅるりと音をたてながら廃油を味わったマグネットは顔を上げる。
        
        「ジェミニのおいしい、ジェミニの……」
        
         恍惚とした表情でトルネードに乗りかかってくる。
        
        「ジェミニにキスされたんだよね?ねぇ…いいなぁ…」
        
        「うっ…」
        
         キスをされる。
        
         頭が動かない。
        
         丹念に、味わうようにマグネットの舌が口内を這いずる。
        
         身体が疼く。
        
         さきほどまでジェミニに弄ばれていたというのに。
        
        「ジェミニ…ジェミニ…」
        
         顔を離したマグネットはそのままトルネードに寄り添って胸元に頬擦りしながら身体を撫でてくる。
        
        
        
        「あ、マグネットここにいた~。ニードルがねー、用事あるって。何してるの?」
        
        
        
        「あぁスパーク。メンテナンスだよ」
        
         マグネットは目を細めながらやってきたスパークに答える。
        
        「メンテナンス!!?充電する!?充電!!」
        
         目を輝かせて寄ってくる。
        
        「あぁ、そうだね充電もしてもらおうかな」
        
        「充電…?」
        
         ギョっとするトルネード。
        
         スパークは電極棒からバチバチと放電させながらトルネードに向けてくる。
        
        「大丈夫大丈夫、気持ちイイから。スパーク、俺と一緒でいいよ」
        
        「了解ッ!」
        
         スパークは嬉しそうに充電のための放電を開始した。
        
        「うああああああ!!!?」
        
        「気持ちイイだろ?初めてのときは、とても刺激的だけど」
        
         マグネットは電流に悶えるトルネードに囁きながら再びキスをする。
        
        「んー、んぅっ…う……!!!」
        
         ガクガクと震えるトルネードの身体。
        
        (こわ、れ…る…いたい、頭が…いた…い……)
        
        「充電完了!」
        
         放電を止めるスパーク。
        
        「おやおや、刺激が強すぎたのかな?」
        
         意識を失いかけているトルネードの頬を撫でながらマグネットはいう。
        
         トルネードの痙攣は治まらず、感じすぎたのかナニからはとろとろと廃油が流れている。
        
        「気持ちよかった~?」
        
         スパークはトルネードの顔を覗き込む。
        
        「キモ、チ…よかっ…た……」
        
         虚ろな目で答える。
        
        「良かったー!」
        
        「ところで、ニードルが呼んでるって?」
        
         マスクを装着しながらマグネットはトルネードから離れた。
        
        「うん、ジェミニが怪我したから見てあげてって!なんかね、また鏡割ったんだって~」
        
        「あぁ、またか。可哀想なジェミニ…俺がいるのに」
        
         マグネットはぶつぶつ言いながら部屋を出て行く。
        
        「ねぇねぇ、君だーれ?どこからきたの?」
        
        「……」
        
         なんとも暢気な質問をされる。
        
        「充電足りない?」
        
        「ッ…」
        
         首を左右に振るトルネード。
        
         これ以上充電されれば身体が本当におかしくなってしまう。
        
        「ちが、う…」
        
        「あ、そうなんだ~。寝るの?一緒に寝ようか?大丈夫??顔色悪いよジェミニみたい!
        
         ジェミニ昔はもっと元気だったんだけど~…」
        
        「……」
        
         どうもスパークというロボットはまともらしい。
        
         まともだがどこか幼い。
        
        「スネークに無理矢理ここに連れて来られたんだが…帰りたい」 
        
        「帰りたいの?じゃあ案内してあげるね」
        
        「いいのか?」
        
        「帰りたいんでしょ?あ、タップも呼ぼう!タップ!!」
        
        
        
        
        
        
        
