menu
「だぁーかぁーらぁー!ンなに食いたいんだったらとっととサード区に帰りな!!!」
フラッシュは明後日の方向を指差しながらジェミニに叫ぶ。
しかしジェミニはソファにふんぞり返り、ドヤ顔をやめない。
「何だ貴様、俺のためにワッフルの一つも作れないというのか。
俺を愛しているのならば作ればいい。マグネットはすぐに作ってくれたというのに貴様は」
「疲れた」
フラッシュは項垂れながらジェミニの横へ腰掛ける。
「ワッフルを」
「知らん。」
「………」
すくっとジェミニは立ち上がるとスタスタとどこかへ出て行ってしまう。
(怒ったかな………)
とはいえ戦闘用の自分に料理なんて無理なのだ。
セカンドで料理をしているのは「博士のために」という目的をもっているメタルぐらいで。
そのメタルもあの青い家庭用の腕と比べると残念なことに、下だ。
つまり自分が料理をすると結果は目に見えている。
もちろんワッフルの作り方はわかる、ただ焼くだけなのも知っている。
それでも失敗する可能性のほうが高いのだ、残念なことに。
「おいハゲ」
「戻ってくるの早いなおい」
両手にワッフルを乗せた皿を持って戻ってくるジェミニ。
「マグネットからおやつを分けてもらった。食え」
「んむ」
ジェミニが無理矢理口に押し込んでくるので飲み込むフラッシュ。
「甘い…」
「スネークと同じ感想をいうんじゃない」
「はいはいおいしいおいしい」
「そうだろう、甘くておいしい」
納得しながらジェミニは残りを食べ始める。
「ふ、ふふ…」
楽しそうに笑いながら食べるジェミニを眺めながらフラッシュはその表情に影を落とす。
この頭のネジが2、3本吹っ飛んでしまっている後輩と仲良くなったのは第三次世界征服が失敗してからだ。
彼に対して後ろめたさがあった。だから極力丁寧に扱った。
すると向こうは自分に惚れていると考えたらしい。それはどうでもよかった。
どう思われていようがそうしたかったからしているだけだ。
壊れてしまっているのだから一緒にいたほうがいいじゃないか。
ジェミニの電子頭脳は自分の電子頭脳を参考に作られていて、それでこれだ、仕方が無い。
自分もどこかおかしいのだからジェミニもおかしくなったって不思議じゃない。
だから後ろめたい。
罪悪感に襲われる。
「お前は俺が好きなんだな。ふふ、美しいとは罪だ」
視線に気づいたのか、ジェミニはそんなことをのたまう。
あぁ、酷く罪悪感を感じる。
あとがき
ネガティブの連鎖。ジェミニはまったく気にしてない。
top