        
        「さっぱり話がわからないから来てみればなるほど。」
        
         タップは納得しながら充電の痺れから開放されたトルネードを見て納得する。
        
        「酷い目にあっただろうねぇ。ごめんねぇほとんどのヤツちょっと頭おかしいからさー。
        
         案内ぐらいならするよ、ただし基地の外まで。そこからは一人で帰ってよ」
        
        「助かる」
        
        「腕とかは帰ってから治してもらって」
        
        「あぁ…」
        
         タップとスパークに連れられて、部屋をでたトルネードは通路を歩みはじめた。
        
        「スネークに怒られたりとかはしないのか?」
        
        「べっつにー。任務から帰ってきたら君のこと忘れてるんじゃないの?」
        
        「あ、そういえばスネークからこんなものを付けさせられて…」
        
         手首に付けられている装置へ目を移す。
        
        「なにそれ。また変なもんつけたのか。スパークの充電で壊れてればいいねーって程度。
        
         俺には何もできないよー」
        
        「そうか…ならいいんだ。すまない。」
        
        「もう少しで出入り口に――― ウゲッ」
        
         タップが変な声を出す。
        
         その視線は出入り口に向けられているのだが―――
        
         出入り口に一体のロボットが立っていた。
        
        「タップ殿、スパーク殿ではござらんかー」
        
        「わーシャドー!充電する?」
        
        「結構」
        
         スパークを軽く流しながらシャドーは歩み寄ってくる。
        
        「タップ殿は何をしておられるのかな?おや、これはこれはスネーク殿が持ち帰ってきた―――」
        
        「俺なんもしらねーから!スパーク逃げるぞ!ごめんなトルネード!俺も酷い目にゃあ遭いたくないんだよ!」
        
        「え!?タップ!!?」
        
         タップはスパークの腕を掴むと全速力で走って逃げていった。
        
        「やれやれタップ殿も難儀なモノよ。こんな楽しい玩具なのに遊ばないとは勿体ねぇ」
        
         シャドーの視線にギョっとするトルネード。
        
         スネークと同じ色の目だからだろうか?酷くスネークと面影が似ているような気がする。
        
        「一緒に酒でも飲まぬか?付き合えよ。メタル殿も歓迎するでござろうよ。
        
         断れば苦しませて殺すが。」
        
        
        
            ◆◆◆◆
        
        
        
         セカンズたちのいる区画に連れてこられたトルネード。
        
         赤いロボットが2体いた。メタルとクイックだ。
        
        「へぇーソレ?スネークが拾ってきたのって。強いのか?」
        
        「能力制御チップは取ってあるから何もできぬでござるよ」
        
         クイックに答えるシャドー。
        
        「新型はちっこいんだな」
        
        「戦闘用として作られていない分、簡素な作りなんだろう。
        
         で、シャドー。スネークに黙ってそいつを酒のアテにしていいのか?」
        
         メタルが静かな口調で呟く。
        
        「そのつもりで持ってきた」
        
        「えげつねー」
        
         にこやかなシャドーとメタルに対して、クイックは眉間を顰めて呟く。
        
        「拙者に良心などない」
        
        「俺もねぇーけど。さっさと酒飲みたい」
        
        「君も飲むといい」
        
         メタルは目を細めて酒の入ったコップをトルネードに押し付けた。
        
         恐らく拒否すれば何かしらされるのだろう。
        
         アルコールの摂取はしたことはないが、痛い目に遭うよりマシだ。
        
        「クイック殿はすぐ酔ってすぐ醒めるから酷い。酒が勿体ない」
        
        「じゃあ酔いが醒めにくい酒もってこいよ」
        
        「今飲んでる奴結構なモンなんだがな…お兄ちゃんは弟に負けそうだよ…」
        
        
        
        
        
        
        
         和やかな談笑の合間にトルネードは相当のまされた。
        
        「ほうらトルネード殿、もっと飲めるでござろ?」
        
        「も、無理っ…」
        
         無理矢理飲ませに来るシャドーを拒むトルネード。
        
        「もう限界か。ならそろそろ楽しむとするか」
        
        「そうでござるなー。トルネード殿、今から30分の時間をやるでござる。
        
         その間に逃げろ。30分後我々が追いかけて狩る」
        
        「狩る…?」
        
        「ほら、早く立て」
        
         シャドーはトルネードを引きずって部屋の外へ出た。
        
        「逃げ切ったらそのまま帰っていいでござるよ」
        
        「ッ…」
        
         トルネードは何とか立ち上がって壁伝いに歩き出す。
        
        「はいスタート。30分後にわたしがスタートで、10分後にお前たちだからね」
        
        「メタル有利じゃん。ずりぃー」
        
        「お前たちの速さのがズルい」        
        
  
 
 
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